第140話 たい焼き
舞がアイドルになる前の日常。中学生の頃の話。
学校からの帰り道。
「うー、さむさむ、舞、ギュッてして〜」
「いいわよ、おいで、公介」
「わ〜い」
「はい、ギュ〜ッ」
「あったか〜い」
「うふふ、公介、今日はどこかに寄ってく? 何か食べたい?」
「う〜ん、そうだな……たい焼き食べたい!」
「わかったわ、行きましょう」
というわけで、たい焼きを買いに行く。
「公介、どれがいい?」
「あんことカスタードクリームか……うわ〜、どっちにしようかな〜」
「どっちも買って、半分こしましょう」
「名案だな!」
たい焼きを買って、公園で食べる。
「はい、公介、あ〜ん」
「それ、あんことカスタード、どっち?」
「食べてからのお楽しみよ」
「なるほど、あむっ、カスタードだ、美味いっ!」
「はむ、本当ね、美味しいわ」
舞とたい焼きを半分こして食べた。
そして、同棲している現在。
舞が家庭用のたい焼き器を買ってきてくれた。
さっそくたい焼きを作ってくれる。
しかも、セクシーなナースのコスプレをしながらだ!
たい焼きを作りながら、同時にセクシーなコスプレで俺をよろこばせてくれているのだ。
国民的アイドルが、夜はセクシーなナースのコスプレをして、たい焼きを作っているとは、誰も思わないだろう。
「さあ、公介、できたわよ。熱いから気をつけてね」
「いただきま〜す! うん、美味しい〜!」
「ふふ、よかったわ。他にもいろんなたい焼きの具を買ってきたからね。栗とかチーズとかポテトサラダとかね。次はどれを食べたい?」
「すっごい美味しそうなんだけど、申し訳ない!」
「あん」
俺は舞を抱きしめる。
「舞がそんなセクシーなコスプレしてるから、もう俺、俺っ!」
「ふふ、我慢できない?」
「うん!」
「しょうがないわね。悪いのはこんなにセクシーなナース服を着てる私よ。もう我慢しなくていいわ、公介」
「ありがとう、舞〜!」
「ああっ、公介〜!」
愛し合った後、またたい焼きを食べた。
「栗入ってるの美味いな〜」
「次はポテトサラダ入れてみましょう」