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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
新たな日常
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初日の朝

色々忙しくて、続きが遅くなりました。

「ふぁぁぁぁ~」


 俺は大きな欠伸をしながらリビングに向かっていた。


(あ~もう今日からか~)


 そう。今日は一週間程前に来た、一年の教師の依頼の初日だ。

 教える側になることは五千年近くの人生で全くないから、正直あまり自身ない。

 だが依頼を受けた以上、最後までやってやる。ほうしゅ……学生の為に。

 洗面所で歯を磨いた後リビングに入った。


「うぃ~す」


 リビングに入ると、殆どの皆がいて朝食を食べていた。


「あら、起きたの? そろそろ起こしに行こうかなと思ってたから」


 俺に気付いたアスレルが言う。


「お前のは目覚ましという名目の暴力だろ」


 なんせアスレルの起こし方は『殴る』だからな。


「流石に起きれるっつーの。今日は一応大事な日だからな」


 流石の俺でも依頼の初日に寝坊は出来ねぇ……と思う。


――――――――――――――――――――


 朝食を食べ終えた後、俺は着替えるために自分の部屋に向かっていた。

 今俺達がいる家……というより屋敷は、町の外れに建っており、周りが崖と海に囲まれている。

 この屋敷は昔、大家族の貴族が住んでいたらしく、魔王を倒す前に拠点にする場所を探してた俺達にとっては丁度良かった。

 部屋の前に着いた俺は、ドアを開けて中に入った。すると先客がいた。

 いたのは制服に着替えの途中で上はブラ、下は制服のスカートを着ているクラカだ。


「どうしたの父さん?」

「ああ、着替えにな」


 俺達は何事もなかったかのように会話した。

 この部屋は最初俺だけが使っていたが、ガネン、クラカ、クカナが一緒に住むようになった時に無理を言って四人で使うことになった。

 まぁ一番広い部屋だからいいんだけど。

 俺は自分のタンスを開けて赤いコートを取り出すと、今着ている青の上下の服の上に羽織って、腰の辺りのベルトを巻いて、左袖を通して着替え終えた。


「ねぇ父さん。前から聞きたかったんだけど」

「何だ?」

「何で片肌脱ぎなの?」


 その言葉に俺は思わずピクッと体を震わせた。

 今の俺はクラカの言う通り、左腕だけを袖に通して右腕を外に出している片肌脱ぎスタイルだ。


「これはね……その……こういう着方なの。ファッションなの」

「そうなの?」

「そうだよ」


 言えないよ。流石に娘には言えないよ……かっこいいと思ったからだなんて絶対言えないよ。

 すると部屋のドアが開いて、ガネンが入ってきた。


「おっ、どうしたガネン?」

「制服に着替えに来ただけだよ」

「そうか。じゃお前等、遅れるなよ」


 俺はそそくさと部屋を出た。


「ところでクラカ。父さんとなんか話してたみたいだったけど」

「うん、何で片肌脱ぎなのか聞いただけ。父さんはファッションって言ってたけど」

「いや、多分だけどアレかっこいいと思ってるからだと思う」

「なーんだ」


――――――――――――――――――――


 そろそろ向かう時間になったから、俺達はオールブ島の家に集まった。


「お前等。準備はいいか?」


 俺が言うと、他の皆は準備オーケーと言わんばかりに頷いた。


「言われるまでもねぇよ」


 エスティ―が言うと、俺は「そうだな」と言う。

 ガネンとクラカも数日前に貰った学園の制服を着て準備万端。


「よし! じゃあ行……ん?」


 俺はドアを開けようとすると、外が騒がしいことに気付いた。


「何か騒がしいな」


 ドアを開けて外を見ると、その光景に思わずギョッとした。


――――――――――――――――――――


 数日前、セシュイン学園の教員室で、ジュリエによって教師達が集められていた。


「あの学園長。やっぱり大英雄に教師をやらせるなんて無理があるのでは?」

「でも彼等は受けてくれましたよ」


 質問をした教師は難しい顔になる。


「良いんじゃないかい? きっと生徒達にとても良い刺激になると思うし。僕は賛成だよ」

「ありがとうございます教授。では皆さん、大英雄の皆さんと一緒に頑張りましょう」


 集まった教師達は解散していくと、ジュリエが呼び止めた。


「あっ、皆さん。もう一つ伝えることがあります」


 バラけだした教師達は再び集まった。


「実はこの学園に二人、転入生が入ることになりました」 


――――――――――――――――――――


 セシュイン学園高等部。

 そこの廊下に、一人の女子生徒が歩いていた。

 二つ結びをした赤紫の髪をしたその女子生徒の名はセーユ・ブラード。耳がヒレになっており、手に水かきがある種族、魚人族の女子生徒だ。


「おはよう」

「おはようございます」


 挨拶を返したのは、サラサラの長い金髪をした隣の席で、セーユの友人の人間の女子生徒シフール・ウィートだ。


「ほんの数日来なかっただけで懐かしく感じるわね」


 今日は卒業式が終わって初めての登校。

 その間に二週間程休みがあった為、セーユは教室を少し懐かしく感じていた。


「そう言えばさ。この間助けてくれた人達、また会えないかな?」

「それって、私達が絡まれていた時に助けてくれた三人組の事ですか?」

「そう。あの時は『ありがとう』しか言えなくてきちんとお礼できなかったから、やっぱりきちんとお礼したいじゃない」

「確かにそうですけど……何処の誰だか分からないのにまた会えるんでしょうか?」

「それなのよね……」


 セーユが頬杖を立てて言うと、クラスメイトの女子生徒が話しかけた。


「やぁ二人共。何話してるんだ?」

「ちょっとね。この間チンピラに絡まれていた所を助けてくれた人達がいてね、きちんとお礼したいからまた会えないかなぁって話してたの」

「そっか。あ、そう言えば二人はあの噂知ってるか?」

「あの噂?」


 二人は首を傾げた。


「なんでも今この島に……大英雄の光の兄弟が来ているらしいんだよ」


 それを聞いた二人は目を丸くした。


「でも……それあくまで噂でしょ? 本当かどうかなんて……」


 するとセーユはあることを思い出した。


「ねぇシフール。貴女、この間助けてくれた三人組の一人がガクラさんに似てるって言ってなかった?」

「はい。言いましたけど……」


 二人はお互いを見て、その噂が本当なのではないかと思い始めた。


『皆さん。おはようございます』


 学園長ジュリエの声が校内放送で響き渡る。


『この後、朝礼を始めます。生徒の皆さんは講堂に集まって下さい』

「そう言えば朝礼をやるって言ってたわね。行きましょ」


 セーユ達生徒はクラス毎に並び、講堂に向かった。

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