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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
ガクラとクカナ
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最悪の朝

「「「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 俺達は吹き飛ばされて岩に激突した。

 ある世界の調査中に、俺達はそこで高い危険度を持つ界獣と遭遇してしまった。

 新人団員の俺達にとっては、当然敵わない相手だ。

 界獣は四本足にワニの様な大きな口。更に胴体から七つの首が生えて、計八つの頭を持っている。


「マズい……このままだと」


 俺、クレン、ファルク、エグラル、メイト、フォクサー、アスレル、ノクラー、レイルは界獣の攻撃を受けてまともに動けない。

 そんな俺達に、界獣は口から紫の光線を吐こうとした。

 殺られる。そう思ったその時、空から界獣の口に向かって二つの光線が放たれ、口の中で誘爆した界獣が後ずさりすると、俺達の前に二人の光族が降り立った。


「お前達、大丈夫か!?」

「親父! お袋!」


 来てくれたのは、俺達の育ての親、鎧の様な体をした父、ナイディンと水色の体をした母、ミスラルだ。


「連絡が途絶えたから来てみたが……まさかコイツが現れるとは」

「今のこの子達では無理ね」

「俺達で倒すぞ!」

「ええ!」


 親父とお袋は界獣に向かって走っていった。

 界獣が八つの口から火球を吐くと二人は飛んで避け、親父は腕を横に振って放った衝撃波。お袋は光のリングを界獣に当てた。

 二人は続けて光線を放つが、二つの頭が口を開けて光線を飲み込んだ。


「なっ、親父とお袋の光線を!?」

「やはり一筋縄じゃあいかないか」


 界獣の八つの頭が口に光を溜めた。しかもさっきの光線よりも凄いエネルギー量だ。


「これは……マズいな」


 珍しく焦っている親父とお袋はチラッと俺達を見た。


「ミスラル。いいか?」

「ええ。覚悟は出来てるわ」

「親父? お袋?」


 二人は全身を光らせると、界獣に向かって走り力強く掴みかかった。


「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


 二人は力を入れると、全身の光が界獣にも移っていき光が強くなっていく。


「まさか……親父! お袋!」


 何をしようとしているのか察した俺達は止めに行こうとすると、二人は俺達に手を伸ばして俺達をバリアで覆った。


「待ってくれ親父! お袋!」


 俺はバリアを叩いて叫ぶが親父達は止めず、界獣を押して俺達から距離を取っている。


「正直言って、こいつは俺達でも倒すのは難しい!」

「それに今の攻撃も、避けたら貴方達にも被害が出るし、恐らく防ぎきれないわ。こうするしかないの」


 俺達はバリアの中で、震えながら見ることしか出来なかった。


「お前等! これから何があっても、前を向いて進め!」

「おい、ちょっ――」

「これからの貴方達も……見てみたかったわ」


 そして、界獣の全身から強い光が発すると、轟音と共に巨大な爆発が起きて、俺達の所にまであっという間に爆炎が広がった。


「親父ィぃぃぃぃぃぃぃ!! お袋ぉぉぉぉぉぉぉ!!」


――――――――――――――――――――


「うあぁぁぁ!!」

「うえっ!?」


 俺はガバッと体を起こすと、アスレルがビクッと体を揺らす。


「ハァ……ハァ……。夢か……」


 俺は汗だくで周りを見ると、そこは自分の部屋だった。


「ビックリした~。何!?」

「……アスレルか。何してんだ?」

「朝食の時間だから起こしに来たのよ。で、どうしたの? 凄い汗だけど」

「……あの日の夢を見た。親父とお袋が……」


 俺が何を言おうとしたことが分かったのか、アスレルは目を大きく開くと俯いて唇を震わせる。


「こんな最悪な朝は初めてだ」


――――――――――――――――――――


 昼休みになってセーユ、シフール、ガラートの三人は食堂に向かうため廊下を歩いていた。

 そんな中ガラートは先ほどの鍛錬の授業で体を痛めていた。

 光の兄弟の人脈で国専属の魔物使いがやってきて、魔物との実践訓練を行っていた。魔物使いの魔物の為、手加減はしてくれたが当然疲労は大きかった。


「痛たたた。やっぱり魔物相手は疲れるわね」

「そうですね。私も痛いです」


 ガラートとシフールが肩や首を押さえている中、セーユは何か考え事をしている。


「どうしたんですか?」

「いや……最近っていうか、前からちょっと考えてる事があって」

「考えてる事?」

「ええ。どうして――」


 セーユが言おうとした瞬間、突然目の前の教室のドアが吹き飛ばされて、教室から飛ばされたものが壁に激突した。

 驚いた三人はその教室は三組だと気づき飛び出したものを見ると、それはガクラだった。

 すると教室から不機嫌そうな顔のガネンとクラカが出てきた。


「おいアホ親父」

「小遣い無しってどういうこと?」

「違ぇんだよお前等。あの時、あのカードが出れば俺のロイヤルストレートフラッシュが決まって――」

「「知るかぁ!!」」


 ガクラは逃げると、ガネンとクラカは追いかけた。


「どうしてガクラさんとクカナさんは結婚したのかなって」


――――――――――――――――――――


「というわけで、あの二人の結婚までの経緯とか知りませんか?」


 食堂に着いた三人は、本人達に聞くのは気まずいので、アスレルから聞こうとしていた。


「悪いけど私知らないわよ、あの二人の経緯。多分他の皆も」

「そうなんですか? どうして?」

「興味ないから」


 キッパリと放ったその言葉に三人は思わず顔を引きつる。


「やっぱり本人達から聞くしかないのかしら?」


 セーユが頬杖を突いてボソッと呟くと、丁度タイミング良くクカナの姿が見えた。


「あっ、クカナさん。良いところに」

「ん、何?」

「実は聞きたい事が」


――――――――――――――――――――


「私がガクラと結婚した理由?」

「はい」


 結局セーユはクカナ本人から聞いてみることにした。


「それはやっぱり一緒にいると楽しいから」

「は、はぁ……」

「でしたら、お二人はどうやって出会ったんですか?」


 今度はシフールが二人の出会いを聞いてみた。


「初めて会ったのは病院だね」

「「「え?」」」


 ちょっと予想外の答えにセーユ達は驚く。


「ねぇアスレル。昔、ライテストに大量の毒ガス界獣が攻め込んできた事件覚えてる?」

「あったわねーそんなこと」


 アスレルは懐かしむように言う。


「何ですか、それ?」

「私達がまだ異世界調査団に入る前の訓練生だった頃にね、大量の毒ガス界獣を操ってライテストに攻め込んできた奴がいたのよ」

「光族の世界に攻め込むって凄い自信ですね」

「たまーにいるわよ、ライテストに襲撃してくる奴。まぁ返り討ちにしたんだけどね」


 呆れ顔のアスレルを見て本当に何度も襲撃を受けていることを三人はなんとなく察した。


「それでその時、私毒ガスを結構吸っちゃってね。それで体を悪くして数百年も入院しちゃったのよ」

「それは、お気の毒ですね……」

「でもそのお陰で、私はガクラに会ったんだ」

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