なぜワクチン接種後に死んでもワクチンの副反応で亡くなったことにならないのか
日間エッセイランキングで一位になったみたいですね。
評価・ブクマしてくださった方に感謝を。
みんな厚生労働省のHPとかちゃんと見に行ってね!
前回書いた『なぜPCR検査よりワクチン接種を優先するべきなのか』が色々反応をいただけて色々勉強させていただきました。
頑張って執筆したかいがあったというものです。
さて、まずは前置きをさせていただきます。
もし、あなたが新型コロナウイルスに関連する情報を求めるのでしたらあなたがまず見るべき場所はここではありません。
それは小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラスのような小説投稿サイトではありません。
Wikipedia・ブログ・noteのようなサイトでもありません。
ニュースサイト・まとめサイト・速報サイトでもありません。
YouTube・ニコニコ・TikTokのような動画投稿サイトでもありません。
Twitter・FacebookなどのSNSでもありません。
テレビのニュース・新聞・雑誌・本でもありません。
最初に見るべきものとは、厚生労働省やWHO、アメリカのCDC、EUのEMAなどの、政府や世界的な公的機関が配信する情報です。
さらに言えば『NEJM』(The New England Journal of Medicine)、『The Lancet』といった査読制の質の良い医学誌に掲載された論文も読むべき第一情報です。
しかし、上記の情報源は古い情報が混ざっていたり、言語が英語だったり、論文は読むのが難解だったりと欠点も存在します。
したがって一般市民の私達は必然的に『誰か』が翻訳・解説した二次情報を読むことがメインの情報収集方法になってきます。
この『誰か』がというのが実に問題です。その人によって一次情報は好きなようにバイアスを掛けることが可能だからです。
故に色んな人や組織・サイトから配信されているものを多方面に情報を得て判断するというのは現代の情報リテラシーとして決して間違いではありません。
そこまでご理解していただけた上で、この先の文章を読んでください。
私の書く文章をすべて真に受けるではなく、読んでいただいたあなたの判断材料の一つとして採用してくださるのでしたらそれこそが一生懸命書いた私にとっての幸せになります。
さて、本題へと進めていきましょう。
俗に「反ワクチン」と呼ばれる人たちの論調は色々ありますが、最近は概ねの方向性が決まってきた感じがあります。
一つは長期の安全性の不安視。
これは証明することが極めて難しいと言うか不可能と言っても良い悪魔の証明の一つでしょう。
なぜならば、厳格に言えば十年後の安全性は十年後にしかわからないからです。
とはいえ、基本的にワクチンにおいて重篤な副反応は通常、投与後数日から数週間以内に起こります。
比較的長い期間経過後に副反応がでるものは生ワクチンと呼ばれるタイプがあります。生ワクチンは弱毒化させたウイルスをワクチンとして接種するので接種後数週間経って発熱などの症状が出ることもあります。
これ以降の長期的副反応に関しては過去の歴史上ではほぼ存在しないですし、疑われていたものも検証により否定されています。
また、日本で使用されているワクチンで使われるmRNAは接種後数日以内に分解され、作られるスパイク蛋白も接種後2週間でなくなると言われています。
mRNAワクチンという存在はまさに新規存在と言っても良いかもしれませんが、基礎研究は何十年も行われてきており、そこでも長期の副反応というのは見つかっていません。
もちろん、見つかっていない長期の副反応が出る確率は零とは言えません。とはいえ、そんな存在するかもわからない長期の副反応を気にするほどでしたらもっと気にするべきことがあるような気がします。
と、「反ワクチン」の論調の一つに関して書いたところでここからが本題です。
『なぜワクチン接種後に死んでもワクチンのせいで亡くなったことにならないのか』です。
もしワクチン接種による副反応により亡くなった場合、予防接種健康被害救済制度というものがあり、4420万円が遺族へ渡されることになっております。
しかしそれをおとなしく払ってくれるのか? という政府・厚生労働省への不信感もあると思います。
こればっかりは過去のイメージもあるので致し方ないというところがあるのは私も否定できません。
