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10話 クランポイント

 一対四となったその後の戦闘は僕達が勝った。

 しかし、勝利の代償は大きかった。


 負傷した戦士2人は意気消沈していた。

 大ネズミに噛まれた戦士の足は、噛まれた箇所が紫色に変色し大きく腫れて痛みの為に歩く事もままならず、顔面を齧られた戦士の傷は僧侶の<小回復>で塞がってはいたが造肉、造血効果は無いのか元の顔には戻らなかった。

 魔法使いも僧侶もスキルを使い果たしてしまい、パーティで動けるのは僕と盗賊の2人のみだ。

 このまま進むのは危険だと判断し戻る事を伝えようとふと盗賊の方を見ると、盗賊は何かを見つけたようだ。嫌な予感がする。


 「何を見つけたんですか?」

 「宝箱だよ。大ネズミが隠してたんだ。中にはお宝があるぜ」


 盗賊はそう言いながら宝箱を開けようとした。


 「待ってください。その宝箱には罠があるかもしれません。戦士が2名も怪我をして戦えるのは僕とあなたぐらいしかいないんです。

 罠に引っかかっても助けられませんよ」

 「! まるで俺が解錠に失敗する様な口ぶりだな。

 あいにく俺は失敗したことが無いんでね。素人は黙っとれ」

 「...どちらが正しいか、多数決を取りましょう。

 今宝箱を開けるか、そのままにして置いておくか」


 多数決を取った結果、三対一で宝箱を置いて行くことになった。戦士の2人は反応が薄いので白紙票とした。戦士にも意見を聞くべきだ!こんな大変な思いをして成果ゼロはダメだろ!と最後まで盗賊は反論していた。


 盗賊との関係が悪くなった僕は戦士2人を担いで冒険者ギルドへの戻る道を先に進んだ。

 あまり奥まで来ていなかったのですぐ戻れるだろう。

 何歩か進むと後ろでウッという呻き声と倒れる音がした。


 振り返ると盗賊が倒れていた。

 僧侶が倒れた盗賊に近づき、宝箱の毒針の罠にかかって死んだことを告げた。


 盗賊は宝箱を諦めきれず僕が先に行ったのを確認して黙って宝箱を開けたようだった。

 恐らく解錠に成功していたら中のお宝は黙って自分の物にするつもりだったのだろうと思えた。



 ━━━━どうしてそんなバカな事をするんだ!!!

 


 僕は今日何度目か分からないが呆れた。



----



 必死の思いで戦士と盗賊の3人を担いで冒険者ギルドへと帰ってきた。

 入り口に立っている職員に盗賊が死んだ事を告げると、そういう報告はここじゃなくて探索課にしろと言われ、行き先を教えられた。


 入り口にへたり込んでいる4人に対して報告してくると伝えて、教えられた場所へと向かった。



 探索前に行ったカウンターが探索課だった。

 そこで僕は探索の終了と盗賊が死んだ事を報告した。


 探索前には死亡時の対応をどのようにするかという質問用紙があり。そこに盗賊は蘇生を希望していたようだった。

 しかし蘇生費用には1億円かかるがその費用はパーティの誰かに借りて行うという条件付き蘇生方式となっていた。

 

 職員から蘇生をどうしますか?と聞かれ他のパーティにも確認しますから待って下さいと告げ、その場を離れた。



━━━━誰があんな奴を1億円も払って蘇生なんてするんだろう!!!



 他のパーティの4人は見るからに金を持っていそうになかった。僕も含めて1億円なんてのを見たことがない生活をしてきたと思う。

 答えが決まりきっている質問をするのが僕には憂鬱だった。


 僕は戻る前に換金をすませておこうと思い換金所に来た。

 少しでも問題を先送りにしようとする僕の細やかな抵抗であった。

 また、ダンジョンの入り口まで行って質問してまた探索課と換金所に行くのは面倒だと思えたからだ。


 大ネズミの魔石3個を換金所の受け取りトレーに置いて職員へと渡した。

 テキパキとした動作で価格表と見比べて職員は僕に600円を渡してきた。

 あんな想いをして600円にしかならないのか。


 冒険者が儲かるというのは一般的な意見であり1階層のモンスターを狩ったところで億万長者になることは無い。そんなことがあれば今広間にいる冒険者が全員億万長者だということになる。

 モンスターの素材は企業や研究機関が高く買い取ってくれるが当然供給量が増えると価格が落ちていく。

 その為、冒険者はより深くより遠くまで潜りモンスターの素材を集めてくる。

 冒険者が最深階層の更新を競い合っているのはそのせいだ。新たな資源、新たな素材を求めて冒険者はより深くまで潜る。


 とりあえず受け取った600円を6人で分けるか。いや5人で良いのか?

