新入生入学
ある日の朝。俺達はセシュイン学園の講堂に集まっていた。
講堂には俺達教師の他に、生徒もいる。
その生徒達は講堂の後ろ半分の所に置かれている椅子に座っていて、前半分の所にも同じ数ぐらいのの椅子が置かれていた。
今日は、セシュイン学園に新しい生徒が来る日、入学式だ。
「新入生か。どんな奴が入って来るんだ?」
俺達は入学試験を手伝ったが、誰が合格したかまでは知らない。
本当に滅茶苦茶いたから大変だったな。
「しかし新入生が入るってことは、今回の依頼の期間も半分ってところか」
「あ~そうか」
今回の依頼の期間は一年。始めたのは四月で今は九月。確かに半分ぐらいだな。
意外とあっという間だな。
すると教頭のシャーズがステージ横の教壇に立ちマイクを持った。
『ただいまより、今年度の入学式を始めます。新入生、入場』
講堂のドアが開いて、教師を先頭に新入生が入ってきた。
新入生は在校生と区別出来るように、胸の所に小さな白いバッジが付いている。
しばらくして新入生全員が座ると、ジュリエがステージ袖から出てきてステージの真ん中の教壇に立った。
『新入生の皆さん。ご入学、おめでとうございます。これからこの学園で沢山の事を学ぶと思います』
その後もジュリエの話が続いた。
『……以上で私の話を終わります。続きまして、現在この学園で一年間特別教師をしております、光の兄弟を代表して、ガクラさんからの言葉です』
「え? 俺なんか言うの?」
「昨日入学式の説明の時に言ってたじゃねぇか」
そうだっけ? やべーなんも考えてねぇ。
「ガクラらしく手短で良いんじゃない?」
「そうだな」
クカナに言われると、俺は立ち上がってステージに上り、ジュリエからマイクを渡された。
俺は生徒の方を向くと、新入生は緊張気味だったり興味津々な顔で俺を見ている。
一方で在校生の方は、俺がどうせ手短に話すと予想しているのか興味無さそう。
『あ~新入生、入学おめでとう。俺達とは半年だけだがよろしく。学園生活頑張れ~』
俺は言い終えるとマイクをジュリエに渡した。
『ありがとうございました。続いて……』
ステージから下りて椅子に座ると、在校生は「やっぱりな」と呆れた顔をし、新入生は「え? もう終わり?」と言いたそうな顔をしていた。
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「あ~疲れた」
入学式が終わると、今日はそれしかやることが無いため、俺達は屋敷に帰った。
「入学式だけで何で疲れるんだよ。父さん喋ってただけじゃん」
「俺だけだぞ喋ったの」
それに疲れたのは本当だし。
「父さん達って、もう明日から新入生の鍛錬の授業見るの?」
「いや、新入生は明日は学園の見学だけで、授業は明後日からだとよ」
ソファで胡坐座りしているクラカに俺は答えた。
「まず初日は、在校生と合同にする」
「俺等と一緒に?」
「ああ。強くなるうえでまず大切なのは、自分の今の実力を認識させることだ」
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新入生が入学して三日目。
新入生の初の鍛錬の授業の日が来た。
「あ~最初の鍛錬の授業だから、一応紹介しておく。今この学園で特別教師をしていて、主に鍛錬の授業の教官をしている光の兄弟だ。よろしく」
ガクラが紹介をしている中、冒険者コースの新入生は緊張顔で聞いていた。
今日は最初の授業ということで、在校生の冒険者コースも授業に参加している。
「さて、早速授業を始めるが、入学したばっかりだからって手は抜かねーぞ。まず修練場の周りを五周走って来い。はいゴーッ!」
ガクラが手をパンッと叩くと、新入生は慌てて修練場を出て走りに行った。
「ガクラさん。新入生には私達と同じ内容を?」
新入生が修練場から出ると、セーユはガクラに近づいて聞いてきた。
「まぁ大体な。最初は体力作りが主な内容だ。で、だんだん難易度を上げていく。今のお前等みたいに重い鎧を着けながらとかな」
「……なんか気の毒になってきました」
数十分後、走り終わった新入生たちが息を切らして戻ってきた。
「10分休憩。終わったら、武器ごとにグループを作れ」
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10分休憩後、光の兄弟の最初の授業の様に、武器ごとのグループに集まっている新入生達を光の兄弟が見ている。
ちなみにガクラは自主練習をしている在校生を見ている。
「やっぱり在校生と新入生がいると修練場が狭く感じるな」
修練場は在校生の冒険者コースが全員いても三分の一ほど埋まっていたが、新入生が加わると三分の二も埋まっているので、これまでよりも狭く感じる。
「そういえば父さん、なんか新入生に対して気にしてなかったか?」
そう聞いてくるガネンに、ガクラは気付いてたかと息を吐く。
「入学式の日に、新入生のクラスの担任をしている奴から聞いた話なんだが、何でも俺等がいる学園に入学できたからって鼻を伸ばしてる奴が何人かいるらしい」
「何で?」
クラカが首を傾げて聞いた。
「入学試験で実技を俺達が手伝っただろ? それで、『光の兄弟に認められて合格出来た』なんて考えてるバカがいるらしい。俺等は入学試験を手伝っただけで合否に関しては一切関わって無ぇのに」
「ふーん。変なの」
「まぁそういう奴がいたら俺等は遠慮はしねぇがな」
その後も、新入生の初の鍛錬の授業は続いた。




