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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
ガクラとクカナ
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二人の出会いと馴れ初め

 白く光り輝く空に大量の浮島。その上には様々な色のガラス材質の建物の町が建っていた。

 そしてその町の道を人の姿、本来の姿の光族が歩いており、空を本来の姿の光族が飛んでいた。

 それがここ、光族の世界ライテストだ。


――――――――――――――――――――


 ある浮島に建っている白い大きな建物、ライテストの病院の一室に私はいた。


「はぁ~、数百年も入院かぁ。なんか憂鬱」


 先日、ライテストに大量の毒ガス界獣を操って襲ってきた人がやって来た。犯人は当然の如く光族に恨みを持っている人だった。

 光族は立場上、感謝をされる事も多いけど、それに負けず恨みを持たれることも多いから仕方ないのかもしれない。

 たまにライテストを襲ってくる人がいるけど、それらも今回同様、異世界調査団の人達が解決してくれる。

 犯人は監獄に投獄されて事件は収束したけど、私は毒ガスを大量に吸っちゃったせいで体を悪くしちゃって入院することになった。

 光族は体に出来た傷が治るのは早いけど、体の中のは早くないからなぁ。

 入院して半年、私は暇だから折り紙の本に書かれている物を折って過ごしていた。


「あと少しでこの本の全部折り終わるね」


 人間の姿の私は折り紙を折ろうとすると。


「おい。コレお前のか?」


 声を掛けられて振り向くと、そこにいたのは人間の姿で少し鋭い青い目に茶髪の少年がいた。

 その子は怪我で入院しているのか、体中に包帯が巻かれていた。


「あっ、私のだ」


 私は少年が手に持っていた折り鶴を受け取った。


「……」

「何?」

「いや、折り紙好きなのかと思ってな」


 少年の視線の先には私がこれまでに折った折り紙があった。


「いや、別に好きじゃないけど?」

「じゃあ何で折ってんだ?」

「暇だから」


 私がそう言うと、少年は顔を歪ませた。


「お前、暇だからって好きでもねぇ事やって楽しいのか?」

「楽しいかどうかは分かんないなぁ」

「は? 分かんねぇって、どうせ時間潰すんなら楽しい事の方が良いだろ。つまんねぇ事やるよりマシだぜ」


 そう言われた私はムッとなった。


「楽しいかどうか分かんないって言っただけでつまらないとは言ってないよ」

「楽しくねぇ事なんてつまんねぇと一緒だろ」

「……じゃあ君はどう過ごしてるの今?」


 私がそう聞くと、少年は目を逸らした。

 それを見た私は思わず笑いだした。


「ハハハ、なんだ。君も楽しい事してないじゃん」


 少年は気恥ずかしそうな顔になると、次第に笑い出した。


「俺も人の事言えねぇな。ハハ……」


 私達はしばらく笑うと、落ち着いていった。


「私はクカナ。君は?」

「俺はガクラだ」


 これが私とガクラの初めての出会いだった。


――――――――――――――――――――


「ところで、ガクラのその怪我って?」


 私はガクラが入院している原因かもしれない体中の包帯について聞いてみた。


「これか? これはあの事件で修練場の壁が一部脆くなっちまってな。それで崩れたときに運悪く俺が下敷きになっちまってなぁ」


 ガクラは肩をすくめながら説明した。


「修練場ってことは、ガクラは訓練生?」

「ああ。まだ入団試験の資格ももらってねぇしな」


 異世界調査団に入団するには、まず入団試験の資格を得るために訓練生になってある程度の実力を身に付けないと試験を受けられない。


「あ~あ。入院なんかしてたら皆に置いて行かれちまう」

「皆?」

「兄弟だ。血は繋がってねぇけど、皆で受かろうって決めてな」

「へー。でも皆で受かるのなんて難しくない?」


 確か入団試験は落ちると五年は試験を受けられなくて、しかも三回落ちると二度と試験を受けられなくなるって聞いた。


「確かに難しいかもしれねぇけど、皆で決めたんだ。ぜってーに受かる」


 ガクラの自信満々の顔を見てると、本当に全員で受かりそうな気がした。


「頑張れ」

「おう」


――――――――――――――――――――


 その日から、ガクラはよくクカナの病室に訪れるようになった。

 他愛もない話をしたりしても二人は楽しそうに時間を過ごした。

 そんなある日、ガクラの退院の日が決まった。


「退院……決まったんだ」

「ああ、来週にな」

「……そっか」


 クカナの少し寂しそうな顔を見たガクラは少し笑って口を開いた。


「時間が出来たらまたここに来るぜ」

「え? いやいいよ、気を使わなくて」

「俺がそうしたいんだ。いいだろ」


 クカナは強引だなぁと思いながらも、どこか嬉しそうだった。


――――――――――――――――――――


「試験受けられるようになったんだ。良かったわね」

「ああ。難しいのは間違いねぇーけど、ぜってー皆で受かってやる」

「ふふっ、前にも聞いた。頑張れ」

「ああ!」


 後日、クカナはガクラから全員受かったという報告を聞いた。


――――――――――――――――――――


 入院して約四百年、クカナは大分体の調子が良くなって、近いうちに退院できるかもしれないと言われた。


「なんだろう。ガクラと会ってから調子が良い気がする」


 クカナは病院のロビーで飲み物を飲んでいると、入り口の方が騒がしいことに気が付く。


「何かしら?」


 クカナが首を傾げていると、医師が一人の光族を急いで宙に浮く担架で運んでいた。


「すいません、通してください!」


 皆が道を開けて医師が通ると、クカナは運ばれている人を見て目を大きく開いた。


「……ガクラ?」


――――――――――――――――――――


 病院の屋上のベンチで、大怪我を負ったガクラは塞ぎ込んでいた。


「ガクラ……」


 クカナは心配そうに声を掛けると、ガクラはゆっくりと顔を向けた。


「クカナ……」

「怪我、大丈夫? 特に目の怪我酷そうだけど」


 ガクラの左目には包帯が巻かれ、治療が特に施されていた。


「ああ。一番酷いって言われた」

「そう……」


 ガクラは頭を押さえると大きく下を向いた。


「俺は……弱い自分が情けない」

「……何があったの? 嫌なら話さなくていいけど」


 ガクラは少し沈黙した後、クカナに話した。

 話によると、友人とその妹と一緒にある世界の調査をしていると、そこで光族に恨みを持つ異世界人に会ったらしい。

 そして戦闘になりガクラ達は戦うも、まだ新人のガクラ達には厳しい相手だったらしく、ガクラ達は負けてしまい、友人の妹が攫われてしまったらしい。

 そして友人は妹を探すと言ってライテストを出ていってしまった。


「俺、こんなに悔しいのは初めてだ」


 酷く落ち込むガクラを見て、クカナはある決意をしてガクラを抱きしめた。


「ガクラ……私、ガクラと一緒にいたい」

「え?」


 クカナの突然の告白に、ガクラは目を丸くする。


「私、ガクラの力になりたい。私は戦う力はないけど、ガクラを支えていきたい。もう悲しいことがあっても平気なように」


 クカナの決意を聞いたガクラの目に涙が出ると、クカナに自分の体を寄せた。


「ありがとう、クカナ」


 ガクラがそう言うと、クカナは頬を赤くして微笑んだ。

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