超闘祭、一日目③
「あ~~~~~~~~」
照り続ける日差しの中、俺は砂の道をひたすら走っている。
何でこうなっているかと言うと簡単だ。これが超闘祭の初日の午後の競技だからだ。
競技名は『砂漠の道』。
競技名の通り、ゴールまで異空間内の砂漠を走る競争だ。ちなみに参加選手は、
ファイヤーズ ウォーカ
ゴールドスマイル ヒビィ
戦乙女 グランタ
アルティメット ソルラ
チームソード リフェア
エテア ユキル
ドラゴンナイトズ ルーフー
光の兄弟 ガクラ
更にルールで、先頭が半分の距離を超えると魔物が一体現れ、先頭を中心に狙うらしい。
「負けねぇぞガクラ!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
現在、先頭を走っているのは俺とソルラとウォーカの三人で、残りは百メートルぐらい後方を走っている。
「オメー等うるせぇんだよ。こんなクソ暑ぃ中デケェ声出すんじぇねぇ熱血バカ」
「お前に言われたくねぇよ!!」
俺って熱血じゃねぇと思うんだけど。
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「暑そうだね~父さん」
「ホントだな」
マジックビジョンに映っている砂漠の中を汗だくで走っているガクラを、ガネンとクラカは売店で買ったジュースを飲みながら呑気に見ていた。
「去年は極寒の洞窟だったらしいよ」
「うぇ~、寒いのはヤダなぁ~」
「確かに。光族としては寒いのは嫌だな。寒いの苦手だし」
クカナの話にガネンは嫌そうな顔で言う。
「他の選手も頑張って走ってるねー」
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現在の砂漠の道の順位は。
一位 ガクラ
一位 ソルラ
三位 ウォーカ
四位 ルーフー
五位 ヒビィ
六位 リフェア
七位 グランタ
八位 ユキル
「やれやれ。こういう競技は苦手だ」
つばの広い帽子を被っているルーフーは帽子を押さえながら走っている。
「暑いねぇ」
「戦闘があまりないのは良いんだけどね」
「前方の熱血組は凄いなぁ」
「はぁ……はぁ……」
後方の殆どは女性や後衛を行っているため、こういった競技は少々不利のようだ。
「何だあれ?」
ガクラは走っていると、先の地面に光る線が引かれているのが見えた。
「何だあの線? 何かのトラップか?」
「知らんが、罠だったらその時はその時だ」
ガクラはそのまま線を越えた。
『先頭の人が半分を超えました。只今より、魔物を導入します』
そんなクランクの声が砂漠に響き渡った。
「あれは半分の距離を示す線だったのか。……ん?」
突然地面が揺れて、少しバランスを崩すと、前方に巨大な砂煙が上がって、一体の魔物が地面から現れた。
それは頭に巨大な二本の角が生えた前足が発達した四本足の魔物、サンドホーンだ。
「なるほど。乾燥地帯に住んでるからこのフィールドにピッタリだな。やっぱり導入する魔物はフィールドに合った奴を出すんだな」
サンドホーンはガクラ達に向かって突進してきた。
「おっと!」
突進してきたサンドホーンを避けると、他の選手も避けていく。
避けられたサンドホーンは続けて突進してくるが。
「ん?」
サンドホーンは他の選手に目もくれず、俺に向かって真っすぐ向かってきた。
「あれ? 俺に一直線」
さっき避けたせいで今の先頭、つまり一位はソルラになってる。
コイツは一位を狙うんじゃなかったっけ?
俺はサンドホーンの突進を避けると、続けて前足で叩きつけてきたからそれも避ける。
サンドホーンが俺を攻撃している隙に、他の選手達は先に進んで行った。
「おい待て! ほら、あっちに先頭がいるぞ。何で俺だけ狙うんだ?」
俺の言葉に、サンドホーンは当然聞く耳を持たず、俺に襲い掛かる。
――――――――――――――――――――
『これはどういうことでしょう? 確か、この競技で導入する魔物は先頭を狙うんでしたよね?』
実況のクランクは首を傾げながら隣にいるラバルト王子とガインに訊ねる。
『そうだなー。魔物を生み出した魔法使い達のミスかもしれんな。王子はどう思う?』
『……そうですね。ミスかもしれませんし。あるいは生物としての本能で強い相手を狙っているかもしれませんね』
ラバルト王子の違和感に、ガインが目を細めると、マイクに声が入らない様にしてラバルト王子に話しかける。
「王子。ホントは何か知ってるんじゃないか?」
「……いえ、本当に知りません」
元SSランクの冒険者の勘か、ガインは怪しんでいる目で見る。
(絶対何か知ってるな。だが王子がこんな事をするようには思えねぇし、となると一番怪しいのは……)
ガインはドラスナー王の方をチラッと見た。
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「あのー陛下。これガクラ殿にバレたら怒るんじゃないですか?」
「大丈夫だろ。これぐらいした方が盛り上がるだろ」
気分良さげに笑うドラスナー王に、ラゴム騎士団長はため息を吐く。
「どうかと思いますよ。魔物がガクラ殿だけ狙うように調整して生み出したなんて知ったら」
「仮に魔物を倒しても、その時には他の選手とはかなり距離が出来るだろう。だがそこからどう逆転していくのか。という展開は悪くないではないか」
こんな王に呆れるラゴム騎士団長は、心の中でガクラに同情していた。




