超闘祭、四日目③
「痛って~」
俺は殴られた顎を押さえている。
「大丈夫かガクラ」
「ん~流石に顎は痛いな」
「向こうも痛そうだがな」
エスティーは俺に顔面を殴られてぶっ飛ばされたスインを指差す。
「痛ててて。鼻取れるかと思った」
「あんな強いパンチ食らったらな」
スインは鼻を押さえながらフラッと立ち上がる。
「お前等。去年に比べて大分コンビネーション良くなったな」
「そりゃあ一年も何もしてないわけないだろ」
スインとログラスは構えると、俺とエスティーも構えると、地面を蹴り再びぶつかり合う。
スインの光の属性力、ログラスの闇の属性力を纏った攻撃を俺とエスティーは剣で弾くとスインとログラスを蹴り飛ばした。
「やはり強いな」
「時間も大分経ってるだろうし、早く決めたいな」
二人が何か話していると、今度は俺達に向かって叫んだ。
「なぁ! そろそろ決着つけないか?」
「はぁ?」
「時間もなさそうだからさっさと終わらせないかってことだ!」
「……なるほどな。どうするエスティー?」
「まぁ~俺は賛成かな」
「そうか……まっ、俺も賛成だけど」
俺は二ッと笑う。
「スイン! その提案乗った!」
「おぅ!」
スインとログラスは力を溜めると、スインの剣は白く、ログラスのツメは黒く光る。
俺とエスティーも力を溜めると俺達の剣が光る。
「行くぞぉ!!」
「おう!!」
俺達は地面を蹴り、再び向かった。
「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
俺達は渾身の一撃を振り下ろすと、その衝撃で大きな爆発が起きた。
観客達はその爆風に顔を腕で隠したり、悲鳴を上げる。
しばらくすると煙が晴れ、俺達の姿がハッキリと見えてきた。
流石の俺達も今のは効いて、かなり疲労して息を切らしている。
しばらく息を切らしてそのまま時間が過ぎていると、スインとログラスの足元がぐらつき、前から倒れる。
……と思ったら、二人は剣とツメを地面に突き刺して持ち堪えて倒れずにいた。
「ハァ……ハァ……。今年は……耐えられた」
スインは膝に手を乗せて俺達の方を見て言う。
「ああ。そうだな」
俺はそう言い構えようとしたその時、試合終了のベルが鳴った。
『試合終了!! 結果、引き分け!!』
試合が終わって、俺とエスティーは武器をしまった。
「引き分けか」
俺とエスティーはスイン達の所に行くと、二人に手を伸ばした。
「引き分ける程になったんだから強くなったな」
「こっちの方がボロボロだからあんま嬉しくねぇな」
スイン達は俺達の手を掴んで立ち上がった。
『これにて超闘祭四日目を終了致します。明日の休みをはさんで明後日の最終日。皆さん乞うご期待下さい!』
良い試合で終わり、四日目も無事終了した。
マジックビジョンに結果が映し出された。
一位 光の兄弟 61ポイント
二位 ドラゴンナイトズ 60ポイント
三位 アルティメット 56ポイント
四位 チームソード 51ポイント
五位 エテア 45ポイント
六位 戦乙女 30ポイント
七位 ゴールドスマイル 15ポイント
八位 ファイヤーズ 13ポイント
――――――――――――――――――――
「う~~~……」
四日目が終わり、少々飲み過ぎた俺とエスティーとアスレルは広場の噴水に腰を掛けて休んでいた。付き添いとしてガネンとクラカも一緒にいる。
「大丈夫か?」
「飲み過ぎだよぉ」
「いいだろ~明日休みなんだから」
酒ってホントにキツいな~。本来の姿なら酔わないのに。
「あ、ガクラさん」
そんな俺達の所に、スイン達ドラゴンナイトズがやって来た。
ドラゴンナイトズの五人の中にもう一人いた。長い黒髪の竜人族の少女、ドラゴンナイトズの六人目のミネマだ。魔法の威力と効果を上げる竜装、魔竜のグローブの使い手だ。
「そなた達は意外と酒に弱いのぉ」
