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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
偽りの英雄
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謎の巨人

 雲一つない晴れた休日。俺は露店の並ぶ街中を歩いていた。

 そこでちょっと小腹がすいたから串肉を買うことにした。


「おっさん。串肉一本」

「あいよー」


 俺は金を払って串肉を受け取ると再び街中を歩く。


「平和だな」


 俺は串肉を頬張りながら呟く。

 この島には魔物が生息してないから、これまでいた大陸に比べたら平和だ。

 大きな公園にやってくると、そこでは大勢の人が歩き、子供が遊んでいた。

 すると、見覚えのある奴がベンチで寝そべっていた。


「お前何やってんの?」

「あ、旦那」


 俺は食べ終わった串肉をゴミ箱に捨てると、ベンチで寝そべっているオールブ島警備団第一部隊隊長のソウシに声を掛けた。


「見て分かんねぇですか? 見回りです」

「寝てるようにしか見えねぇよ」


 っつーか完全にサボってただろコイツ。


「いやーちょっと休憩してたらいい天気なんでつい寝ちまいました」

「寝てんじゃねーか結局」


 俺がツッコむと、横から入り込んできた人が鞘に入れたままの剣でソウシの頭を叩いた。

 叩いたのはオールブ島警備団副団長のトーザだ。


「何堂々とサボってんだテメーは」

「失礼ですねートーザさん。ちゃんと見回りしてから寝たんです」

「どっちでもいいわ!!」


 トーザは大声を上げると、俺の方を見た。


「で、何でアンタがいるんだ?」

「散歩してたらコイツを見つけた」

「散歩とは呑気だな、英雄さん?」


 呆れ顔で言うトーザに、俺は言い返した。


「俺達は英雄になりたくて魔王を倒したんじゃない。魔王がこの世界のバランスを乱したから、それだけだ」


 それを聞いたトーザは「そうか」と微笑した。


「ソウシ! さっさと見回りに戻れ!」

「へーい」


 ソウシがベンチから立ち上がると、突然遠くで爆発が起き、黒煙が上がる。


「何だ!?」

「爆発事故か?」


 空に上がっていく黒煙を見ていると、その中から一体の巨大生物が姿を現した。

 両手が鋏状になっているその巨大生物は魔物ではなく、間違いなくあれは。


「界獣!?」


 30メートル程の大きさを持つその生物から感じる波動は間違いなく界獣だ。

 界獣は特有の波動が体から出ているためすぐに分かる。


「それって、前に旦那と旦那の子が倒した三体と同じような奴ですか?」

「ああ」


 教師の依頼を始めたばかりの頃、脱獄した犯罪者が闇取り引きで買い取った三体の界獣とガネンとクラカと一緒に戦った。

 あの時の三体からも同じ波動を感じていた。


「何で現れたか分かんねぇが。とりあえず、俺は倒してくるから二人は周囲の避難を頼む」

「へい」

「言われるまでもねぇ」


 俺は本来の姿に戻って巨大化しようとした。

 すると、界獣の近くの地面から白い光が出て、そこから白い巨人が現れた。


「……は?」


 俺は思わず固まった。

 その巨人は、白と灰色の体に、黄色く光る丸い眼。

 右手には白と灰色の剣を握っていた。

 その見た目から印象出来るのは本来の姿の俺達、光族だ。


「何なんだ、アイツは?」


 巨人は界獣に向かって走ると、界獣の腹に蹴りを一発入れた。

 界獣は右手の鋏で反撃するが、巨人は剣で防いで弾くと斬りつけた。

 界獣がよろめくと、剣の刀身が光ってそこから光線を放ち、界獣は光線を受けて爆散した。

 そして、巨人は体から白い光を放ち姿を消した。

 その様子を見ていた町の人々は歓喜の声を上げる。


「旦那。今の巨人も旦那達と同じ光族ですか?」

「…………知らねぇ」


――――――――――――――――――――


 その日の夜、あの巨人の事を確認するためメイトに異世界調査団本部に連絡を取ってもらった。


「成程、了解」


 メイトは屋敷のリビングにある装置で調査団本部と通話をしてしばらくすると通話を切った。


「調査団本部にも確認したけど、やっぱりアスタラードには誰も送ってないって」

「だよな~」


 送るんなら事前に報告はするだろうし、俺達にも会いに来るはずだ。

 ホントにあの白い巨人は何なんだ?


「確か例の巨人を見たのはガクラだけだよな?」

「らしいな」


 あの時、あの巨人を見たのは俺だけだ。

 他の皆は屋敷か他の町にいたから実際に見てないらしい。


「で、実際に見てどうだった? 味方だと思うか?」


 エスティーの質問に俺は頭をひねらせる。


「味方だといいんだが……一つ気になることがある」

「なんだ?」

「あの巨人から光素が全く感じられなかった」


 その言葉に、エスティーを含めた皆が反応した。


「光素が感じられ無かった? それは本当か?」

「ああ。無いと言っても過言じゃねぇ。だから、あれが光族なのかどうかも怪しいんだ」


 アイツが味方なら俺達は別にいい。

 だが、違うと言うんなら……。


――――――――――――――――――――


 次の日の放課後、俺はガネンとクラカと一緒に帰っていた。


「ねぇ~、例の白い巨人ってまた出るのかなぁ?」

「可能性はゼロじゃねぇ。また出たら絶対正体を突き止める」

「本当になんなんだろうな? その巨人」


 巨人の方もそうだが、界獣が現れた原因も知らないとな。

 怪しいのは界獣が現れる直前に起きたあの爆発だ。あの爆発の中から現れたようにも見えたしな。

 すると、離れた所で昨日と同じような爆発が起きた。


「何だ!?」

「あの爆発は……。行くぞ!」


 俺達は急いで爆発が起きた方に走る。

 そして昨日と同じように、黒煙の中から一体の界獣が現れた。

 昨日と違って、後頭部から上に伸びた角が生えている界獣だ。


「父さん!」

「ああ。だが少し待て。もしかしたらあの巨人が……」


 俺達は本来の姿に戻らず少し待った。

 しかし、一向にあの巨人が現れる気配がない。

 そんな間にも、界獣は口から火を吐いて町を破壊している。


「チッ。待ってても仕方がねぇ!」


 俺は我慢できず本来の姿に戻ろうとした。

 その時、地面から白い光が現れ、そこからあの白い巨人が姿を現した。


「父さん、あれが?」

「……例の巨人だ」

「ホントに光素を全く感じない」


 界獣は巨人に向かって火を吐くと、巨人は剣でガードして斬撃を放ち界獣に命中した。


「ん?」

(今、一瞬こっちを見たような?)


 巨人は界獣に向かって走り、剣で界獣の頭の角を斬り落とした。

 今後は拳を握り界獣の腹を殴ると、よろめいた隙を狙って剣から光線を放ち、それを受けた界獣は爆散した。

 巨人は再びこっちを一瞬見ると、体から白い光を放ち姿を消した。

 そして昨日と同じように、周囲から歓声が上がる。


「流石だぜ光族!」

「ん? あ、ああ……」


 町の人からそう言われるが、断言する。

 あれは光族ではない……ってな。

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