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第12話 アイドルになった理由

 音楽番組を観ていたら、初々しい新人アイドルがアイドルを目指した理由を語っていた。


 そういえば舞がアイドルを目指した理由をちゃんと聞いたことはなかったな。


 舞の夢なら応援するのが当然だと思って、気にしたこともなかった。


 いつも俺のことを最優先に考えてくれる舞が、俺と一緒にいるのが難しくなるかもしれないアイドルになるのは、ちょっと不自然な気もする。


 う〜ん、なんかいまさらだけど、考えているうちにすごく気になってきたな……。




「ただいまー!」


「おかえり〜、舞」


 俺は帰ってきた舞に、とりあえず甘えて可愛がってもらってから、気になっていたことを訊く。


「あの、ちょっと訊きたいことがあるんだけど……」


「ん? なに?」


「いまさらなんだけどさ……舞はどうしてアイドルになろうと思ったの?」


「私がアイドルになった理由は、公介を世界一幸せにするためよ」


「え……どういうこと?」


「私たちが子供の頃に一番人気があったアイドルが急に結婚を発表して、すごいニュースになったの覚えてる?」


「ああ、なんとなく覚えてるよ。もう日本中が大騒ぎだったよな」


「その時に公介が言ったのよ。一番人気のあるアイドルがお嫁さんだなんて、その男の人はきっと世界一幸せなんだろうなって」


「俺は、そんなことを言ったのか……?」


「そうよ」


 たぶん子供の俺は、一番人気のあるアイドルはきっと世界で一番素敵な女の子で、そんな子をお嫁さんにできた男は世界一幸せなはずだ! と、単純に考えたのだろう。


「それを聞いて思ったの。私も公介を世界一幸せにしてあげたい。だから、私も一番人気のあるアイドルになって、公介のお嫁さんにしてもらおうって」


「そ、そういうことだったのか……」


 結局、全部俺のためだったのか……。


「もちろん、それは一つのキッカケで、今はこの仕事を本当に楽しんでいるけどね」


「そうか、それはよかった」


「それで、どうなの? 恋人が一番人気のあるアイドルになった気分は?」


「そうだな……たしかに気分はすごくいいよ。みんなが憧れる国民的アイドルを、独り占めしている優越感もあるしさ」


「ふふ、そうでしょ」


「でも、俺は舞に愛してもらえるだけで、もう世界一幸せな自信があるけどな」


「それは私だってそうよ。公介に愛してもらえたら、それだけで世界一幸せだって思えるわ。だけど、どうせなら贅沢にたくさんの夢を叶えたいじゃない?」


「うん、そうだね。俺も、もっと舞が世界で輝くのをそばで観ていたいよ!」


「ええ、もちろん。もっともっと活躍して、公介を宇宙一幸せにしてあげる! だから公介、もっと頑張れるように、私を愛してパワーをちょうだい」


「ま、まかせとけっ!」


 国民的アイドルのさらなる飛躍のため、たくさんの愛を注いだ……。

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