第166話 みかん
小学生の頃。
俺の部屋。
俺は舞と遊んでいた。
テーブルには、リビングから持ってきたみかんがある。
「公介、みかん食べる?」
「うん、食べる〜」
「じゃ、むいてあげるわね」
「お願いしまーす」
舞がみかんをむいてくれる。
「はい、むけたわよ」
「食べさせてちょうだ〜い」
俺はとことん舞に甘える。
「ふふ、しょうがないわね。はい、あ〜ん」
「あ〜ん、あむ、うん、甘くて美味しいな」
「そうね」
舞は自分も食べてから、また俺に食べさせてくれる。
「はい、あ〜ん」
「あ〜ん、あむ」
「あん」
俺は舞の指ごと、みかんを口に入れる。
「うふふ、公介、指まで食べないで」
「ははっ、ごめんごめん」
「まだみかん食べる?」
「食べまーす」
「じゃあ、もう一個むくわね」
中学生の頃。
俺の部屋で、舞と一緒に映画を観る。
俺はソファーで、舞に膝枕してもらっていた。
「舞、みかん食べたい」
「はいはい、今むいてあげるわね」
「お願いしまーす」
舞がみかんをむいて、まず自分が味見をしてから、膝に寝てる俺に食べさせてくれる。
「うん、甘くて美味しいわ。はい、公介、あ〜ん」
「あ〜ん」
舞とイチャイチャしながら、みかんを食べる。
「舞、もう一個むいて〜」
「いいわよ、待ってて」
「ん〜」
俺は枕にしている舞の太ももに、顔をすりすりさせる。
「あん、うふふ、くすぐったいわ、公介。大人しく待ってて」
「は〜い」
高校生の頃。
舞はアイドルになり忙しい。
学校も別々になった。
俺の部屋。
俺は舞が出演しているテレビ番組を観る。
「ああ、俺の舞、綺麗すぎるんだぜ……」
俺は一人でテレビ番組を楽しみながら、みかんをむいて食べた。