一級、討伐
「おいおい。大丈夫か?」
シーヒドラと戦っているガクラは、そこからアクアドラゴンが大技を使ったのが見えた。
「ブラーク達もいんだし大丈夫だろ。それよりほれ、こっち集中しとけ」
エスティーに言われて俺はシーヒドラの方を見ると、残った三つの頭の内二つが向かってきた。
一つの頭に、クレンが二つのブーメランで斬りつけ。
もう一つの頭はノクラーが棍、レイルの扇で弾き返す。
その隙に、それぞれの頭をウルファーがツメで何度も斬り裂くと最後に思いっきり突き刺し、もう片方の頭をアールが仕込み杖で眉間を思いっきり刺して、二つの頭は地面に倒れる。
「こっちはそろそろ終わりそうだな」
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アクアドラゴンがまるで爆発の様に体から大量に放出した水の勢いでガネンとクラカは吹き飛ばされた。
直撃を免れた二人だが、水のせいでずぶ濡れになってしまった。
「痛ててて、何だ今の?」
「う~濡れた~」
クラカは濡れた頭をブンブンと振り回して水を払う。
「今のは体中の水分を放出するアクアドラゴンの大技だ。だが、あの技を使った後は逆にチャンスだ。見ろ」
ブラークが顎でアクアドラゴンを指して見ると、アクアドラゴンの鱗の色が薄く灰色の様になっている。
「水分が抜けて鱗が柔らかくなっている今がチャンスだ」
水分が無くなったアクアドラゴンは辺りを見回すと、噴水が視界に入り走りだした。
「奴に水を飲ませるな!!」
ブラークが叫ぶとカゲキリが飛び出し、アクアドラゴンの頭の角を斬り落とした。
「やっぱ一級は斬り甲斐があるな」
アクアドラゴンがカゲキリに向かって噛みつこうとすると、サシェが短剣で目を斬りつけた。
「ナーイス、サシェ」
「ん」
サシェは短剣を持ったままピースをした。
目を斬られてフラつくアクアドラゴンに、ダンガンが魔法銃で火の魔法を連射してアクアドラゴンに全弾命中させると、尻尾で瓦礫をダンガンに向かって飛ばした。
「うおっ!?」
ダンガンは隠れてた物陰から離れて瓦礫を避けた。
続いてカゲキリとサシェに向かって前足で薙ぎ払おうとすると二人はジャンプして避け、その隙にアクアドラゴンは噴水に向かって再び走り出すと、ブラークが背中を思いっきり殴り、怯んだ隙にガネンとクラカが翼を斬り落とした。
「おおぉ、上出……おわぁ!!」
ブラークはアクアドラゴンの尻尾で打ち飛ばされて民家に激突すると、アクアドラゴンはとうとう噴水の近くまで来た。……すると。
「「はぁぁぁ!!」」
アクアドラゴンが水を飲もうとすると、ガネンとクラカが噴水の後ろから飛び出し、剣でアクアドラゴンの首を斬りつけた。
二人が地面に着地するとアクアドラゴンの首が落ちて、胴体が大きな音を立てて倒れる。
「よっしゃあ!」
「おー!」
アクアドラゴンを討伐した二人はハイタッチをした。
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シーヒドラの残った最後の頭が大きく口を開けて俺に向かってくると、俺は大剣に土の属性力を纏わせると地面を力強く踏み大剣を振り下ろした。
斬撃はシーヒドラの首の付け根まで真っ二つに斬れ、シーヒドラは倒れた。
「ふぅー……あ~疲れた。流石に一級は疲れる」
俺は地面に座り込むと、他の皆も座り込んだ。
「折角海水浴を楽しんでたのに」
「そう言うなよ。まだ完全に魔物が大人しくなったって訳じゃねぇんだからよ」
「それもそうだな」
俺は体を伸ばすと砂浜に大の字で横になる。
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その日の夜。オーシェンの町では大きな宴が行われていた。
宴で出された料理の殆どは、トビザメと二体の一級の魔物、シーヒドラとアクアドラゴンを使ったものだ。
ちなみにシーヒドラとアクアドラゴンの素材の殆どは町の修繕などで提供した。
「想定外の事が起きたが、終わり良ければ全て良しだな」
「ホントだね~」
俺とクカナは宴で騒いでいる人達を見ながら楽しんでいた。
横では一緒にガネンとクラカも料理を食べながら見ている。
二人はアクアドラゴンを倒した功績で、Cランクに上がった。ランクは一回で最大二つ上まで上がる事が出来るからEからCまで上がった。
「よぉ」
酒を持ったブラークが俺の所に来た。
「ホントにお前等と一緒だと退屈しねぇーぜ」
「そうかい」
ブラークは酒を飲むと再び口を開いた。
「お前等、島でも活躍してるみたいだしな。ほれ」
ブラークが二枚の新聞の記事を取り出して俺に見せる。
そこに書かれていたのは、この間の偽光族に変身したノスの事と戦闘獣との戦いの事だった。
こっちにまでこの事件が知れ渡ったか。
「何処に行っても、お前等は活躍するな」
「だがこの二つは、正直嬉しくねぇな。偽物の力でやりたい放題する奴と、恨みを持つ奴が襲って来たんだからな」
「そうか。……ところで、今お前等は教師の依頼の最中なんだろ? 二ヶ月後の『アレ』には出られんのか?」
「……安心しな。『アレ』については学園長と話が進んでる」
「そうか」
ブラークはニッと笑う。
「もう二ヶ月後か。はえーな」
俺は『アレ』の日が来るのを心の奥で待ちながらも宴を楽しんだ。




