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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
進撃の犯罪者
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果たし状

 授業が終わって昼休み。

 俺達はいつものメンツで昼飯を取っていた。


「父さんの言った通り本当にいたね。鼻伸ばしてる新入生」

「ああ。ああいう奴を見ると流石の俺もイラっとするからよぉ、ちょっと痛い目に合わせるのが丁度良い」

「で、その痛い目に合わせる役を私にやらせないで下さい」


 セーユが不満そうに言う。

 さっきの授業でそんな鼻を伸ばしてる新入生とセーユを戦わせた。結果、セーユが苦戦することなく勝ち、その新入生は凄く悔しそうにしていた。


「いいだろ。ああいうのは強すぎず弱すぎずの奴がやるのが良いんだよ」

「なんかちょっと複雑ですけど……もういいです」


 セーユは言い返すのを諦めた。


「明日は新入生だけだし、バシバシ鍛えてやるか」


 明日の授業内容を何にしようか少し考えると、俺は少し周りを見た。


「なんか会ったばかりのこいつ等みたいだな」

「何がですか?」

「新入生だ。なんかよそよそしくて俺等に近づけずにいて、まるで俺達に会ったばかりのお前等みてぇだなと思ってな」

「言われてみれば……そうですね」


 セーユは周りを見て言うと、他の生徒も見渡す。


「でも私達もすぐに慣れましたし、新入生達もすぐに慣れますよ」

「だといいがな」


 俺は昼飯の肉を口に入れた。


「あのっ!」


 声を掛けられて振り向くと、そこには竜人族と鬼人族の男子生徒とエルフの女子生徒の三人の生徒がいた。三人とも胸に白いバッジが付いているから新入生だな。


「なんだ、何か用か?」

「お、俺、新入生のトファスって言います」


 トファスって生徒は名乗ると、緊張した様子で頭を下げた。


「ガクラさん! 俺を、弟子にしてください!」

「え? やだ」

「やっ……え!?」


 今コイツ「やったー」って言おうとしたな。受けてもらえる気満々だったのか。


「あの、理由を聞いても?」

「面倒臭い」


 俺がキッパリとそう言うと、トファスはショックを受けた。


「しょ、しょうがないよトファス」

「無理を承知で頼んだんだから仕方がないよ」

「リント、サド」


 一緒にいた二人の生徒が落ち込んでいるトファスを慰めている。


「……逆に聞くが、お前は何で俺に弟子入りしたいんだ?」

「あ、それは当然、ガクラさん達みたいに強くなりたくて……」

「じゃあ何で強くなりたい?」

「え? ……えっと、それは……」


 なかなか答えを出さないトファスに俺は少しイラついた。


「無ぇんならお前を弟子入りにする気は一ミリも無ぇ。どっか行け」


 俺は手で払うと、トファスは肩を落としてトボトボと歩いて行き、他の二人も頭を下げてその場を去った。


「あのー、新入生なんですからもう少し優しくした方が良いんじゃ?」

「悪いが、俺は強くなりたい理由が曖昧な奴は好きじゃねぇんだ。強くなって何がしたいのか、それは大事なことだからな」

「成程。確かに、ガクラさん達光族もちゃんとした理由があるから強いのかもしれませんね」

「俺等が強いかどうかはいいとして、お前等も理由が無い奴は卒業までには決めとけよ。迷いは人を弱くするからな」


 俺はそう言うと、生徒達は頷いた。


――――――――――――――――――――


 新入生が入学して約二週間が経った。

 慣れてきたのか、俺達に話しかける新入生も増えてきた。

 だが最近、新入生だけじゃなく在校生までソワソワしている。


「最近生徒達の落ち着きがねぇ気がすんだが」

「確かにそうだな」

「うん」


 ガネンとクラカ同じく気にしていた。


「そりゃあ来月に『アレ』があるからですよ。皆が落ち着かないの」

「あ~『アレ』か~」


 それは入学式でジュリエの話で出たあの話題だ。


――――――――――――――――――――


『続きまして、生徒の皆さんにご報告があります』


 生徒の皆は何だろうと顔に出ていた。

 一応何なのかは教師達は全員知っている。勿論俺等も。

 内容を聞かされた時は流石の俺達も驚いた。


『新入生には入学早々で大変かもしれませんが。来月、数年ぶりに合宿を行います』


 その発表に生徒達は騒めきだす。

 セシュイン学園は毎年島を出て合宿を行うらしいが、ここ数年魔物の凶暴化のせいで行えず、数年ぶりに再会することがこの間の職員会議で決まった。

 合宿の再開に教師は驚いていたが、それよりも合宿先と目的に驚いていた。


『合宿先はリューロン王国の王都。目的は、超闘祭の観戦です』


 その内容に、生徒達は「え!?」とさっきよりも大きく騒いだ。


――――――――――――――――――――


「まさかこんな形で超闘祭に参加するとはな」


 超闘祭は竜人族の国、リューロン王国の国王が去年から始めた最強の冒険者パーティーを決める祭りだ。

 去年はまだ魔王騒動の真っ只中だったから大変だったが、結構良かった。


「やっぱり超闘祭には、海の時に出会ったブラークさん達みたいなSSランクの冒険者が集まるんですかね?」

「まぁ去年の時も殆どのSSランクの冒険者が参加してたしな」


 去年とは状況が違うし、今年はどうなんだ?


「結構盛り上がるから楽しみにしとけ」

「はい! 楽しみにしてます!」


 元気に答えたのは、前に俺に弟子入りを頼んできた新入生のトファスだ。

 なんか俺に認められるようになりたいからってよくいるようになった。


「ガクラさん。貴方に手紙です」

「は?」


 一人の女教師が、俺に一通の手紙を渡してきた。


「何だ一体?」


 俺は手紙を広げて中身を確認した。

『光の兄弟のガクラへ。

○月×日、リューロン王国の王都の闘技場で貴方に挑戦を申し込みます。

コユ』


「……これ、果たし状じゃない?」

「やっぱりそうか」

「しかもこの日にち、今週の土曜日じゃないですか」


 土曜日って、三日後じゃねえか。

 ってか……コユって誰だよ?


――――――――――――――――――――


「どうしたんだ皆? 急に」


 土曜日の朝、ガネンとクラカがドアを開けるとセーユ、シフール、ガラート、フウケ、モリン、トファス、リント、サドがオールブ島の家の前に集まっていた。


「ほら。今日例の果たし状の日でしょ? だからちょっと見てみたいなぁって」

「ふーん。どうしようか? 父さんいないけど」

「転移魔方陣は王都に繋がってるから大丈夫じゃない?」

「んー。大丈夫かな」


 二人は皆を連れて転移魔方陣を使って屋敷を通って、リューロン王国の王都にやって来た。

 ここは闘技場にカジノなど娯楽が多い町である。


「やっぱり王都ってすっごく広い」

「合宿より一足先に来ちゃいましたね」

「確かに」

「じゃあまず、父さんと合流するか」

「そうだね」


 ガネンとクラカは闘技場の反対の方向に歩いた。


「あれ? 闘技場じゃないの?」

「いや、多分父さんは……」

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