払いたくないから、ワクチンの副反応でなくなったことにしないようにする。なんて考え方が出てきてもそれは仕方ないところがあるとは思います。
さて、厚生労働省は7月7日時点の報告として新型コロナウイルスワクチンの副反応疑い報告件数(有害事象)16182、死亡件数556という数字を公開しました。
ここで大事なのは、この死亡件数556というのは『接種後に亡くなった人の数』であり、『接種を原因で亡くなった人の数』ではないということです。
一つ例を上げましょう。
Aさんは、ラーメン屋にラーメンを食べに行きました。食事後Aさんは帰宅中に車に轢かれて亡くなりました。
この案件で、Aさんが死んだ原因はラーメンだという方はいないと思います。もちろん、Aさんがラーメンを食べに行かなければその日に車に轢かれるということはなかったので遠因と言えなくはないですが。
では、こうしてみるとどうでしょうか。
Aさんは、ラーメン屋にラーメンを食べに行きました。Aさんは帰宅後腹痛を起こしました。
これだけだと、ラーメン屋のラーメンが腹痛を起こした原因のように思えますね。ですが、答えは「調べないとわからない」です。
例えば、ラーメン屋を調べたらノロウイルスが検出された。腐ったものを使っていたなどが発覚すれば、ラーメンが原因の可能性が高まります。
ですが、Aさんは家から出る前に炎天下の中で一日放置してしまってた飲みかけのお茶を飲んでたかもしれません。
ラーメン食べたあとの腹痛なので、食中毒を疑ってしまいますが、ひょっとしたら虫垂炎(所謂盲腸)だったりするかもしれません。
新型コロナウイルスワクチンに対する有害事象や死亡事例というのも同様です。それがワクチン接種後に起きたことは間違いありませんが、ワクチンが原因であるのかどうかと言うのは調べないとわかりません。
そして、調べた結果、現在では死亡件数556のうち1件のみ「接種との因果関係を否定できない」という評価が下され、残りは「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの」、「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」へと振り分けられています。
(あと、評価中)
この「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」というのが不信感を呼んでしまうのだと思います。
とはいえ、これは仕方ないところもあります。
なぜなら、ワクチン接種を接種する前にその人の体を隅から隅まで調べることは不可能と言ってもいいからです。
基礎疾患・持病・常備薬など人の体調はそれぞれ異なるだけではなく、もしかすれば健康体のように全くピンピンしているのに実は心筋梗塞・脳梗塞一歩手前ってレベルに血管が詰まっていたりするかもしれません。
亡くなったあとに検死解剖して調べたとしても、直接的な死因は判明すると思いますが、それがワクチンによって起きたのか、それとも元々起きていたのかというのを証明することは極めて困難です。
それがわかるケースもあるとは思いますが、絶対数としては少ないでしょう。
つまり、個々の案件を見るだけではワクチンの副反応による死亡事例というのは証明することは難しいということです。
じゃあ、どうやったらワクチンの副反応による死亡事例と証明すれば良いんだ? となってきますね。
個々の案件で証明するのが難しいのであれば、集団で評価するのです。
木を見てもわからないのであれば、森を見て違いを見つけるのです。
これは薬の治験でおこわなれるのと同じ方法と言えます。
本番の薬を投与するグループ、偽薬を投与するグループで、効果の差を見るという方法ですね。
本物の薬を使って治る人もいれば、偽物の薬で治る方もいます。しかし本当に薬に効果があるのであれば本物の薬を使うグループのほうが良い結果にならないといけません。
ではワクチンの副反応ではどうすればいいのか。
ワクチン接種後のグループと接種前のグループで分け、特定の事象や症状に関して有意差がないかをチェックすることで、ワクチン接種での副反応を浮き彫りにすることが可能です。
例えば、ワクチン接種したあとに心筋梗塞を起こした人のパーセンテージが、接種していないグループより遥かに高い数字が出れば、ワクチン接種によって心筋梗塞が起きる可能性があるといえるというわけです。
