第16話 ホラー映画
舞がアイドルになる前の日常。小学生の頃の話。
俺の部屋で、舞と一緒にホラー映画を観た。
「怖すぎるって、これは小学生が観ていいレベルのホラー映画じゃないよ……」
「ふふ、公介が観たいって言ったんじゃない」
「舞……今日も泊まっていってくれ。舞がいないとマジでやばいわ、絶対寝れない」
「しょうがないわね。今日も一緒に寝よっか」
舞と一緒にベッドで寝る。
「ほら、おいで、怖がりな公介くん」
「うるせー」
文句を言いながらも、ベッドに上がり、舞に抱きつく。
「しかし、怖い映画だったぜ……」
「もう、いつまで言ってるの……ほら」
舞が頭や背中をなでなでしてくれる。
「ああ……気持ちいい」
「ほら、こうしててあげるから、安心して寝なさい」
「うん……」
深夜、目が覚める。
トイレ行きたい……。
「ん……公介?」
「あ、ごめん、起こしちゃったな」
「どうしたの? トイレ?」
「うん……」
「じゃあ、ついて行ってあげる」
「なんでだよ?」
「だって、怖いんでしょ?」
「いや、さすがに大丈夫です……」
「本当に?」
「大丈夫だって」
舞には強がったが、暗い廊下に出た時点でもう怖い。
俺は舞の身体のぬくもりを思い出すことで、なんとか勇気を出し、トイレに行った。
部屋に戻る。
「あ、帰ってきた」
舞はベッドの上で、おいで〜と両手を広げる。
「舞〜!」
俺は舞の胸に飛び込む。
「ふふ、よく頑張ったわ、公介」
「うん……」
「手を洗うのは忘れてない?」
「洗ったよ」
「偉いわ。じゃあ寝ましょうか」
舞は俺を抱きしめたまま横になる。
「おやすみ、公介」
「おやすみ、舞」
美しすぎる幼馴染に、恐怖から守ってもらった……。