対決、二人目の闇族
「闇族になった……元人間」
確かに光族と闇族は似てる部分があるから闇族にも元人間がいても不思議じゃ無ぇのか。
「となると、やっぱり色んな世界で暗躍してるって言う謎の人間は……」
「そうだ。僕と同じ元人間の闇族、僕の同胞さ」
報告で聞いた被害に会った世界の数を考えると、ほんの数人じゃなさそうだな。
「オメー等の目的は何だ?」
「目的? そうだな、あえて言うなら……望む世界を造る事、かな?」
「望む世界? 何だそりゃあ?」
「それは……」
ザントは小さな短剣の様なものを取り出すと天に掲げた。
「僕に勝てたら教えてあげよう!」
短剣の刀身が光ると、そこから黒い靄が出てザントを包むと、空へ飛んでいった。
靄は大きくなっていき、そこから一体の巨人が現れて地面に降り立った。
「あれは……ザントか!?」
現れた巨人は、黒い目に赤と銀の体に、額には一本の黒い角を生やしていた。
あれがザントの本来の姿……いや、元人間の場合は変身したって言った方が正しいか。
「ガクラ。アイツを倒すぞ!」
「ああ! 警備団は周辺の避難を急いでくれ! スインとユール達も手伝ってくれ!」
「任せろ! トーザ、ソウシ!」
二人は頷くとイサユと共に市街地へ走り、スイン達も一緒に走った。
「頼んだぜ、ガクラさん達!」
「任せたよ!」
俺達は頷くと、本来の姿に戻って巨大化し、ザントと向き合った。
「一対七か、これは不利だね。だから……」
ザントの掌から四つの黒い球が出ると、二つずつザントに横に移動し界獣に変形した。
両腕が鎌状の黒い界獣。鋏状の赤い界獣。肩に大きな角が生えた界獣。二つの頭を持つ青い界獣の四体だ。
「界獣の方は俺達に任せろ」
「頼んだ。行くぞ、ガネン! クラカ!」
「「おう!」」
俺とガネンとクラカはザントに。
エスティーは鎌の界獣、アスレルは双頭の界獣、メイトは鋏の界獣、ウルファーは角の界獣に向かって行った。
――――――――――――――――――――
ガネンとクラカは剣を取り出してザントに向かって斬りかかると、ザントの腕から青い光の刃が伸びて二人の剣の攻撃を防いだ。
弾くとクラカを蹴り飛ばしそのまま後ろ蹴りでガネンをも蹴り飛ばす。
ガクラはエネルギーを込めた蹴りをザントに向けて放つと、ザントは腕を交差させてガードし後ろに少しだけ吹き飛んだ。
「ハァ!」
ザントは右腕を振るうと腕の刃が伸び、ガクラは飛んで躱した。
伸びた光の刃に、建物がいくつか斬り倒された。
「舐めてかかっちゃあいけねぇな」
ガクラはオールエレメントの状態になると、大剣を手に持ちザントに向かって振り下ろした。
ザントは腕の刃で受け止めると、弾いて距離を取った。
「「うおぉぉ!!」」
ガネンとクラカがそれぞれザントの横に回り込んで剣を振るうと、ザントは腕の刃で受け止め弾くと、回転して刃から放った衝撃波で二人を吹き飛ばした。
今度はガクラに向かって刃から斬撃を飛ばすと、斬撃が分裂してガクラに襲い掛かる。
「ちっ。オラァ!!」
ガクラは大剣から風の刃を放って斬撃を弾いて行くと、上空からザントが右腕の刃を振り下ろしてきた。
ガクラは大剣を前に出して構えるが、大剣の刀身が斬られ、刃の一撃がガクラに命中し吹き飛ばされ建物に激突する。
「痛ってー。クソ、超魔石を取り込んだデイザー程じゃねぇが、強い」
俺はザントから受けた攻撃で出来た傷をエネルギーを集めて塞いだ。
「元人間と言っても闇族だな。戦闘力が高い」
「油断したかな? さっさと本気を出さないからだよ」
ザントは俺に向けた指をクイクイと立てて挑発してくる。
(コイツ。俺等が町中だと本気を出しづらいのを知ってんのか?)