もし、ワクチン接種後亡くなる人の数が通常の人の死亡率よりはるかに高いのであればワクチン接種によって何らかの原因で亡くなっている可能性があるといえると言えるわけです。
さて、では実際の数字を見ていってみましょう。
上では、新型コロナウイルスワクチンの副反応疑い報告件数(有害事象)16182、死亡件数556と記載しました。
この日までのワクチン接種回数は40177951回です。
接種後に報告されるレベルの副反応が起きる確率は、0.04%。
死亡事例が起きる確率は、0.0013%。
この死亡確率は航空機事故で死亡する確率である0.002%より低いということになります。
ワクチン接種後に亡くなる確率、低いですね。
では、一般の方との数字と比較してみましょう。
日本の人口は1億2500万ほど。そして1日で約3000人が亡くなるとされています。(厚生労働省のデータより)
ワクチン接種が始まったのが2/17。そしてこの報告のデータは7/2までのもの。つまりのべ135日です。
つまり、135日×3000人。単純計算ですが405000人が亡くなっていることになります。
40万5000÷1億2500万=0.324%。
はい、圧倒的ですね。
しかも、ワクチン接種は高齢者がまだまだメイン。つまりワクチン接種に後に亡くなる確率がもっと高くなってもおかしくはないはずなんです。
そもそも、ワクチンを打ってから誰も死なないなどと言うことが起きたら、それこそ新型コロナウイルスワクチンは不死の薬になれてしまいます。
東京スポーツで、辛坊治郎氏が『ワクチン打ち始めたら「30万人死ぬ」』と予言したという記事が掲載されました。
彼が言っているのも私と同じ論理です。
もちろん、ワクチンを接種した後亡くなってしまった場合、それがワクチンが原因であると思いたくなる気持ちはご理解できます。
私でも親がワクチン接種後に容態を急変させ亡くなったとなれば、ワクチンが原因だったんじゃないか? と思う気持ちが出てくると思います。
しかし、調査をし、データとして見る範囲では、現在のところ日本で使われているmRNAを使った新型コロナウイルスワクチンの副反応により亡くなったと判定できる方はいません。
海外では、別のアストラゼネカやJ&J製のワクチンによる血栓症などの副反応で亡くなった方は存在しています。
しかし、これらは日本では使用されていません。
もちろん、今後データが積み重なっていけば今まで見つかっていなかった・件数が少なすぎて評価不能であった症状や案件も、副反応として認められるケースは出てくると思います。
これは一つの事実として、7月12日にFDAがJ&J製のワクチンの副反応として「ギラン・バレー症候群」の発症リスクを追加しています。
具体的にはアメリカで約1250万回分のJ&J製ワクチン接種後、100件の発症が報告されています。
このうち95件は重症で入院が必要なレベル。発症との関連が疑われる死亡例も1件ありました。
このように、決してワクチンの副反応によって死亡したことを認めないなどということはありません。
しかし、どうしてもデータの不足などもあり、評価不能とせざるを得ないケースが多く発生してしまうのも事実です。
と言って、怪しいケースには全て補償するというのも無理があります。
(もちろんそうしてくれる方が安心できる要素は増えますが)
さて、『なぜワクチン接種後に死んでもワクチンのせいで亡くなったことにならないのか』への結論です。
一つは、個々の案件からではそれがワクチンが原因で有るまでを調べることには限度があるということ。
もう一つは接種者全体のデータや傾向からみたとしてもワクチンが原因と示すデータが出てこないこと。
になります。
ついでに、アメリカのCDCも同様に有害事象と死亡件数を上げておられるので計算してみましょう。
接種回数3億3100万回。有害事象438440件。死亡件数9048件。
有害事象発生確率は0.1324%、死亡確率0.002%となります。
有害事象の確率は高いですが、これはワクチン副作用レポート・システムであるVAERSが誰でも報告できるシステムだからです。
つまり、ちょっと腕が痛い、熱が出ているなんかでも自分で報告できてしまうのでパーセンテージが高くなってしまうのです。
一方で死亡確率は日本より少し高く0.002%。