 こういったお金の分配でトラブルになるのが冒険者の常だ。

 ここはしっかりと分けなければ。盗賊に遺族がいればその人に100円を渡すことにしよう。

 と換金したお金の行先を考えていたら、職員が続けて機械的な営業スマイルで言葉を発した。

 

 「おめでとうございます。

  今回の納品でクランポイントが規定値を超えましたので、冒険者ギルドからプレゼントが贈られます。

  プレゼントはクランボックスに届けていますので後で確認をお願いしますね。

  それではまた引き続き冒険者ギルドをよろしくお願いします」


 プレゼント?何の?クランポイントの?

 僕は意味がわからず混乱した。

 詳しく聞こうかと思ったら後ろに3人並んでいた冒険者からの圧で退いてしまった。


 クランポイントってモンスターを討伐したり納品を達成したときに貰えるポイントだったな。

 僕のクランっていくつポイントが貯まっているんだろう?


 疑問に思った僕はカウンターの横にある情報端末ーパソコン、を操作してクランポイントを調べてみた。


 コンソールを操作しクリックを進めるとクランランキングのページにたどり着いた。

 ここの冒険者ギルドのクランポイントのランキングのようだ。

 他の支部のランキングもこのコンソールで見れるのかな。

 とりあえず見てみよう。




▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


中部復興エリア3 冒険者ギルドクランランキング

集計期間2050年1月1日0時〜2050年3月31日23時59分

※現時点での集計結果となります。正確な結果は集計期間後に確認ください。


順位 クラン名           人数

1位 [BUS]ブシドースピリッツ   [54/60]

2位 [FOX]火狐紅蓮隊       [45/60]

3位 [STW]ストロベリーウィッチ  [38/40]

4位 [GRA]Grab the glory [39/40]

5位 [HWK]聖白騎士団      [22/40]

6位 [COM]コンパス       [18/20]

7位 [SAN]卍三卍        [18/20]

8位 [PON]ぽんぽこ凛      [15/20]

9位 [15K]15キャンディー    [19/20]

10位 [SIS]Splendid isolation    [6/10]


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


 僕が入っているクランがそこにはあった。

 10位のSplendid isolationが僕の所属クランだ。

 あれ?このランキングってここの冒険者ギルド内だけのランキングだから10位に入っているんだろうか。

 6人しかいないのに入っているということはあまりクランの数がないのかな。


 クランポイントでランキングは決まる。

 そのランキングは定期的期間ごとのポイント集計で決まる。

 今回は1月から3月の期間の集計というわけだ。

 全期間の総クランポイントの累計により、クランの収容人数は10人、20人、40人、60人。。。という風に大きく変わり、クランランクと所属人数に応じてクランルームの豪華さのランクは変わっていく。


 気になったので僕はクランのポイント内訳を見ることにした。



▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


中部復興エリア3 冒険者ギルドクランランキング

集計期間2050年1月1日0時〜2050年3月31日23時59分

※現時点での集計結果となります。正確な結果は集計期間後に確認ください。

※プレゼントは集計期間内にクランポイントを獲得した冒険者のみ与えられます。ご注意ください。


順位 クラン名         ポイント

10位 [SIS]Splendid isolation   15,000,010 pt


名前              ポイント

新高山昇         14,993,500 pt

ゴールデン⭐︎ゴージャス       5,000 pt

梵天丸                800 pt

マヤ                 550 pt

橘正義                120 pt

スワロー               40 pt


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



?!


ニイさんの獲得ポイントが他のメンバーと比べて段違いだ。

何かの間違いでは?どういうことだろうかと混乱していると後ろでザワついているのに気づいた。


見るとカウンターの上にニイさんが<空間収納(アイテムボックス)>を使い大量のモンスターの肉片やキラキラした鉱石を取り出している所だった。

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