俺は両手に風の刃を纏わせてザントに向かって走りだした。
俺の風の刃とザントの腕の刃をぶつけ合い、俺は僅かな一瞬の隙をついてザントの腹に火を纏わせた蹴りを入れた。
ザントは後ずさりすると、後ろからガネンが剣で突きを放つが、ザントは腕の刃で防ぎガネンの背中を蹴って俺の方へ蹴り飛ばすと、続いてのクラカの回し蹴りも体を仰け反り避けクラカも蹴り飛ばした。
二人が俺の両脇に来ると、ザントは両腕を胸の前で水平に構えると、腕の刃がエネルギーとなって胸の前に集まると、両腕を思いきり開き巨大な光の斬撃を放った。
俺は風の刃を合わせた巨大な風の斬撃を放ってぶつけるが、ザントが放った斬撃に徐々に押されて行き、俺達の近くで二つの斬撃が弾け飛びその衝撃で俺達は吹き飛ばされた。
「「「ぐあっ!!」」」
俺達が地面に倒れると、ザントは再び胸の前にエネルギーを集めた。
「マズい」
俺は早く起き上がって体勢を整えようとすると。
「今だ!」
ユールの声が聞こえると、少し離れた所からユール達が属性力や魔法を飛ばし、さらにイサユ達オールブ島警備団が大砲で砲弾を撃つと、それらはザントが集めたエネルギーに命中し大爆発を起こした。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ザントは爆発で吹き飛び倒れた。
ユールが親指を立て、スインが二ッと笑うと俺は頷いた。
「助かった」
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双頭の界獣が口から熱線を吐くと、アスレルは側転して躱し、今度は背中から大量の光弾を放つと、アスレルは右手から光の鞭を伸ばして光弾を次々と弾き落としていく。
アスレルは光の鞭を伸ばして界獣の両首に巻き付けると界獣の後ろに向かって飛び、界獣はバランスを崩して倒れた。
倒れた界獣に向かってアスレルは鞭でドリルの様に回転して蹴るウィップトルネードを界獣に当てると、界獣は爆散し、アスレルは爆炎から飛び出して地面に下りた。
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界獣は肩の角から電撃を放つと、ウルファーはツメでガードしながら界獣に近づき、肩の角をツメで斬り落とした。
界獣は目から熱線を撃つと、ウルファーは上空に飛び空からクロースナイプを放つと、界獣の腹を貫通し爆散した。
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メイトは界獣の右手の鋏を剣で押さえると、界獣は左手の鋏を振り下ろし、メイトは右手の鋏を弾いて左手の鋏を斬り落とした。
続いて右手の鋏を斬り落とすと、剣にエネルギーを込めて振り下ろす一撃、フォールソードで界獣を一刀両断すると、真っ二つに斬れた界獣は爆散した。
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界獣が振り下ろした両腕の鎌をエスティーは双剣で受け止め界獣を蹴り飛ばすと、界獣は口から火の球を吐き、エスティーは双剣で防いでいく。
再び火の球を吐こうとすると、エスティーは額のクリスタルからシューティングレーザーを撃ち界獣の口に命中させた。
界獣がふらつくと、エスティーは界獣の両腕の鎌を双剣で斬り落とし、双剣で五芒星を描いて斬るペンタグラムスラッシュで界獣は爆散した。
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ユール達の援護でザントが倒れて隙が出来、俺は両腕に火と土を纏うとザントに近づき、丁度起き上がったザントに両手の拳で殴り飛ばした。
「ぐはっ!」
ザントを吹き飛ばすと、俺は右の拳で空に向かって殴り飛ばした。
空を飛んで追うと、ザントは腕の刃から二つの斬撃を飛ばし、俺は風の刃を放って打ち消した。
お互いの攻撃がぶつかって出来た黒煙に身を隠し、風の力でザントの上に回り込むと、かかと落としで地面に向かって蹴り落とした。
ザントが地面に落ちて起き上がると、そこをガネンとクラカが剣で同時に当てて吹き飛ばした。
「お前等、決めるぞ!」
「「おお!!」」
俺は地面に下りるとエレメントロード、ガネンとクラカは両手からの光線をザントに命中させる。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
光線を受け続けたザントは大きな爆発を起こした。
「ふぅ~~~~……」
俺は肩の力を抜くと、エスティー達が駆け寄った。
皆で爆炎を見ていると、そこから何かが飛び出した。
それは光線を受けた所を手で押さえているザントだった。
「くそっ! これでも倒れねぇのか!?」
タフさも闇族ならではか。
「流石だね。もう少し戦っていたいけど、今回は挨拶に来ただけだからね。今回の借りは次の機会にするよ」
「逃げようってのか!? 逃がすわけ――」
「だが! これだけは覚えておけ光の兄弟! いや、光族達よ!」
ザントは俺達を指差して叫ぶ。
「お前達如きに僕等が望む世界……真の平和な世界の邪魔はさせない!」
「何?」
ザントは上に手をかざすと空に穴が開き、ザントは空の穴に入りこの世界から出ていった。
「真の平和な世界。それが闇族の目的か」
「何なんだろう、それ?」
「さぁな」
俺は肩をすくめる。
ザントの言葉が聞こえたユールやスイン達は言葉を失っている。
「今はまだ分からねぇが、ロクでもねぇことをしそうなのは間違いないかもな」
「ああ。嫌な予感しかしねぇよ」
まだ闇族が何をしようとしているのかは分からないが、今分かることは……光族と闇族の戦いはまだ終わって無いって事だな。