アメリカでは死亡例のある副反応が出る可能性があるアストラゼネカ・J&J製ワクチンを使っててもこのぐらいなのです。アメリカの一般の死亡率を計算するのはちょっと手間がかかりそうなのでやめておきますが、少なくともこんな低いってことはないでしょう。
それぐらい、ワクチン接種後に亡くなる確率、さらに言えばワクチンの副反応によって亡くなる確率が低いということがわかるのではないでしょうか。
さて、「反ワクチン」の方々が上げる話は時に実に巧みです。
簡単に反証できるものもありますが、難しい話も多々あります。
もちろん、新型コロナウイルスワクチンは絶対にして完璧な薬ではありません。
打てば絶対にコロナにかからないかと言われるとそんなことはありませんし、副反応で死ぬ可能性は絶対にないのかと言われると断言はできません。
しかし、ワクチン接種によるメリットとリスクではメリットが上回るのは明らかです。
だからこそリスクを過剰にアピールしたするような不安を招く論説は非常に危険と言わざるを得ません。
不安に思う気持ちは理解できます。公的機関や政府の情報が信じられないという気持ちもわからなくはないです。
ですが、ワクチンの効果は様々な論文や研究データや実際の接種時のデータによって科学的に証明されています。
ここが反ワクチンの方々との違いです。
反ワクチンの方々が持ってくるデータは動画やテキストなどがメインです。もしくは、今回の有害事象のようにデータの一部の数字を強調したものをつかう感じです。
もし反ワクチン派の方々がもしワクチンの危険性や有効性がないを主張するならば論文を作り上げ、査読を受け、然るべきところで評価を受ければ良いのです。
それこそ、世界的な動きとなってるワクチン接種へしっかりとしたデータと論文によりブレーキを掛けた英雄として扱われるかもしれません。
しかし、そんな物は見たことがありません。
彼らは動画やテキスト、スピーチ、本などでワクチンの危険性を訴えるくせに、それを科学的に証明ししっかりとした論文として発表することができないのです。
もしそれが出来ていれば、ワクチン推奨派にできた論文を喜々としてぶつけてくるでしょう。
はっきり言えば、まだ効果があると論文やデータとして上げているイベルメクチン論者のほうが遥かに優れていると言わざるを得ません。
イベルメクチンの効果に関しては、私一個人としては効果があればいいなと思ってはいますが、盲目的にイベルメクチンでコロナが治せる、解決できるってのはあまりにも安直だと思いますし、それを否定する論文や研究データも多数出てきています。
最終的にイベルメクチンの新型コロナウイルスへの効果があるのかどうかの判定がどうなるかはわかりませんが、ちゃんとデータや論文で議論しあえている事はいいことだと思います。
話が少し脇にそれてしまいました。
ところで厚生労働省の有害事象を掲載している『新型コロナワクチンの副反応疑い報告について』というページには以下の記載があります。
○ワクチンの接種後には副反応を生じることがあり、副反応をなくすことは困難です。接種によって得られる利益と、副反応などのリスクを比較して接種の是非を判断する必要があります。
○副反応疑い報告では、ワクチンと関係があるか、偶発的なもの・他の原因によるものかが分からない事例も数多く報告されます。透明性の向上等のため、こうした事例も含め、報告のあった事例を公表しています。
○日常生活の中では、様々な事象が偶発的に発生しています。ワクチン接種の有無にかかわらず、死亡や急病といった事象も発生しています。接種の後に生じた事象も、それだけでは因果関係があるかどうかが分からないことに注意が必要です。
このため、報告のあった症例について調べるほか、同じような事例の頻度や自然発生と比べて多いかどうか、諸外国における同様の評価の状況などを参考にしながら評価することになります。
私が書いたことがほぼここにまとめられてますね(
最初からこれを貼っておけばよかったかもしれません。
さて、最後に私から。
「数字を強調してきたら割合を見ましょう。割合を強調してきたら数字を見ましょう」
ここまでお読みいただいてありがとうございました。
イベルメクチンに関して褒めてたら、
有効であるという根拠の一つである論文のデータが捏造であり、文章も盗作であったことがわかり撤回されたそうです。
もちろん、これでイベルメクチンが新型コロナウイルスに効かないと決まったわけではありませんが……。