集結する光族
デイザーと戦っているグリーフは、復活した三人を見て頷いた。
「チッ。アスタラードの奴等め。余計な事を」
デイザーはグリーフを蹴り飛ばすと、ガクラ達に向かって光弾を放った。
すると放たれた光弾に向かって、空から光の五芒星が飛んできて相殺された。
「あ!?」
五芒星が飛んできた方向からエスティーが降りてくると、続いて他の皆も降りてきた。
「グリーフさん、来てたんですか」
「ああ。お前達は界獣を倒し終えたのか?」
「はい」
各地に放たれた界獣を倒し終えたエスティー達がここにやって来たようだが、皆エネルギーを大分消耗しているのか、かなり息を切らしている。
「皆さん来てくれましたし、きっと勝てますよね」
「いや……あいつ等も大分消耗している……。状況が悪いのに……変わりはねぇ……」
エネルギーが少ない皆に対して、デイザーはエネルギーを吸収したお陰でかなり残っている。グリーフさんでも戦える時間に限りがある限り難しい。
あのタフさにどうすればいいのかとガクラは悔やむ。
「ん?」
「どうしました?」
突然声を出したセーユにシフールが声を掛ける。
「なんか今、光の粒みたいなのが見えて……」
「光の粒? そんなもの見えませんけど……え?」
シフールが何かに驚くと、宙に光の粒が飛んできて、どんどん数を増えていく。
「何だこれは?」
「凄い数だぞ」
デイザーも戸惑い首を振る。
「な、何だこの光は!?」
よく見ると光の粒は、ガクラ達光の兄弟に向かって飛んでおり、光の兄弟の中に入っていく。
『若き光族よ……』
突然不思議な声が聞こえて、皆が驚く。
「この声……まさか」
声を聴いたグリーフは何かに気付き地面を見た。
「これは……あの戦争で戦死した、光族の残留エネルギーか!?」
グリーフが叫ぶと、再び声が聞こえた。
『私達に残された力の全てを、君達に託す。この戦いを……終わらせてくれ』
すると、地面からまるで噴火の様に大量の光の粒が出現して、光の兄弟の中に入っていく。
「これは!?」
「凄ぇ! エネルギーが満タンだ!」
エスティー達のエネルギーが全て回復し、ガクラとガネンとクラカも、体の傷も全て消え、先程までの重傷が嘘の様だった。
「ガクラ、大丈夫なの?」
「ああ。体がとても軽い」
三人は何事も無かったかの様にすんなりと立ち上がった。
「これなら、また戦える」
ガクラがそう言うと、ガネンとクラカは頷いた。
「でもガクラ。勝算はあるの?」
ユールの質問に、ガクラはすぐに答えた。
「無い。けどな、託されておいて戦わないなんて恥ずかしい思いはしたくねぇ! ガネン、クラカ、戦えるか?」
「「勿論!!」」
ガクラは頷いて、本来の姿になろうとすると、三人が左腕に着けている光の兄弟の証が突然光り出した。
「これは? ……よし。二人共行くぞ!!」
「「おお!!」」
三人は左腕を上げて本来の姿になると、体が粒子化し空へ上っていく。粒子が一つに集まると、強い光を放ち、そこから一体の光族が現れ、地面に降り立った。
現れた光族は、赤と青と白の体に、頭には二本の角、額には透明なクリスタル。そして胸には三つの菱形のクリスタルが付いていた。
その姿はまるで、ガクラとガネンとクラカが合体したようだった。
(親子、ファミリー……三位一体、トリニティ)
「「「ファミリティ。我が名は、ファミリティ!!」」」
一人の光族から三人の声が聞こえて、ファミリティは名乗った。
「どこまで……」
エネルギーが回復し、更に復活しただけでなく合体までした光族に、デイザーはイラつき、怒りが込み上がる。
「どこまで目障りなんだ、光族ゥゥゥ!!」
デイザーの怒号に、光の兄弟は身構える。
デイザーが走り出そうとすると、突然デイザーがフッと消えた。
「何?」
――――――――――――――――――――
消えたデイザーは、滅光団の本拠地に無理やり転送された。
「これは……ブレン、貴様の仕業か!?」
『申し訳ございません。しかし、怒りで我を忘れかけている今のデイザー様では最悪の場合がございます。光族は私目にお任せ下さい。その間にデイザー様は心をお静めになって下さい』
「チッ!」
――――――――――――――――――――
デイザーが消えて少しすると、滅光団の本拠地から、何かが大量に飛んできた。
「あれは……!」
飛んできたそれは、かつて魔王軍が作ったロボット兵、ヘルガノイドだ。
ヘルガノイドは光の兄弟の周りに下り、更に空にも大量に飛んでいる。
「滅光団の奴等が作っていたって情報は入っていたが」
「ここまでとはな」
光の兄弟はヘルガノイドの数に驚き、冒険者や生徒、ドラスナー王も驚く。
「まさか、またヘルガノイドを見ることになるなんて」
「けど、こんな数どうやって?」
「簡単ですよ」
声が聞こえた方を見ると、そこにはブレン人と大勢の異世界人。その後ろには大量の機械兵が並んでいた。
「あいつは、あの時の!」
スインは一昨日、異世界人が襲ってきた時に、デイザーを連れ帰ったブレン人を見る。
「この世界で倒されたヘルガノイドの残骸を回収し修復、分析、量産に成功したんです」
「面倒な事してくれるぜ」
地面にいるヘルガノイドは歩き進み、光の兄弟に近づいて行く。
「こんな数、倒してからじゃあ折角回復したのにエネルギーがまた減っちまう」
「だけど放っておくわけにはいかねぇ」
ファミリティ(ガクラ)は、流石に合体した今でも、エネルギーの消耗は少しでも避けたかった。
「でりゃぁぁぁ!!」
すると、大きな声と同時に空に穴が開き、そこから数人の光族が出て来て、ヘルガノイドに向かって光線や光弾を放ち、ヘルガノイドは後ずさりした。
穴から出てきた光族達は光の兄弟を背にして、周りに下りてきた。
「お前は、ゼウロ!」
「よぉ、光の兄弟」
ゼウロは指を三本立てて振り向くと、ファミリティに顔を近づける。
「ん? お前ガクラか? なーんか気配はガクラっぽいんだけどな」
「ああ、色々あってな」
「まぁいい。大団長に頼まれて来てやったぜ。仲間集めでちょっと遅れちまったがな」
ガクラは出来れば早く来てほしかったと心で思っているが、正直来てくれて助かった。
グリーフは一歩前に出て、ゼウロ達と並んだ。
「こいつ等は私達に任せて、お前達はデイザーを」
「行け!」
ファミリティは頷いた後、光の兄弟の皆に顔を向けて、皆で滅光団の本拠地に向かって飛んだ。
本拠地に向かう光の兄弟の前に、数体のヘルガノイドが立ち塞がった。
「邪魔すんな!」
ゼウロは頭のトサカを飛ばして、ヘルガノイドを薙ぎ払い爆散させると、爆発の中を通り抜けて、光の兄弟は滅光団の本拠地に向かった。




