第1話 秘密の同棲
俺はアイドルと付き合っている。
俺は橘公介。この春、高校を卒業したばかりだ。
そして俺が付き合っている相手は、人気ナンバーワンの国民的アイドル、宮沢舞だ。
リリースした曲はすべて音楽チャートで1位になり、全国ドームツアーも大成功した。
主演をつとめたドラマは高視聴率を叩き出し、社会現象にまでなった。
また主演をつとめた映画も大ヒットして、大きな映画祭で賞をもらった。
スタイルも抜群で、水着写真集を発売したときは、お店に行列ができてニュースになるほどの記録的な大ヒットになった。
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そんな圧倒的な活躍をしている国民的アイドルが俺の恋人だ。
今は超高級マンションで同棲していて、ラブラブな日々を過ごしている。
人気アイドルなのに彼氏がいて、しかも同棲していることがバレたら、きっと大変なことになるだろう。
でも大丈夫。俺と舞の関係がバレることは絶対にない。
なぜなら、俺はこの家から一歩も外に出ないからだ。
そしてこの家に俺がいることを知っているのは、世界で舞ただ一人だけ。
週刊誌の記者も、まさか家の中に不法侵入してまで取材はしないだろう。
これが絶対に誰にもバレずに国民的アイドルと付き合う方法だ。
このシンプルだが完璧な作戦を考えたのは舞だ。
俺と国民的アイドルの舞は、同い年の幼馴染だ。
家が隣で、物心ついた時から仲良しだった。
子供の頃から、お互いのことがとにかく大好きで、成長してもそれは変わらず、自然な流れで付き合うようになった。
たが、俺と舞が付き合っていることは、二人だけの秘密だった。
なぜなら、舞にはアイドルになるという夢があったからだ。
アイドルといえば恋愛禁止。
だが、舞は俺と別れる気などない。
だから舞は、俺と付き合いながらアイドルになる方法を考えた。
それが、今の秘密の同棲だ。
舞はアイドルとして成功できたら、同棲するための家を用意して、俺を迎えに来ると言った。
俺もこの計画を聞いたときは驚いたけど、すぐによろこんでオーケーした。
舞と一緒にいられるなら、一生家から出られなくていいとさえ思った。
それから舞はすぐに芸能界で大ブレイクをし、圧倒的な活躍を続けて、国民的アイドルとまで呼ばれるようになった。
そして、超高級マンションで一人暮らしを始めた舞は、約束通り俺を迎えに来てくれた。
まず、俺が家に一人でいる時に、舞が車で迎えに来る。
俺は舞の用意してきた大きなスーツケースの中に入る。
あとは舞が、俺の入ったスーツケースを自宅に運ぶだけ。
こうして俺は誰にも知られることなく、国民的アイドルの住む、超高級マンションにたどり着くことができた。
ちなみに俺の両親には、バックパッカーになって世界を旅してくると言ってある。
つまり俺がここにいることを知っているのは、世界で舞ただ一人だけというわけだ。
舞が誰も家に入れず、俺が外に出なければ、誰かにこの同棲がバレる可能性は限りなくゼロに近い。
こうして俺たちは秘密の同棲をスタートさせた。
それから一週間
国民的アイドルは当然忙しいし、一緒にいられる時間は少ない。
それでも舞が家にいるときは、いっぱいイチャイチャして、愛し合って……最っ高に幸せだ!
「それにしても、舞、今日も遅いな〜……おっ!」
玄関から音がした。舞が帰ってきたんだ!
「ただいま〜、公介」
ああ、舞! 本当に綺麗だ! 子供のときから一緒にいるのに、いまだに顔を見ると綺麗すぎてビックリする。
「おかえりっ、舞!」
俺はさっそく舞に抱きついて甘える。
「あん、ふふ……どうしたの? そんなに甘えて、寂しかったの?」
「……うん」
「ごめんね、遅くなっちゃって」
そう言って頭を優しく撫でてくれる。癒される〜。
「お腹すいてない? ご飯はもう食べた?」
「うん、大丈夫。食べたよ」
「そっか。じゃあ寂しくて泣いていた公介を慰めてあげたいから、ソファーでイチャイチャしましょうか」
舞がソファーに座る。
「別に泣いてはいないんだけど……」
「強がらなくていいから。ほら、おいで、抱っこしてあげる」
舞が両手を広げて俺を誘う。
もちろん、俺は素直に甘えさせてもらう。
「舞〜っ!」
「あははっ、よーしよし、いい子いい子」
舞に抱っこされて、頭や体を優しく撫でてもらう。
「なでなで気持ちいい?」
「うん……すごく気持ちいい」
「じゃあ、もっとしてあげる。なでなで〜」
「あ〜っ」
そのまましばらく、舞とイチャイチャした……。
「舞、明日も朝早いの?」
「ええ、そうよ」
「じゃあ、そろそろ休んだほうがいいんじゃない?」
「そうね。寝る前にお風呂に入るけど、公介はどうする?」
「一緒に入る!」
舞と一緒にお風呂に入り、お互いの体を洗いっこした。
お風呂からあがったら、舞の髪をドライヤーで乾かしてあげる。
そのあとは、舞に俺の歯を磨いてもらう。
俺は外に出られない。ということは歯医者にも行けない。
だから歯ブラシだけでなく、いろんな道具を使って念入りにキレイにしてもらうのだ。
二人で寝室へ。
舞はセクシーなネグリジェ姿で、大きなベッドに横になると、俺に艶っぽい視線を向ける。
「ほら、公介もおいで」
「うん……」
大切な幼馴染で、愛する恋人で、人気ナンバーワンの国民的アイドルでもある舞と、甘い夜を過ごした……。