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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
新たな日常
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朝礼と紹介

 朝礼が始まる講堂に生徒が集まってきた。


「生徒達は順調に集まっていますね」


 ジュリエはその様子をステージ袖から見ていると、教師の一人が話しかけた。


「あのー学園長。光の兄弟が一人も来てないんですけど」

「え? それは困りましたね。もう生徒も全員集まってしまいましたし」


 あまり生徒を待たせてはいけないと思ったジュリエは。


「仕方ありません。朝礼を始めましょう。きっとその間に来るでしょう。来たら教えて下さい」

「分かりました」


 ジュリエがそう伝えると、進行役の教師はマイクのある所に向かった。


『ただいまより朝礼を始めます。まず最初に学園長からのお言葉です。学園長、お願いします』


 ジュリエがステージ袖から出て、ステージの真ん中にあるマイクの前に立った。


『皆さん、おはようございます。皆さんが登校するのも卒業式以来でしょう。約二週間休み、皆さんはどうお過ごししましたでしょうか? 私は……』


 その後もジュリエの言葉は続いた。

 本来伝える分と光の兄弟が来るまでの時間稼ぎで少し長めで。


『……以上で私の話を終わります。ここからは私が進行をさせていただきます』


 ジュリエは軽く息を吐いた。


『次に、この学園で一年間働くことになった特別教師の方々をご紹介します』


 生徒達は誰だろうと少し騒ぎだした。


『それでは特別教師の皆さん、どうぞ』


 ジュリエはバッとステージ袖に向かって腕を広げた。

 …………。

 しかしいくら待っても、光の兄弟がステージ袖から出てこない。


『皆さん。少しお待ちください』


 ジュリエはステージ袖に行った。

 生徒達に少しどよめきが走る。


「まだ来てないんですか?」

「はい、誰一人」


 どうしてなのだろうとジュリエは顎に手を当てる。


「学園長。やはり光の兄弟は教師の依頼なんてやってくれないんじゃないでしょうか?」


 教師が困り顔で言う。


「彼等は依頼をしっかりと受けてくれました。今更、本当はやりませんなんて言いませんよ」


 しかしこのままだと生徒達待たせてしまうと思ったジュリエは。


「馬車を用意して下さい。ちょっと様子を見てきます」

「学園長! 流石にこのまま生徒達を待たせるのは悪いですよ!」

「急がせれば間に合いますよ。それでは行ってきま……」


 ジュリエが外に出ようとすると、外からドドドドドと大きな音が聞こえた。

 やがてその音はどんどん近づいてきた。

 そして次の瞬間、外に続くドアがバンッと勢いよく吹き飛んで、ステージの上に落ちた。

 突然吹き飛んできたドアに生徒達は驚愕する。


「ハァハァ。あぶねー! 間に合った!」


 入ってきたのは、全力で走ってきたのか、息を切らして疲れた様子の光の兄弟だった。


――――――――――――――――――――


「ハァハァ……流石に全力疾走は疲れるな」


 家を出た時間がギリギリだったから俺達は急いで走ってきた。

 他の皆も少し息を切らしてる。

 まぁ、朝礼が始まる時間に出たら全力で走るしかねぇし。


「皆さん、何とかギリギリ間に合いましたね」

「おっ、間に合ったか」

「はい。これから皆さんを生徒に紹介しようとしていた所ですから」


 ホントにギリギリだな。


「おい、ホントに光の兄弟だぞ」

「初めて見た」

「本当に依頼受けたんですね」


 なんか教師達がヒソヒソと話してる。

 俺達が教師をやってくれるのが半信半疑だったみたいだな。


「では皆さん。急いで来て早々ですが、生徒に皆さんを紹介しますね」


 ジュリエはステージの真ん中にあるマイクの所に向かった。


『皆さん。お待たせしました。特別教師の皆さんです』


 ジュリエは言い終えると、俺達の方を見て腕を伸ばす。


「よし。じゃあ行くか」


 俺が歩き出そうとすると、エスティーが俺の肩を掴んだ。


「おいガクラ。何でオメーが指図してんだよ」

「は? 別に良いだろ」

「良くねーよ。オメーの指図を受けるなんてムカつく事出来るか!」

「デケェ声出すんじゃねぇ! 気付かれるだろうが!」

「オメェもデケェんだよ!」

「二人共デカいよ。どうでもいいから早く行かないと学園長待ってるよ」


 ガネンの言う通りジュリエは首を傾げながらジッとこっちを見てるが。


「「どうでもよくねぇんだよ!!」」


 俺とエスティーが同時に声を上げると、アスレルが近づいて……。


「いいからさっさと行けアホ共!!」


 アスレルの強烈な蹴りを食らい、俺とエスティーはステージに蹴り飛ばされた。


「痛ってーなあの野郎」


 俺は蹴られたところを摩った。


「てててて……おいガクラ」

「あん?」


 エスティーが顎である方向を指してその方向を見ると、生徒達が驚いた顔で俺とエスティーを見ていた。


「あ」


 ステージ袖にいるアスレルがため息を吐くと、ガネンとクラカが残り他の皆が次々と出てきた。

 そして生徒達の驚きも、どんどんと大きくなる。


『ご紹介しましょう。特別教師の光の兄弟の皆さんです!』

『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』


 生徒達の大声に、俺は驚き過ぎじゃないかと思う。


「では代表としてガクラさん。一言お願いします」

「え? 何それ? 聞いてないんだけど」

「はい。今決めましたから」


 ふざけんなこのガキ。

 俺はマイクを渡され、何を言おうかと頭を掻く。


『あ~えっと~……んじゃあよろしく』

『…………』


 生徒達が呆気に取られた様な顔で無言になるが、俺はマイクをジュリエに返した。


『ありがとうございました。では最後に、今日からこの学園に転入することになった転入生二人を紹介します』


 ステージ袖にいるこの学園の制服を着たガネンとクラカは来たかと思ったのか息を吐いた。


『では、どうぞ』


 二人はステージ袖から出て、真ん中の方に立った。


『ではご紹介します。新しく転入することになったガクラさんの子、ガネンさんとクラカさんです』

『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』


 またまた生徒達は大きな声で叫んだ。


『ではお二人とも。一言ずつお願いします』

「えーっとー、よろしく……お願いします」

「しまーす」

『ありがとうございました。これにて朝礼を終わります』


 特に何事もなく、朝礼が終わった。

 なんか本当に教師をやるんだなって実感が湧くな。

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