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4話 初ダンジョンで褒められて嬉しくなった話

 僕達はダンジョンの1階層にいる。

ダンジョン内は石造りで構成されており壁に光る苔により目で見える程度の明るさがあった。

よく見ないと小さな段差につまづきそうになるのでニイさんが時折気をつけるよう声をかけてくれていた。


 今何をしているかというと、僕達は大きなネズミをマヤさん、ぼんちゃん、僕で取り囲み棍棒でボカスカ叩いていた。

必死になって棍棒で叩きつけていると酸欠気味になって段々と頭がフラフラしてきた。

この大ネズミしぶとい。しぶとすぎる! いつまで叩けばいいんだ。無酸素連続殴打拳が通じないなんて!(命名は僕が今考えた)マズイ! テンションがハイになってるかもしれない。

僕は一体どうしてこんなことになったんだろう、と思い返していた。



ーーーー



 売店で装備を整えて食堂で昼食を摂ったのちダンジョンへと向かった。

途中ニイさんがダンジョン探索の申請をしてくれた。

ダンジョンは冒険者ギルドに管理されている。管理されていない野良ダンジョンもあるがそれは非常に危険なので見つけ次第報告しなければならないらしい。

 ダンジョン探索に行くのに必要なものは、パーティの構成表、探索工程表、持ち込み装備の申告書、救助時の緊急連絡先、誓約書、生命保険申込書または加入確認書などというように多岐に渡る。

僕が初めソロで探索しようかと考えていた理由の一つにこの提出書類の煩雑さにあった。

野良パーティでもこれらの書類を書かないといけないし書類仕事が苦手な僕はこれだけで大仕事を終えた気持ちになってしまうだろう。

ソロであればいくつかの書類が毎回同じになり転用出来るので楽が出来ると考えていた。

冒険者ギルドが固定パーティを推奨している理由もこの書類のせいもあるかもしれない。

登録はあんなに適当だったのにここのカウンターの職員は大真面目だった。見かけただけでも何組かが追い返されていた。

 そんな書類をニイさんが職員と軽く雑談しながらパパパッと提出し終えて僕達への方へと戻ってきた。

 

 流石E級だ!


 僕はまだクラン設立を考えるのは早かったかもしれない。とニイさんを見て感じた。



ーーーー



 なんとか大ネズミを倒すことに成功した僕達はゼェゼェと肩を揺らしながらへたり込んでいた。

 後ろから腕組みをして見ていたニイさんが今倒したばかりの大ネズミを剣で撫で始めた。


 「見てごらん。こことここを切断すると筋肉が外れてダランとしているだろう?

 もし剣で戦う場合はここを撫でるといいよ。簡単に無力化できる」

 とニイさんが大ネズミの解体ショーを始めた。

 見るようにと声を掛けられているが僕達は今ちょっとそんな余裕ないです。ごめんなさい。

 

 なんとか呼吸を整えて近づいてみると大ネズミが開胸されていた。


 「これが魔臓器だね。この位置にあるのを覚えておくといいよ。

 お、魔石発見。魔石はここに出来るから倒したら取り出すようにね。あとでお金になる」

 

 ニイさんが大ネズミの魔石の位置を教えてくれる。

 魔石とはダンジョン内のモンスターから生成される鉱石であり、今の生活には無くてはならない物だ。魔石のある社会というのが前提にある。

 冒険者はモンスターを倒して魔石を集めることで収入を得ることが出来るので、教えてもらえるのはありがたいけどまだちょっとフラフラします。ちょっと休みたい。本当にちょっとでいいから。横になりたい。

 そんなことを言えるはずもなく僕はニイさんの解説を聞いていた。ちなみにマヤさんとぼんちゃんは横たわっている。


 「棍棒の場合はどうすればいいんですか?」

 剣でのコツばかりを教えてくれるので剣を買った方が良かったんじゃないかと思い始めてつい説明を遮って聞いてしまった。


 「棍棒の場合はねぇ...

 ちょうど良いところに大ネズミが来たから棍棒を貸してみて」


 僕はニイさんにそう言われ棍棒を渡した。

 でもその棍棒は何回殴っても大ネズミに効かなかった棍棒だ。とても有効打を与えられるような武器ではない。


 「棍棒を使う場合は頭を狙った方がいいよ。

 こういう風に、ね」


 とニイさんはなんともないように棍棒を振りかぶり大ネズミの頭を殴りつけた。

 

 「頭蓋の弱い箇所があるからこの角度で棍棒をぶつけるとこういう風にクリティカルが出て倒せるよ。

 これは<脳天割り>という技だね。

 棍棒を使い始めると1番始めに生えてくるスキルだから覚えておくといい。

 1番初めに覚えるスキルなのに威力は極悪だ。

 クリティカルが出れば確実に仕留められる。

 角度は...これじゃ説明できないから開いた方で言うか」


 ニイさんは頭が凹んだ大ネズミをポイッと通路の脇に投げて、棍棒を片手に開きになった大ネズミの頭を掴みどういう方向でどう殴ると良いか丁寧に教えてくれた。


 「なるほどー。すごいですー」

 とマヤさんが褒める。


 「勉強になります!」

 とマヤさんを真似てか、ぼんちゃんも追従する。


 「おかしいな?君たちには前にも同じこと教えたはずなんだけど...」

 とニイさんが二人に対してツッコミをしていた。




ーーーー




 その後も大ネズミとの戦闘を重ねていき、僕は4体目の大ネズミの頭をカチ割った所で<脳天割り>のスキルを覚えた。


 「スキルを覚える、会得した」という感触は形容し難いが体の中にあってそれを引き出すという説明しか言いようがない。

 決められたコマンドを一度入力すると勝手に出力されるというか、なんていうか。

 ニイさんのようにこの技はこうやってこうすると説明されるとスキルが生えやすくなるのかな?

 ちなみに、マヤさんとぼんちゃんはまだ<脳天割り>のスキルを覚えていない。


 「こればっかりは練習あるのみだねぇ」

とニイさんは二人を励ましていた。


 「それに対して橘くんは才能があるかもね。こんなにスキルの上達が早いと教えがいがありそうだ」



 そんな事を言われて僕は嬉しくなったがクランに入らなければそれももう無いのだろうな、と思い、3人がワイワイしているのを眺めつつ密かにクランに入るかどうかで悩んでいた。

 僕はまだ体験見学なのだから。

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