授業、再開
王都から帰った次の日、メイトが話があるからと俺達を集めた。
「で、話って何だ、メイト?」
「うん。ちょっと気になることがあって調べてみたんだけど……」
何をだと思っていると、メイトが真剣な表情で答えた。
「アスタラードの至る所に界獣がいる」
それを聞いて俺達は驚く。
「どういうことだ?」
「アスタラードの各地に界獣らしい反応があったから調べてみたんだけど、多分滅光団の本拠地の天体にはまだ大量の界獣がいて、天体が爆破した際にばら撒かれたんだと思う」
「なるほどな」
俺はソファの背もたれに寄り掛かる。
「メンドーな事になったな~」
「ああ。ある意味、滅光団の置き土産かもな」
「とにかく、この事は王達に知らせた方が良いと思う」
「ああ。そうした方が良いな」
俺達はその後、王達にこの事を報告し、早急にアスタラード各地に知れ渡った。
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俺は立ち止まると、手に持っているそれをクルクルと回して地面に突き刺した。
……『自習』と書かれた看板を。
「はい、というわけで今日も自習にしま~す」
『は~い』
生徒達は「またか」と言いたげそうな顔で気の抜けた返事をすると、ペアを組んだり、的や人形を用意し始めた。
「父さん。流石に皆自習に飽きてきてる。今日で自習何日目だっけ?」
「五日連続だ」
学校が再開して二週間。何故五日も自習が続いたかと言うと、主な理由は二つ。
一つはアスタラードにばら撒かれた界獣の討伐。
界獣の居場所は大まかな位置は分かるが細かい位置までは分からないし、何時目覚めるのかも分からない。そのため活動が近い界獣の近くまで行って、目覚めるのを待つしかない。
二つ目は異世界調査団の手伝いだ。
滅光団が作ったヘルガノイドがまだ色んな世界に現れるらしく、他の事態の調査もあるので、調査団から手伝いを頼まれている。
だから今日学園に来ているのは俺とエスティーだけだ。
「皆、正直自習に飽きて来てるよ」
「そう言うけどな~。俺等は魔法の事よく知らねぇし。二人だけだと流石に大変なんだよ」
今は三組だけだから比較的マシだけど。
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午前の授業が終わって昼休み。俺達は食堂で昼食を取っていると、セーユが話しかけた。
「ガクラさん。そろそろ鍛錬の授業どうにかなりませんか?」
「お前もか。だからよぉ~、どうにかって言われてもよぉ~」
他の皆は忙しいし、他にコイツ等に教えられそうなのと言ったら。
……待てよ?
「なぁエスティー。今日って午後は鍛錬の授業無かったよな?」
「ああ、無ぇぞ」
「良し。明日なら何とかなりそうだ。エスティー、ちょっと手伝え」
「はぁ? 何をだ?」
「まずは学園長の所に行くぞ」
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「今日の午前は、全クラス合同で特別教官と共に鍛錬の授業を行う。皆の待ちに待った自習じゃない授業だ」
俺は隣に並んでいる特別教官……知り合いの冒険者達を紹介した。
昨日の昼休み後、学園長に知り合いの冒険者達に特別教官をしてもらおうと提案をしたら即答でOKを貰ったので、オールブ島を訪れている知り合い冒険者達に声を掛けて協力してもらった。
協力してもらったのは、スイン、ユール、ブラーク、キルカ、ソルラ、マルナのパーティーだ。
「なぁガクラさん。俺達、教えるなんてやったことねぇけど大丈夫なのか?」
「平気だ。俺等だって最初は教えんの得意じゃなかったんだからよぉ。気軽にやりゃあ良いんだ」
スインはしょうがなさそうな顔で頭を掻く。
「まぁとにかく、授業を始めるぞ」
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「はぁぁぁ!」
セーユは練習用の剣を振り下ろすと、スインは軽々と剣で受け止めて、もう一度振るった剣も軽々と防いだ。
「流石、光の兄弟に鍛えられているだけあるな。悪くないじゃん」
「あ、ありがとうございます」
「教えるのは慣れてないんだが、変じゃなかったか?」
「大丈夫です。擬音だらけで教えるのが下手なガクラさんよりかなりマシです」
「酷ぇ言われようだなあの人。でも、このぐらいなら冒険者になった時に最初の方はランク早く上がりそうじゃないか、エスティーさん」
スインは近くで生徒に双剣を教えているエスティーに声を掛けた。
近くには息を切らしているシフールがいる。
「まぁな。油断さえしなければ案外早くEランクに上がるだろうな」
エスティーは剣を肩に乗せて笑いながら言う。
「ところで、あの三人はさっきから何やってんだ?」
スインは鍛錬場の隅で本来の姿で座禅をしているガクラ、ガネン、クラカに目を向ける。
「なんでも、ファミリティの力を確認したいんだとよ」
「ファミリティって、あの三人が合体した姿だよな。デイザーの時に」
「ああ。王都から戻ってから何度か試してるんだが、一回もファミリティになれてないんだ」
三人の今の状態は20分以上経っているが、確かにファミリティになりそうな傾向は見えない。
「確かこの世界であの大きさの本来の姿は30分が限度じゃなかったでしたっけ?」
「ああ。そろそろだな」
エスティーは三人の元に歩み寄った。
「お前等、そこまでにしとけ。そろそろ限界だろ」
「……やっぱ無理か」
三人は本来の姿を解いて人間の姿に戻った。
「う~ん。全然なれそうにないよ~」
「やっぱあの時の様に気持ちが高まらないとダメなのかな?」
「だろうな。もう少しファミリティの力を認知したかったんだけどなぁ」
ガクラは頭を掻いて残念そうに言う。




