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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
激闘、光族VS滅光団
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絶望

「そんな……」


 デイザーの一撃でガクラ達が消えてしまい、クカナは絶望に満ちた表情になり、他の皆も言葉を失う。

 あまりのショックにクカナは視線を下に向けていくと、何かを見つけて走り出した。


「クカナさん!?」


 セーユが呼ぶもクカナは足を止めず、コロシアムの出口に向かって走っていった。

 皆がどうしたのかと思っている中、ユールは先程クカナが何かを見つけたような反応をしたのに気づき、クカナが見た方を見た。


「ねぇ皆、あそこ!!」


 ユールが指差した先を皆が見ると、コロシアムの近くに人間の姿のガクラ、ガネン、クラカが倒れていた。


――――――――――――――――――――


 クカナは倒れている三人の元へ駆け寄った。


「ガクラ! ガネン! クラカ! しっかりして!!」


 冒険者や生徒の皆、ドラスナー王もやってくると、ボロボロの姿の三人を見て驚愕する。


「クカナさん。あの、ガクラさん達は?」

「……何度も声を掛けても反応しない」

「うう……あ、回復魔法なら」

「無理だ」


 セーユの提案にブラークそう言うと、マルナが口を開いた。


「回復魔法は生き物の持つ再生能力に干渉する魔法なの。でも光族は人間の姿でも体の構造が違うせいで回復魔法も強化魔法も効かないの」

「そんな……」


 どうすればいいのか、皆が頭を悩ませていると、突然キルカが声を上げた。


「おい皆! ガクラ達の足が!」


 キルカの言葉に、皆がガクラ達の足に目を向けると、なんと三人の足がつま先から光の粒子となって消えていった。


「クカナさん、これって――」


 セーユがクカナの見ると、クカナの目が大きく見開き、顔が青ざめていった。

 すると、ガクラ達と同じ宿に泊まっている者達は、ある光景が頭の中に過った。

 それは予選の日の夜。グリーフさんが見せた五千年前の光闇戦争。そこで命を落とした光族が、光の粒子となって消えていくのを。

 あまりの絶望に皆言葉を失い、ある者は悔しがり、ある者は泣き出した。

 すると、大きな足音が近づいてくるのが聞こえ、音のする方を見ると、デイザーが近づいてきた。


「ガキが。手間を取らせやがって。お陰で予想より時間が掛かった。だが、もう終わりだ」


 デイザーは右手にエネルギーを溜めていく。


「まずは……四人」


 消えてゆくガクラとガネンとクラカ。そして傍で涙を流すクカナに、デイザーは狙いを定めた。

 冒険者達が身構えるも、デイザーは手から光弾を撃ちだそうとしたその時だった。


「あ?」


 デイザーは顔を上げると、空から緑色の光線が飛んできて、デイザーは光弾を撃つのを止め、腕を交差させてガードした。


「うぐっ!」


 光線に押されてデイザーは後ずさりしていくと、光線を放った緑色の巨人が、皆の前に降り立った。


「なぁ。この巨人、見たことねぇか?」

「ええ。私もそう思った」


 ソルラとマルナがそう言うと、巨人は顔をこちらに向けると、クカナがハッと驚いた。


「グリーフさん……」


 クカナの言葉に、同じ宿に泊まっている者達は思い出した。今目の前にいる緑色の巨人は、メモリービジョンで見たグリーフさんの本来の姿と同じということを。


「嫌な予感がして戻ってきたが……遅かったか」


 消えていくガクラ達を見て、グリーフは悔しそうに言うと、デイザーに振り向く。


「久しぶりだなデイザー。五千年前の戦争以来だな」

「そうだなグリーフ。お前の様にあの戦争にいた光族を見ると、余計腹が立つ!」


 デイザーは声を荒げる。


「俺は元からお前等光族が気に食わねぇんだ! 全ての者が平等に暮らせる世界を目指すなんて甘っちょろい理想論を語るテメー等がな!」

「たとえ理想論だろうと、目指す事を語らねば、叶えられる事も叶えられん」


 デイザーはイラつく様に首を回すとグリーフに向かって走った。


「奴は私が足止めをする。ガクラ達を頼んだぞ」


 グリーフはガクラ達の元にいる人達に託してデイザーに向かった。


「頼んだって言われてもなぁ」


 ソルラは難しい顔で頭を掻く。


「こんな状態なんて初めてよ。回復魔法が効かない上に消えかけている。どうすればいいのよ」


 考えている間にも、三人の体は徐々に消えていき、皆を更に焦らせる。

 そんな中、スインがある事を思い出し白竜の剣を抜いた。


「どうしたスイン?」

「去年の超闘祭が終わった後、界獣と魔物の大群が攻めてきただろ。その時ガクラさん、俺の光の属性力を吸収して回復してただろ?」

「ああ。確かにそうだが……って待て! 消えていってるんだぞ!? 流石に効くとは思えな――」

「けど、何もしねぇよりはマシだ」


 スインとログラスの話が聞こえたユールは二人の元へ近づき口を開いた。


「僕もスインの提案に賛成。たとえ無駄な事かも知れなくても、最後まであがこう。時間もあんまり無いし」


 既に三人は膝まで消えて、下半身が消えようとしている。

 スインの提案を実行するため、光の属性力、光属性の魔力を使える冒険者が集まり、三人に向かって注いでいく。

 生徒や教師、更にドラスナー王の呼びかけにより、国の騎士団や宮廷魔導士も参加していった。

 しばらく注いでいき、三人の下半身が消えて胸の所まで消えようとしたその時、三人の体の消滅が止まった。

 それに気づいて、皆は更に注いでいくと、なんと消えていった体が少しずつだ元に戻っていった。


「皆、もう少しだ!」


 ユールの掛け声で、更に注いでいった。

 長く注いでいたせいで、生徒などのまだ実力不足の者達は倒れていってしまうが、残った者達が必死に注いでいくと、遂に三人の体が元に戻った。


「……………………ぅぅ」


 囁いているぐらいだが、ガクラの声が聞こえて、皆は手を止めた。


「ガクラ?」


 クカナが心配そうに声を掛けると、ガクラはうっすらと目を開いた。


「クカナ……か?」


 声が聞こえてクカナが笑うと、続いてガネンとクラカも目を開いた。


「二人も目を開けました!」


 三人の意識が戻り、皆はホッと安堵の息を吐いたり、胸を撫で下ろしたり喜びの涙を流す。

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