もう一体の一級
「うおっと!」
俺は口を開けて向かってきたシーヒドラの一つの頭をジャンプして避け首の上に乗ると、左右から頭が一つずつ襲ってきた。
すると右側の頭をフォクサーが魔法銃で。左側の頭をエンジェが弓で射ると、それぞれの頭が怯んだ隙に、エグラルの拳とシュラルのかかと落としが二つの頭に命中する。
「よし!」
俺はジャンプすると、剣に土の属性力を纏わせ、シーヒドラの胴体に思いっきり叩きつけた。
すると一つの頭が、俺に向かって火の玉を吐くと、俺は大剣でガードするが火が服に付いた。
「あちゃちゃちゃちゃ!」
俺は海に入って、服に付いた火を消した。
シーヒドラは怒ったのか、五つの頭から火の玉を俺達に向かって連発で撃ってきた。
「おっと!」
「あっちぃ!」
「うおっと!」
シーヒドラが火の玉を連発してくる中、アスレルが火の玉を吐こうとしている一つの頭を鞭で打って顔の向きを変え、吐いた火の玉が隣の頭に命中した。
「今だ!」
エスティ―は火の玉が当たった頭の喉を双剣で斬りつけた。
斬られた頭は、喉から血を吹き出し地面に倒れた。
残り四つになった頭の内、一つの頭の目をファルクが短剣で斬ると頭は上を向いて叫び、その隙にメイトがその頭を剣で斬り落とした。
これで頭は残り三つになった。
――――――――――――――――――――
「頭は三つだ」
避難場所からガクラ達とシーヒドラの戦いをガネンとクラカは見ていた。
トビザメの群れも他の冒険者達が相手にしているお陰でどんどん数が減っていってる。
「シーヒドラも追い詰めていますし、トビザメもだいぶ減っていますね」
「ええ。これなら結構早くおわ……あっ、ガネン君、クラカさん! トビザメが一匹こっちに!」
セーユが指さした方向に、一匹のトビザメが避難場所に向かってきた。
「一匹だけか~」
「つまらなそうな顔するなよ。行くぞ」
「おー!」
ガネンとクラカは武器を構えて、口を開けて襲い掛かるトビザメに立ち向かった。
……すると、空から何かが飛んできて、トビザメに激突して土煙が上がった。
「うっ!」
「何ーっ!?」
二人は目を細めると、何か大きなのが動いているのがうっすらと見えた。
すると土煙からトビザメが飛び出すと、近くの建物に激突して地面に倒れた。
「何だ?」
「ガネン、アレ!」
土煙の中にいる物が動くと、土煙が晴れて姿が見えた。
そこにいたのは、大きな翼に顔に大きなヒレが付いた青いドラゴンだ。
――――――――――――――――――――
「おいガクラ、マズいぞ!」
「あ? ……ってマジかよ!」
エスティーに言われて避難場所の方を見ると、そこには一級の魔物、アクアドラゴンがガネンとクラカと対峙していた。
「まだシーヒドラから手が離せねぇし。おーい、ブラーク!」
俺は少し離れた所でトビザメの群れと戦っているブラークに声を掛けた。
「なんだガクラ!?」
「悪ぃんだけど、避難場所に行ってガネンとクラカを手助けしてくれ! まだあの二人、一級の魔物と戦ったことがねぇから!」
「おう、任せろ! 行くぞオメー等!」
ブラークはパーティーメンバーのカゲキリ、ダンガン、サシェと共に避難場所に向かった。
――――――――――――――――――――
アクアドラゴンが口から水のブレスを吐くと、ガネンとクラカは左右に避け、水のブレスは民家を貫いた。
「うわぁ~、水でも危ないね」
「これが一級か」
初の一級との戦闘に、二人は息を整え剣を構えると、アクアドラゴンがまた水のブレスを吐き、ガネンは前に転がって避けると、アクアドラゴンの横に走って剣で斬りつける。……が、あまり傷がついてなかった。
「思ったより硬っ」
浅い傷を見てガネンが呟くと、アクアドラゴンがガネンに向かって水のブレスを吐こうとすると、クラカがアクアドラゴンの顔に飛び蹴りを当て、アクアドラゴンが吐いた水のブレスは外れた。
「結構強い。界獣じゃないからって油断するなクラカ!」
「分かってるよぉ!」
二人が再び構えると、アクアドラゴンは口を大きく開けて噛みつきに来た。
「うらぁぁぁ!!」
二人の上をブラークが飛び越えて、アクアドラゴンの頭を力強く殴った。
「ガハハッ! 短い間だが、よく一級のアクアドラゴンを足止めしたな。流石ガクラの子だ。一緒にぶっ倒すぞ!」
「「おぉ!!」」
殴られたアクアドラゴンは大きく雄叫びを上げると、建物の陰に隠れているダンガンが魔法銃で火の魔法をアクアドラゴンに向かって数発撃つと、アクアドラゴンの顔に命中した。
アクアドラゴンはダンガンの方に振り向き水のブレスを吐くと、ダンガンはその場から離れた。
懐にカゲキリが飛び込むと二本の刀で斬り、サシェがアクアドラゴンの背後から胴体を二本の短剣で斬りつけるが、SSランクの冒険者の攻撃でもあまり効いていないようだ。
「やっぱ今のアクアドラゴンの状態じゃあダメージを与えるのは難しいな」
「状態?」
「アクアドラゴンは体に水分を溜めていればいる程、鱗が硬くなる」
「じゃあどうすればいいの?」
「水をどんどん吐かせろ。そうしたら水分が抜けて鱗が柔らかくなってダメージが通りやすくなる」
「「よーし!!」」
二人がやる気を上げると、突如アクアドラゴンが体を丸めると、青い鱗が光った。
「ん?」
「何?」
「ヤベッ、離れろ!」
ブラークは叫ぶと走りアクアドラゴンから離れると、カゲキリ、ダンガン、サシェも離れて物陰に隠れる。
ガネンとクラカも離れると、アクアドラゴンは体を広げ、全身からもの凄い勢いの水が放出された。




