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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
卒業とこれから
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謎の人間

 島の病院で団員が寝ている病室で目を覚ますのを待っている間、俺は丁度島にいるガネン、クラカ、エスティー、アスレル、メイト、ウルファーを呼んで今回の事態の説明をした。


「人が界獣に……か。確かにただ事じゃねぇな」

「ああ。気付かなかったら界獣ごと倒しちまう所だった」

「でも何でこんなことに?」

「分かんねぇから呼んだんだ」


 過去にもそんな事例無いしな。似た事例ならあるんだけどな。

 解決のヒントは……微量に感じたあの波動か。


「うぅぅ……」


 団員は目を開けて部屋を見渡した。


「あれ? どうして俺こんな所に?」

「覚えてねぇのか」


 トーザの質問に団員は「はい……」と答えた。


「どこまで覚えてる?」

「えっとー……確か、見回り中に公園のベンチで休憩していた時に……えっとー……」


 団員は頭を抱えてしばらく思い出そうとしていたが、それ以上は思い出せないようだ。


「仕方ねぇ。後はこっちで情報を集めるしかねぇか。光の兄弟も手伝ってくれるか?」

「当然だ。流石に無視できねぇからな」


 病室を出て病院を出た後、外でスインとユールのパーティーと偶然出会った。


「あれ? ガクラさん達じゃん」

「どうしたの?」

「お前等か。あー……どうする? 手伝ってもらうか」

「まぁ手伝ってくれるんなら俺達は別にいいだろうしな。アイツ等も放っておくなんて事しなさそうだしな」

「だな」


 俺等が小声で話しているのをスイン達は首を傾げる。


「実はだな……」


 俺が話そうとすると、一人の団員が走ってこっちに向かって来た。


「団長! 副団長! 有意義な情報を手に入れました!」

「ホントか!」

「はい! 実は公園で人間の男がうちの団員に黒い靄の様なものを掛けると、団員が界獣になったのを目撃したそうなんです」


 人間の男が。もしかしたらそいつ……。


「ねぇガクラ。えっと、どういうこと?」


 ユールの質問に俺は今回の事態を説明した。


「そんなことが」

「なんかヤバいことが起きてんだな。よし、俺達も手伝うぜ!」


 やっぱりこうなったか。


「なぁ父さん。さっき人間の男がって言ってたけど」

「ああ。多分間違いないな」

「何がだ?」


 スインが聞いてくると、俺はエスティー達の方を見て頷くと俺も頷いた。

 俺達は説明した。いくつもの世界で人間が減少している事。人間と他種族の戦争が増加している事。そしてそれらの裏に謎の人間がいる事を。


「なるほど。つまり、その謎の人間が今度はこの世界に来ているかもしれないのか」

「多分な」


 イサユは腕を組んで悩む。


「その人間がこの事態の黒幕なら、俺の団員に手を出したことは許さん! トーザ、ソウシ、探すぞ!」

「おう」

「へい」


 イサユはトーザとソウシを連れてどこか行った。


「じゃあ俺等も探すぞ」

『おお!!』


――――――――――――――――――――


 俺達光の兄弟は、団員が謎の人間と接触した公園にやって来た。


「さて。何処から探すか?」

「そうだな……ん?」


 俺は何かを感じてその場所へ向かうと、公園のベンチにやって来た。


「どうしたガクラ?」


 エスティーが声を掛ける中、俺はこのベンチの辺りから界獣から感じた微量の波動を察知した。


「間違いない。『アイツ』と同じだ」

「なぁガクラ。この辺りから感じる波動って」

「ああ。似てるんだよ……デイザーと」

「デイザー!? アイツまだ生きてるのか!?」


 俺はスイン達やイサユ達を公園に呼んで謎の波動の事を話すとスインが驚いた顔で声を上げる。


「いや、似てるってだけで、デイザー本人とは違う。それにあれほどの爆発だ。流石のデイザーも生きてはいないはずだ」


 あの時デイザーの爆発を見たのは俺達だけだから流石に分かんねぇか。


「とにかく、この波動の残留エネルギーを追えば謎の人間の正体が分かるかもしれねぇんだが、このベンチの辺りで途切れてるせいで何処に行けばいいのか分からねぇんだ」


 ここでなんか力を使ったから波動を感じられてんだろうと思うが、使わないと分からねぇな。


「こういう時って、大抵人がいない所とかに潜んでるってよくあるけど……」


 ユールの言う通り、確かによくあるが……行ったとしてホントにいんのか?


「人がいないと言うと、空き倉庫街ですかね」

「確かにあそこは誰も行かないからな。隠れるには打って付けの場所だ」

「んー、一応そこに行ってみるか」


――――――――――――――――――――


 空き倉庫街にやって来た俺達はまずあの波動を感じられるかどうか意識を集中させてみた。

 流石にいないかな。と思って探していた……が。


「若干だけど感じた」


 間違いない。これはベンチの辺りから感じた波動と同じだ。

 当然エスティー達も感じ取っている。


「こっちだ」


 感じ取った方向をメイトが指差し、俺達はそっちへ向かった。

 空き倉庫街の奥へと進むと、波動が途切れた。


「ここら辺で波動が途切れてるな」

「ああ。まだ近くにいればいいんだが」


 俺達は周囲を見ていると、何かが俺の方に飛んでくるのを察知し、俺は腕にエネルギーを集中させて、飛んできた光弾を腕で防いだ。

 すると、飛んできた方の倉庫の屋根の上からパチパチと手を叩く音が聞こえた。


「流石にあの程度は防げるね」


 俺達は目を向けると、一人の人間の男が屋根の上に座りながら拍手をしていた。


「初めまして、光族とこの世界の人達。わざとエネルギーを残しておいた甲斐があったよ」


 わざと? 何で自分の居場所を教えるようなことをわざわざ?


「オメェがうちの団員を界獣にしたのか。覚悟しな」


 ソウシが剣を抜いて向かおうとすると、俺は襟首を掴んで止めた。


「何すんですか旦那」

「勇敢なのは良いが、相手の強さぐらい見極めろ。俺が止めなければお前大怪我じゃ済まなかったぞ」

「流石光族。勇敢なだけの者とは違うね」


 ソウシは歯を食いしばるとトーザは肩を叩く。


「で、テメェは何者だ? 何故うちの団員を界獣にした?」

「僕はただ彼に力を与えただけさ。島の人達に頼りにされていないって落ち込んでいたから、強くなればいいってね。光族を倒してくれれば満足だったんだけど、まぁ期待なんてしてなかったけどね」


 トーザは舌打ちをして睨む。


「さて。僕が何者かだが、そうだね……まず、この世界の住人である君達は、人間が光族になるって話を知っているかい?」

「人間が光族に? その話なら前に聞いたことがあるな」

「僕達も聞いたことあるよ」


 スインとユールはそう話し、イサユ達にも前に俺達が話したことがある。

 だが、何故アイツは急にこんな話を?


「人間がなれるのは光族だけだと思うか?」


 そう言った直後、俺やエスティー達の頭の中に一つの可能性が出てきた。


「お前……まさか」


 男はフッと笑うと立ち上がって両手を広げた。


「僕の名はザント。元人間の……闇族だ!」

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