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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
卒業とこれから
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卒業式

『卒業生、入場』


 教師や来賓、保護者が拍手をする中、一組から順に担任を先頭に卒業生が講堂に入ってくる。

 一組、二組が指定の椅子に座り三組が入ると、担任の後ろをガネンとクラカが歩いていた。三組も全員座り四組、五組も全員が座った。

 ザントとの戦いから一週間、その間特に何もなく今日、セシュイン学園の卒業式が無事行われた。

 あの戦いの後、国王達に闇族がまだ生きている事を知らせると、すぐにアスタラード中に知れ渡った。

 この世界から闇族が生まれるのを絶対に阻止するために、王達も頑張っているようだ。

 これも闇族の恐ろしさを知っているからだろうな。


『続きまして、卒業生代表、セーユ・ブラードさん』

「はい!」


 セーユは立ち上がると壇上に上がりマイクの後ろに立つと小さく深呼吸した。


『この一年、私はとても濃い一年になったと思っています。世界を救った英雄と出会い、英雄の戦いを目の前で見たり、最高ランクの冒険者同士の真剣勝負、そして二度目の世界の平和と、色々な事が起きました』


 セーユは思い出に浸るように話を続ける。


『この一年は一生の思い出でもあり、一生の宝です。私はこの学園に、素晴らしい時に入れて良かったと思っています』


 セーユは頭を下げると拍手が鳴り響いた。


『続いて、この一年特別教師をしていただいた光の兄弟を代表してガクラさん、卒業生へお言葉をお願いします』


 あ~俺が言うのか。

 俺は面倒くさいと思いながらも立ち上がり壇上に上がった。


『あ、あー。あまりこういうのは得意じゃないが……まず、卒業おめでとう。これから先、色んな事が起こると思う。嬉しい事や楽しい事、辛い事や悲しい事。でも、それら一つ一つが自分の為になると思ってくれ。これからどう生きていくのかは自分が決めるんだ。それは絶対に忘れないでくれ』


 俺は話を終えると再び拍手が鳴り響いた。

 その後も卒業式は続くと最後に卒業生が退場し、卒業式は無事に終わった。


――――――――――――――――――――


「皆さん、この一年本当にありがとうございました」


 ジュリエ学園長に呼ばれて俺達は学園長室にやってくると、最初にジュリエはお礼を言って頭を下げた。


「皆さんのお陰で生徒達はとても良い方へと成長したと思います」

「まぁ、俺等もなんだかんだ楽しかったしな」

「ああ。良い方かどうかは分からねぇが、確かにアイツ等は成長したと思う。卒業式でガクラが言ってた様に、これからどう生きていくかはアイツ等次第だ」


 ジュリエは笑みを浮かべると、机の後ろから大きなケースを持ってきた。


「こちら、今回の依頼の報酬です。どうぞ、一千万ゴルドです」

『一千万!?』


 思った以上の額に俺達は思わず声を上げる。


「なぁ、確か最低でも50万ゴルドじゃなかったか?」


 依頼を持ち出した日に紙でそう見せてくれてたはずだ。活躍次第で増やすって言ってたが、ここまでか。


「私の感謝の分、教員皆さんの感謝の分、そして他の町の町長からの感謝の分。あと警備団の人達からも少し」


 警備団って……アイツ等からもかよ。


「少なかったですか?」

「いや、十分だ」


 俺はジュリエからケースを受け取った。


「さて、生徒の皆さんが貴方方を待っています。早く行ってあげて下さい」

「ああ。そうだな」


 俺達は学園長室を後にして外に向かう途中でガネンとクラカに会った。


「あ、父さん達だ」

「何だ、お前等は外で待たなかったのか?」

「なんか皆に父さん達を探して来てくれって言われて」


 俺等を? 何でだ?

 ともかく俺達は二人と一緒に校舎の外に出た。すると。


『光の兄弟、ありがとうございましたー!!!』


 外に出た瞬間、生徒達が笑顔で大声を上げて俺達は呆気に取られていた。


「何だこりゃ……?」


 一体何なのか困惑していると、セーユとシフールとガラートが近寄ってきた。


「光の兄弟の皆さんにお礼を言おうと思ってガネン君とクラカさんに皆さんを迎えに行ってもらったんです」

「へぇー」

「だから俺達に」


 こんな事を考えていたか……ま、ちょっと良いかもな。


「お前らはこれから冒険者として頑張るんだろ?」

「はい。この三人でパーティーを組んでネイトラーを中心にやっていこうかと」

「そうか。んじゃあ冒険者になる時うちの転移魔方陣を使うか?」

「いえ、最初っからガクラさん達に頼るわけには行かないので、ネイトラーには自分達で行くと決めました」


 シフールとガラートも頷くと、俺はフッと笑った。


「じゃあ頑張れよ、セーユ」


 これまで「生徒長」としか呼ばなかったが、もう引退しているし卒業もしてるからちゃんと名前で呼んだ。


「でもガクラさん達の方が大変なんじゃないですか? だって闇族が……」

「……ああ。やれやれ、この依頼が終わったらまた暇な日々が続くと思ったが、これからが忙しくなるとはな」


 でも……コイツ等がこれからも生きていられるように、俺等が頑張るしかねぇか。


「おーい! 最後に記念写真を撮ろう!」


 教頭が大きな声で呼ぶと、俺達は生徒達に引っ張られ、俺達を中心に生徒達が集まった。

 流石にこの人数だ。全員がフレームに収まるのが難しいのか教頭は結構後ろに下がっている。


「よし。では行くぞ!」


 教頭の合図で俺達は思いっきり笑うとシャッターが押された。


――――――――――――――――――――


「どうだったザント。光の兄弟は?」

「流石、デイザー殿を倒しただけはあるね。油断したら負けるだろうね」


 とある世界。そこにはザントを含めた、元人間の闇族が集まっていた。


「そうか。ふむ、奴等は我々の存在に気付き始めたから、挨拶としてお前を行かせたが、一人も倒せなかったのか」

「いやー申し訳ないね。挨拶だけのつもりだったから、油断するなと言った僕が油断してしまったよ」


 ザントが肩をすくめると闇族達が口を開く。


「おいおい。挨拶なんかで負けちまったら俺達が立つ瀬が無ぇだろ」

「別にいいでしょう。私達が負けるわけがないもの」


 ザントと最初に話していた闇族が振り返り歩き出した。


「光族のみならず、我等の邪魔をする者はたとえ神であろうとも排除するのみだ。我等が望む真の平和な世界……人間のいない世界の為に!」

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