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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
卒業とこれから
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新たな危機の予感

「……大丈夫ですか?」


 昼休みに、セーユは疲労感満載の顔でテーブルに顔を乗せている俺とガネン、クラカに声を掛ける。


「大丈夫に見えるか?」

「見えません」

「じゃあそれでいいじゃねぇか」


 セーユは「そうですね」と言い昼食を口にした。

 同じテーブルには、セーユの隣にいるシフールとガラート。俺の後ろに座っているエスティーの他には、ユールにソルラ、マルナがいる。


「今の所ファミリティの事で分かっているのは、お前等三人の技と剣が使える事と、上級戦士並みの強さだって事だな」


 エスティーの言葉に俺は「ああ」と答えた。


「でもそれだけじゃなぁ~」


 もう少し把握しておきたいんだよなぁ~。

 するとセーユが難しそうな顔で質問してきた。


「あの、上級戦士って何ですか?」


 あっ、コイツ等知らなかったか。


「異世界調査団に所属してる光族は上級戦士、中級戦士、下級戦士って分けられてんだ。下級戦士は新人で、ある程度の功績を得られれば中級戦士に上がる。上級戦士の殆どは光闇戦争に参加していた人達だな」

「って事は、グリーフさんも上級戦士って事?」

「ああ。後は、あの時駆けつけてきたゼウロも上級戦士だ」


 皆は「へぇー」と少し驚いたようだった。


「あれ? 三人が合体して上級戦士並みって事はガクラ達は……」

「察しの通り。俺達は全員中級戦士だ」


 皆はちょっと以外って顔をした。


「やっぱり上級戦士になるのって大変なの?」

「そりゃあなぁ。でも、ゼウロは俺等より後に調査団に入ったのに上級戦士になるし、あんま言いたくないが才能ってのもあんのかな」

「確かにな。『アイツ』とかな」

「『アイツ』か~」


 上を見て『アイツ』の事を思い出す俺を見て、ユール達が首を傾げる。


「アイツって?」

「俺達の同期なんだけどな、まぁ一言で言えば……強い。訓練生時代に、俺とエスティーはアイツに一度も勝ったことがねぇんだ」

「は? ガクラとエスティーが」

「ああ。しかもアイツはあっという間に上級戦士にまで昇格しちまってな」

「まぁ、だろうなとは思ってたがな」


 皆はまた以外だって顔をしている。


「まっ。世の中上には上がいるって事だな」


 俺は肩をすくめて笑みを浮かべながら言うと、テーブルの上の食器がカタカタと揺れた。


「地震か?」


 すると町の方から爆発した様な大きな音が三回鳴った。


「おいガクラさん! 町に界獣が出たぞ。三体」


 窓から町を見ていたスインが俺等に向かって大きな声でそう言う。


「やっぱオールブ島の方にまで吹っ飛んできたか」

「じゃあ行くとするか。ガネン、クラカ、行けるか?」

「平気だ」

「だいじょーぶ」


 俺とエスティー、ガネン、クラカは窓を開けて外に飛び出すと、エスティーは普通に着地するが、俺とガネンとクラカは足を引っかけて顔から地面に落ちた。


「「「げふっ!」」」

「何してんだバカ親子!」

「痛ててて。もう一回やり直したい」

「んな暇ねぇよ! さっさと行くぞ!」


 俺達は本来の姿になると、界獣に向かって飛んでいった。


――――――――――――――――――――


 ライテストの異世界調査団本部の指令室で団長ゾフィアの報告を、大団長ケンドとマァーリが聞いた。


「ご報告します。複数の世界にて、人間の数が大きく減少している事態が確認されました」

「人間の数が?」

「はい。それだけではなく、人間と他種族の間に戦争が起きている世界が急激に増加しています。しかも、どの世界でも他種族側が優勢で、人間側が次々と敗北しているとのことです」


 報告を聞いたケンドはゆっくりと腕を組んだ。


「まるで人間が減らされているようだな」

「そうですね。人間と他種族の争い自体は珍しくも無いのですが……」

「それがその世界だけの問題なら我々が出る幕は無い。他の世界が絡んでいるのなら別だが……急増したというのは妙だな」


 ケンドは何かが起きているのではないかと深く考えた。


「これらの事態ですが、どうもデイザーが倒された後に、急激に確認されました」

「デイザーが倒された事と、何か関係があるのか?」


 ケンドが懸念すると、指令室に隠密部隊隊長ハンゾウが入ってきた。


「その事だが、新たな情報が入った。戦争が起きた世界を調査している隠密部隊からの報告で、どうやら他種族側に謎の人間が加担している事が分かった」

「謎の人間?」

「ああ。見た目は人間なのだが、雰囲気というか、気配が人間とは何か違うとの事だ」

「その人間が、これらの事態を引き起こしているということか? そして事態が起きている世界の数からみて、何人もいるようだな」


 ケンドは組んでいる腕を解いた。


「ゾフィア。この事を全団員に報告。謎の人間の正体も至急解明せよ」

「はい!」


――――――――――――――――――――


「……以上が、調査団本部からの報告だよ」


 屋敷のリビングで、俺達は調査団からの報告をメイトの口から聞いた。


「人間の減少に戦争の増加。そしてそれらの裏にいる謎の人間か……。気が沈む話だな」


 まぁ調査団からの報告なんて、大体色んな世界で起きている事態の事だから、そういう話ばっかなんだけどな。


「は~。しっかし、まさかこんな時期にそんな話を聞くとはな」

「ん? この時期なんかあったか?」

「おい。お前忘れたのか? 来週」

「来週? …………あ、そうか。来週……卒業式か」


 セシュイン学園卒業式。それはガネンとクラカの学生生活、そして俺達の教師の依頼の終わりの日を表していた。

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