「光族でも弱いものは弱いわよ。そう言えばあんた、今年は参加しないの?」
「今年はよい。去年調子に乗りすぎてしまったからな」
ドラゴンナイトズは去年、竜装の力で順調に勝ち進んでいたため鼻を伸ばしていたんだが、俺等に負けて鼻が折れて、心身共に鍛え直したらしい。
「今日の試合、結果は引き分けだったけど俺達の方がボロボロだから正直満足はいかねぇ。だから次こそ満足いく結果にして見せるぜ」
「そうか、そりゃあ楽しみだな」
俺は立ち上がってそう言うと、明後日の最終日が更に楽しみになってきた。
「会いたかったぜ」
突然聞こえたその囁きに、俺は背筋が凍った。
急に聞こえたからではなく、なんだか……とても嫌な気配を感じたから。
俺はその囁きが聞こえた後ろを振り向くと、黒ずくめの男が俺の後ろを通り過ぎていた。
「おい待て」
俺が声を掛けると、男は足を止めた。
ドラゴンナイトズはどうしたのかと困惑していたが、エスティー達は男の嫌な気配を感じたのか険しい顔になっていた。
「お前、何者だ」
俺が問いかけると、男は振り向き様に俺に向かって手から紫色の光弾を放った。
「うおっ!?」
俺は手に光素を集中させて光弾を弾いた。
「っ!?」
俺は光弾を弾いて痺れた右手を見る。
(今の光弾……)
「何だお前!?」
スインがそう叫ぶと、俺は周囲から気配を感じた。俺達の周りに黒い服を着た人間達が囲んでいた。
男が指を鳴らすと、なんと人間達が肌の色が違ったり虫や獣っぽい顔になった。
「こいつ等、異世界人か!」
「やれ」
男の合図で、異世界人達は俺達に一斉に襲い掛かった。
幸い、この異世界人達は大したことが無く、負傷しているスインとログラスでも十分に対応出来た。問題は……。
俺はあの男の方を見ると、なんと一瞬で俺の目の前まで近づき、俺を殴り飛ばした。
「ぐはっ!!」
反応が遅れて防御できなかった俺はまともに攻撃を受けて建物の壁に激突する。
「「はあぁぁぁぁぁぁ!!」」
ガネンとクラカが男の後ろに回り込み、後頭部を蹴ろうとすると、男はしゃがんで避け、逆に二人の頭を掴み地面に叩きつけた。
「「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」」
ガネンとクラカが地面に顔をめり込まされると、男の腕にアスレルが鞭を巻きつけた。
すると男は巻きつけられたまま腕をアスレルごと振り回して背中から街灯に激突した。
「がはっ!!」
「こんのっ!!」
エスティーは双剣を男に向かって振り下ろすと、男は下がって躱しエスティーに向かって蹴りを繰り出した。
エスティーは腕で防御するが、その際ビキッと鳴った。
「うっ!」
エスティーは距離を取って右腕を押さえる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
俺は男に向かって渾身の拳を放つ。
右腕で防御されてしまうが、それでも大きく後退させた。
「エスティー、腕は?」
「ちょっと骨をやられたが平気だ」
俺等五人を相手に……何者だ本当に。
男はまだ余裕そうな表情で笑うと、突如人型の機械に入った異世界人が男の横に現れた。
「はいはい、そこまでにして下さい」
現れた異世界人に俺は目を細める。
「あれは、ブレン人」
「ご存知でしたか。光栄ですよ、光族」
「ブレン人?」
スインの問いに、エスティーが答えた。
「とても頭脳が高い種族だ。その分肉体が弱いがな」
「テメー等、仲間か?」
「仲間、というよりこの人は私の上司ですよ」
ブレン人は男に耳打ちをする。
「『例の物』を発見致しました。しかし封印が強いため難航しています」
「そうか……俺が行く」
耳打ちが終わると、男は俺達の方を見た。
「今回はここまでだ。また近いうちに会うだろう」
「おい、待て……!!」
止めようとするも、間に合わず二人は姿を消した。
「……一体何者なんだ、あいつは?」




