地球での出会い
俺達は箸を伸ばすと、皿に盛られている唐揚げを掴んで口にした。
「いやぁ悪いなぁ、メシをご馳走になってもらっちまって」
金が無い挙句、空腹状態だった俺達はどうしようかと途方に暮れていた時に、一人の女性が話しかけて来て事情を話すと、女性の家である保坂家で食事をご馳走してくれることになった。
「お金だけでなく、家も無いと聞きました。今の世の中、これぐらいは当然ですよ」
俺達の向かいの椅子に座っている女性の旦那が俺達にそう言った。
この部屋には他に、俺達に話しかけた女性と、テレビの前のソファにこの二人の子なのか、一人の少年と二人の少女がいた。
「しかし、家も無いということは、貴方方も『神災』の被害に?」
「しんさい? 何だそれ?」
「知らないんですか? 15年前、突然世界各地で起きた自然災害の名称じゃないですか。世界中で頻繁に自然災害が起きたことから、神が引き起こしたなどと言われるようになり、神災と名付けられたじゃないですか」
この地球ではそんなことが起きていたのか。そう言えばワールドスペースからこの世界を見た時に、バランスが乱れていた痕跡があったが、そういうことか。
「悪いな。田舎者で何て言われてるのか知らなくて」
「そう……ですか? 結構知られていると思いますけど……」
やっぱ不思議に思ってんな。あんまり探索してくれないことを祈るか。
……やっぱり怪しまれない内にお暇するか。
俺は箸を置いて立ち上がった。
「ご馳走になった。俺達はこの辺で」
「いいんですか? 家も無いのでは?」
「そこはまぁ……大丈夫だ。あんまり世話になってもらうわけにはいかねぇからな。行くぞ」
「ああ」
俺の呼びかけでガネンは立ち上がるが、クラカは未だに食べ続けている。
「おい、行くぞって言ってるだろ」
「えー。だってまだあるじゃん」
我儘言うクラカに俺は頭にチョップを入れて、クラカが頭を押さえると襟首を掴んで引きずって部屋を出た。
「と言うわけでごちそうさん。ありがとな」
「は……はい」
俺達は玄関を出て、世話になった保坂家を後にした。
「良い人達そうで良かったな」
「ああ。だからこそ、早くアイツを見つけねぇとな。この世界の人間に被害が出る前に」
俺達はその後、夜の12時過ぎまで奴を探したが気配すら掴むことが出来ず、あえなく今日の追跡を断念して明日また探すことにした。
――――――――――――――――――――
「んごっ!?」
頭に強い衝撃を受けた俺は目を覚ました。
「起きろー父さん」
手に鞘に入れたままの剣を持ったガネンが呼びかけた。
「あ~、もう朝か」
俺が起きるのを確認したガネンは剣を異空間にしまった。
「クラカも起きろ」
ガネンがクラカに声を掛けると、クラカは目を開けて体を起こすと大きなあくびをした。
「ふあぁ~~……もう朝?」
「そうだよ。ほら、アイツを探しに行かないと」
「ああ、そうだな。よっと」
俺は立ち上がると、クラカも目をこすりながら立ち上がる。
「で、まず何処を探す?」
「そうだな……。まず考えて人が多い所にはいるわけがねぇし、もう一度人気が無い所を中心に探すか」
ガネンとクラカが頷くと、俺達は早速探しに行った。
建物が少なく田んぼや畑が多いような場所ではなく、本当に誰も来ないような場所を探した。
「ねぇ父さん。この町全部を探すのなんて大変だよ」
「それぐらい分かってる。とにかく探すしかないだろ。奴の気配を少しでも感じたらすぐにそこへ向かう」
と言っても、気配なんて隠してるからそんな期待は薄いけどな。
「ん?」
何かを感じた俺達は立ち止まった。
「この気配って……」
「アイツだ」
感じた気配を追って、俺達は走り出した。
――――――――――――――――――――
町を見下ろせる高台に、一人の男が町を見下ろしていた。
男は右手を上げると指を鳴らした。
「ふっ……」
男は微笑んでその場を去ろうとすると、気配を感じてバッと顔を向けた。
「おらぁぁぁ!」
ガクラが上から拳を振り下ろすと、男は飛び退いて躱した。
続けてガネンとクラカが回し蹴りを放つと、男は腕を交差させて防いだ。
「おやおや、見つかってしまったか」
「ああ、ようやく見つけた! この世界でお前の好きにはさせないぞ」
「ふっ……」
男は微笑むと、振り向いて後ろの森に入っていった。
「待て!!」
ガクラ達も男を追って森に入った。
森の中を走る男に、木の上からクラカが飛び蹴りを放つと、男はジャンプして躱し、続けて木の影から飛び出したガネンが男を蹴り飛ばした。
男にガクラが拳を突き出すと、男に拳を受け止められると弾かれ、ガクラはもう片方の手で殴りかかると、男はしゃがんで躱しガクラに向かって蹴りを入れると、ガクラは手で足を掴み後ろに投げ飛ばした。
男は空中で回ると、枝を掴んで木の上に乗った。
「さて、もう少し相手をしてあげてもいいんだけど、そんなに暇じゃないので、今日はこの辺で」
男の頭上に紫色のリングが出現すると、男をくぐるように下がり、男は姿を消した。
「ちっ、逃げられたか」
ガクラが悔しそうに舌打ちをすると、森の上を自衛隊の戦闘機が何機か通り過ぎるのが見えた。
(嫌な予感がするな)
「お前等、町へ戻るぞ」
「「おお」」
ガクラ達は町の方へ走りだした。




