第206話 犬4
今日は舞のライブがある。
夜。
舞が帰宅。
「ただいま〜」
「おかえり、舞、ライブお疲れさま」
「ふふ、ありがと。そうだ公介、今から公介のワンちゃんになってあげるわ」
「ええっ、でもライブ終わりで疲れてるだろ?」
「まあ疲れてるけど、公介はワンちゃんと遊びたくないの?」
「そりゃ、めちゃくちゃ遊びたいけどさ……」
「じゃ、すぐに公介の飼い犬になってくるわね、ちょっと待ってて〜」
舞が着替えに行ってしまった。
「わんわんわーん!」
「お、おお!」
舞が露出度の高いセクシーな犬のコスプレをして戻ってきた。
「がるる、うー、わんわん!」
「すごいはしゃいでるな、疲れて逆にハイテンションになってるのか?」
俺は舞の首輪から伸びるリードを持つ。
「ほれほれ、じゃあ遊ぼうな、舞」
「わおーん!」
というわけで、飼い犬の舞と遊ぶ。
「よ〜しよし、舞はいい子だな〜」
「く〜ん」
さっきまで何万人のお客さんの前でライブしていた国民的アイドルが、今は犬になって遊んでいるとは誰も思わないだろう。
「ほら、ソファーにおいで、いっぱいなでなでしてあげるからな」
「わんわん!」
ソファーでよつんばいになる舞の身体中をなでなでしてあげる。
「あはん、わふう」
「気持ちいいか?」
「く〜ん」
「それそれ〜」
「わん……」
「ほれほれ〜」
「……」
「あれ?」
舞がソファーで寝ていた。
本当に遊び疲れて寝てしまった犬のようだ。
「はは、舞〜、ベッドで一緒に寝ようぜ」
「ん……ふわ〜っ、そうね」
舞を寝室まで連れて行く。
そして一緒にベッドで寝る。
舞は犬のコスプレをしたままだが、まあいいだろう。
「おやすみ、舞」
「おやすみ〜、わん……」
朝。
「ペロペロ」
「う〜ん……あれ?」
「わんわん」
犬のコスプレをしたままの舞が、俺の顔を舐めていた。
「はは、おはよう、舞」
「おはよう、公介、く〜ん」
舞が犬のように甘えてくる。
「朝から綺麗なワンちゃんと遊べるとは、最高だな!」
「ふふ、昨日は遊んでた途中で寝ちゃったからね。仕事の時間まで、可愛がってちょうだい」
「おう、まかせとけ!」
「わおーん!」




