表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/282

第10話 号泣

 舞の出演した映画やドラマは、もちろん全部観ている。


 そこで問題になってくるのは、作品によってはイケメン俳優たちとのラブシーンがあることだ。


 だが、そういうシーンを観ても俺は嫉妬したりしない。


 舞はこれまでずっと、俺のことを愛して、可愛いがって、お世話をしてくれたからな。そんなことでいちいち嫉妬していたら舞に失礼だ。


 まあ、もちろんいい気持ちではない。


 だから、そういったシーンがある場合は、あらかじめ教えておいてもらって、心の準備をしてから観ることにしている。




 だが、あらかじめ教えておいてもらっても、心の準備をしていても、耐えられなかったシーンがある。


 それは、舞が演じる女性が死んでしまうシーンだ。


 前にドラマで、重い病気で余命がわずかと知りながら、それでも前を向いて強く生きる女性を演じたことがあった。


 その女性はドラマの最後に、家族や友人に見守られながら亡くなってしまう。


 俺はその悲しい結末をあらかじめ教えてもらって、心の準備をしていたにも関わらず、舞が死ぬシーンを観たあと、涙が止まらなくなってしまった。




 そのあと舞に会ってドラマの感想を話している時にも、俺は号泣してしまった。


 涙と震えが止まらない俺を、舞は優しく抱きしめ、慰めてくれた。


「もう泣かないで、公介。あれはドラマなんだから、ね?」


「うん、でも、でも……ううっ」


「ほら、おいで、公介。安心するまでこうしててあげる」


「舞……ぐすん、舞〜っ!」


 舞は、俺が泣きやむまで、抱っこしてなでなでしてくれた……。




 というわけで、舞が死んでしまうシーンは、事前に知っていても、心の準備をしていても、耐えられないことがわかった。


 それ以来、舞がドラマや映画で死ぬシーンはまだないが、あってもたぶん観れないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