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31話 職業適性

 ダンジョン1階層


 僕たちはダンジョンの2階層を目指し、いつものように1階層を通り過ぎる。


 いつもと違っていたのは、パーティーに2人増えている点だ。


 雨宮(あまみや)イチゴと竜宮(りゅうぐう)セツナは、今日新たに僕たちのクラン<Splendid isolation>━━略称SIS(シス)に加入した2人だ。


 彼女らは、クラン<ストロベリーウィッチ>━━略称ストウィのクランリーダーとサブリーダーだが、冒険者登録を同一人物が複数回できることを利用して、サブ冒険者名義でSISに加入したのだった。ちなみに、サブ冒険者名はそれぞれ「雨宮イチゴ@倉庫」、「竜宮セツナ@倉庫」という複数作成を隠さない堂々とした名前をしていた。

 元々はストウィの下位クランの<15キャンディー>━━略称15K(イチゴケ)に籍を置いていたのだが、四日前の事件によって僕たちのクランに加入することになったのだった。


 加入して早々、イチゴは「各人の技量を見たいからダンジョンに行くわよ」とダンジョンへと潜ることを提案した。


 元々、ダンジョンへは潜る予定だった僕たちには異論はなく、パーティーに2人を加えて、いつものようにダンジョン2階層でスケルトンとの特訓をすべく、潜っていくのだった。


 時々、遭遇する大ネズミや大ニワトリは、僕とぼんちゃんとマヤさんの3人で対処していく。


 職業が戦士で棍棒を武器として使っているのが僕とぼんちゃんだ。

 そして、職業が僧侶で右手にレイピア、左手にダガーを握り戦っているのがマヤさんだ。


「思ったんだけど、僧侶なのにレイピアっておかしくない?」


 イチゴは僕たちの戦闘を腕組みしながら眺めており、同じく腕組みして眺めていたニィさんに話しかけた。ニィさん、イチゴ、セツナの3人はダンジョンに潜り始めてからずっと後方腕組み見守りモードになっていて、戦闘に一切参加していなかった。


「私も転職を勧めたんだけどね、マヤに僧侶に拘りがあるみたいなんだよ」


「ふーん、僧侶ねぇ。適性が真反対じゃない? 生まれの適性で考えるなら魔法使いか司教だと思うけど。

 職業ボーナスが乗るし早めに適性に合った転職をしておいた方がいいんじゃないの?

 レイピアさばきを見てると、僧侶より戦士でも良さそうね。あれは我流で身につけたの?」


「レイピアは私が教えたよ。マヤは筋がいい」


「あーね。<(セイント)白騎士団(ホワイトナイツ)>仕込みの剣技ね。道理で見覚えがあるレイピアだわ。

 まだあの女は生きてるの?」


「辞めさせられた時に半殺しにしてから、久しく会ってないけど、団長はまだ生きてるんじゃないかな?」


「ふーん。私の時は全殺しだったのに、あの女は半殺しだったのね」


 僕たちが戦闘している間、イチゴとニィさんはマヤさんの職業について語っていた。


 <(セイント)白騎士団(ホワイトナイツ)>はニィさんが以前在籍していたクランの名前だ。

 教会関係者が多く在籍しているクランで、僕が暮らしていた孤児院にも時々何人かがマリアさんを訪ねて遊びに来てくれていた記憶がある。

 来た時には決まって野菜を持ってきてくれていたので、冒険者ギルドに来てから一度も誰とも出会えていないが、割と僕は彼らのことが好きであった。

 そんな彼らの団長とニィさんは面識があるようで、尚且つニィさんが団長を半殺しにしているという話は非常に気になったが、僕たちはまだ戦闘しており、話の先を聞くことが出来なかった。




 僕たちが戦闘を終えた頃には、マヤさんの職業についての話に戻ったようだった。

 職業は自分がそうだと言い張ればその職業に就くことが出来るのだが、適性がある職業の方がスキルが生えやすく、成長も早くなると言われている。その為、自分の適性が分からない場合は適性検査を受ける事を勧められる。


 そういえば、マヤさんは僧侶なのに<小回復>などの僧侶の基本スキルを使ったことがなかった。

 もしかしてマヤさんは適性が無くて基本スキルさえも覚えられていない状態なのではないだろうか。


「あーもう! マヤ、あんた、今日終わったら適性検査受けなさい!

 職業のマイナス補正がかかっているレイピアでその技量なんだから、ちゃんとした職に変えてダンジョン潜った方がいいわ!」


「えー、私はこのままでいいよー。検査のお金ももったいないし」


「なら私が代わりに出すから受けなさい」


「えー」


 マヤさんは今日のダンジョン探索が終わったら無理やり適性検査を受けさせられることになった。



TIPS【雨宮イチゴの下位クラン<15キャンディー>】

キャンディーって頭文字KじゃなくてCですが、イチゴの脳内ではKです。

クラン登録する際に略語の登録をイチゴが間違えたためそうなっています。

イチゴケのクラメンは略語を見るたび、そんなイチゴを思い出しほっこりしています。

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