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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
卒業とこれから
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謎の界獣

「はえーな~、一年経つのって」


 セシュイン学園の卒業式が来週に迫る中、俺はオールブ島の中央町をぶらぶらと歩いていた。

 昨日聞いた様々な世界で暗躍する謎の人間の事を考えながら。


「やぁ、ガクラ殿」


 声を掛けられて聞こえた方を振り向くと、オールブ島警備団の団長イサユがいた。


「昼はまだか? まだなら奢るぞ」


 イサユは近くの酒場を指差すと、丁度昼時だし、折角だから奢ってもらうか。

 店に入った俺達は、カウンター席に座って注文をして料理を頂いた。


「で、何で奢ろうと思ったんだ?」


 俺は少し疑問に思ったことを聞いた。


「あんた等が教師をしている学園がもうすぐ卒業式だろ。そしたらあまり島にいられなくなる。その前に一緒に一杯飲みたかったのさ……っていうのが理由の半分だ」

「じゃあもう半分は?」


 俺がそう聞くと、イサユは何か思いつめたような顔をしてジョッキを置いた。


「ガクラ殿。あんたは俺達がこの島に必要だと思うか?」

「は?」


 いきなり何を言っているのか分からず、俺は目を細める。


「最近な、島民から『光の兄弟がいるからもうオールブ島警備団はいなくても良いんじゃないか』という声をよく聞くんだ」


 ……なるほどな。

 確かに俺も最近よく耳にする。デイザーを倒した辺りからな。


「たった一つの島を守るだけで精一杯な俺達に対して、あんた等は世界を二度も救った。そんな風に言われるのも無理はない。現に、最近島の犯罪率も減ってきたしな」


 俺は頬杖を突いて話を聞いた。

 俺達と比べられて、こんな風になってしまう奴を俺はよく見ている。


「あんたはこの島が好きか?」

「当然だ。生まれ育った島だからな」


 その答えを聞いて、俺はフッと笑った。


「ならそれでいいだろ。大事なのは守りたいって想いだ。俺達光族もそんな理由で戦ってんだ。俺もお前も同じさ」

「……そうか」

「だからよ。俺等がいない間は、この島の事を任せたぜ」

「ああ。任された」


 俺とイサユはジョッキを手に持って互いのジョッキをコンッと当てると中身を飲んだ。


――――――――――――――――――――


「は~~」


 一人の人間のオールブ島警備団団員がため息を吐くと、公園のベンチに座って空を見上げた。


(俺達って一体何の為に戦ってんだろ……)


 遠い目をしてそんなことを考えていると。


「何かお悩みですか?」


 隣に黒い服に赤いズボンを着た赤い髪が混じった銀髪の人間の男が座っていた。


「あんたは?」

「ただの通りすがりですよ。貴方が何か思い詰めている顔をしていたもので声を掛けました。良ければ相談に乗りますよ? 誰かに話せば気が軽くなるかもしれませんよ?」


 団員はしばらく沈黙した後口を開いた。


「最近……島民から俺達警備団はもういらないんじゃないかって声をよく聞くんだ。だからどうすれば良いのかなって考えてな」


 その話を聞いた男は立ち上がり団員の前に立った。


「そんなの簡単ですよ。貴方が強くなればいい」


 男は顔を近づけてそう言った。

 怪しい笑みを浮かべて。


――――――――――――――――――――


 イサユが俺の分の勘定を払い、俺達は酒場を出た。


「あれ? 珍しい組み合わせですね」


 酒場を出た俺達は、オールブ島警備団のトーザとソウシとバッタリ会った。


「何してんだアンタ等?」

「奢ってもらってた」

「もうあんまり会う機会が無いからな、奢ってた。ではガクラ殿、俺はここで」


 イサユは二人の所へ行きその場を後にしようとすると、近くで爆発音が鳴り、街中に頭にヘラジカの様な角を生やした界獣が突然現れた。


「界獣!? まだいたか」

「ガクラ殿! 俺達は島民を避難させる。界獣は任せたぞ」

「任しとけ」


 界獣から逃げる島民とは逆に俺は界獣に向かって行く。

 走りながら本来の姿に戻ると巨大化し、界獣の顔を殴り飛ばした。


「ギュオィィィィィィィ!!」


 倒れた界獣は立ち上がると、角から電撃を放った。

 俺は転がって電撃を避けると、手から光弾を放って界獣に命中させた。


『ぐあっ!!』

「喋った!?」


 どういうことだ。界獣は普通喋らないぞ。

 それに……この界獣から妙な気配を感じる。

 まるでコイツの中にもう一つ何かがいるような。

 それと、微量に感じるこの波動は……。


「ギュオィィィ!!」


 界獣は口から青い稲妻の光線を吐くと、俺はバリアを張って防ぎ界獣に向かって行った。

 界獣がツメを振り下ろすと、俺は腕でガードして腹に向かって拳を放つ。


『ぐはっ!』


 また喋った。どうなってんだ?

 俺は困惑しながらも界獣と戦う。

 俺は界獣を抑え込むと、界獣の中から感じるもう一つの気配を探した。


「何処だ?」


 暴れる界獣を何とか抑え続けて気配を探した。そして。


「見つけた」


 界獣の胸の奥の方から気配を感じて、俺は界獣を放し距離を取った。

 両腕にエネルギーを溜めると、これまで光線を撃つ時とは違い、もう一つのある効果を乗せて光線を放った。

 光線が界獣の胸に命中すると、光線に乗せたある効果、障壁を生み出す効果が奥から感じたもう一つの気配を包んだ。

 光線を受け続けた界獣が爆散すると、爆発の中から一つの光の球が現れて地上に向かって行った。

 光の球がイサユ達の近くに降りると、光の球が消えて、中から一人の人間の男が現れて地面に倒れている。


「あれは、うちの団員じゃないか!?」

「どういうこった?」


 イサユ達は団員の元へ駆け寄った。


「気配の正体は警備団の団員だったのか」


 つまり、人が界獣になったっていうことか?

 この場合『界獣にされた』の方が正しいかもしれないが、こんな芸当一体誰が?

 それと、微量に感じたあの波動。『アイツ』のと似ていたな。

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