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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
偽りの英雄
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氷と土

 俺は植物生物から離れた所から様子を見ていた。


「よし。十分気を引いてるな」


 10程ある頭はどれ一つこちらを見ていないのを確認すると、俺は本来の姿に戻る。


「植物野郎、俺の娘に怪我させたこと、後悔させてやる」


 俺は柵の上に乗ると、池に飛び込んだ。


――――――――――――――――――――


「第一部隊は引き続き大砲と弓で攻撃。第二部隊は氷の魔法で攻撃せよ。撃てー!」


 大砲と矢、氷の魔法が一斉に発射され植物生物に命中した。


「なんかさっきより効いてる気がしますね」

「よし、このまま続けろ!」


 トーザの指示で団員達は攻撃を続けた。


「よーし、このまま……ん?」


 イサユがボキボキという音に気が付き音がする方を見ると、ディークが公園の木を引っこ抜いていた。


「あれ? 何やってんの、あのホーンコング?」


 ディークは引っこ抜いた木を植物生物に向かって投げると、一つの頭に命中し二つの頭がディークに向かって行った。

 最初に向かってきた頭を避けると、ディークは首を掴んでちぎり、次に向かってきた頭をちぎった頭で叩きつけた。


「流石一級の魔物ですね」

「敵だと厄介だが、味方だと心強い」

「魔物に負けてられねぇぞイサユさん」

「そうだな!」


 イサユ、トーザ、ソウシの三人に頭が一つずつ襲ってくると、三人はそれぞれ剣で斬り伏せた。

 頭が再生し再び襲い掛かろうとすると、横から光線が飛んできて頭や蔦を破壊していく。


「こっちだ!」


 本来の姿の戻ったガネンが空中から光線を撃つと、沢山の頭と蔦がガネンに襲い掛かって来るが、ガネンは手から放つ光線で破壊していく。


「さて、父さんは……?」


 ガネンは空からガクラを見ると、本来の姿に戻って池の中に入っていくのが見えた。


――――――――――――――――――――


 ガクラは池の中を進んでいた。

 光族は酸素ではなく光素で呼吸をするので水中だろうが宇宙空間だろうが息が出来る。

 ガクラは池の中に大量の根を張っている植物生物の真下にやってきた。


「さーて。終わらせるか」


 ガクラは真上に向かってバリアを大きく張っていった。

 大きくなっていくバリアで根が切れると、植物生物の体が少し沈んだのを確認すると、そのまま真上に飛び、バリアで植物生物を真上に押し上げていくと、大きな水しぶきを上げて池の外に飛び出した。


「な、何だ!?」


 突然の水しぶきと空に飛んでいった植物生物にイサユは驚く。


「父さん!」


 ガクラは空高くまで植物生物をバリアで押し上げていき、百メートル程まで行ったところで、空に放り投げた。


「さーて、いっちょかましますか」


 ガクラの体が白く光ると体の色が白に変わった。

 ガクラは手にエネルギーを溜め、大きな円を描く。


「ブリザードストーム!!」


 円から強烈な吹雪が放出され、植物生物を包み込んでいき全身が凍り付いた。

 凍ったのを確認すると、ガクラは地面に下りた。


「あの巨体をあっという間に凍らせるとは」

「だが凍っただけで倒せてないだろ」


 イサユとトーザがそう言うと、今度はガクラの体が茶色に光り体が茶色に変わった。


「本当の止めはこれからだ!」


 ガクラは飛ぶと、右腕に土が集まり土の剛腕に変化した右腕を植物生物に向かって突き出した。


「グランドスマッシュ!!」


 土の剛腕で凍った植物生物を殴ると、当たった場所からひび割れていき、破裂するように豪快に砕け散った。


「やっぱり凄い、ガクラさん」

「まだまだ敵わんな、俺達」

「そうだな」


 感動するセーユ達と強くなることを志す警備団が空に飛ぶガクラを見上げていた。


――――――――――――――――――――


「それでは、ご安静に」

「はーい」


 医療所から出たクラカは、噛まれたわき腹を摩った。

 門に向かって歩くと、そこにはガクラとガネンが待っていた。


「大丈夫かクラカ」

「うん。安静にって」


 クラカがそう言うと、ガクラは家の方に歩いて行った。


「帰るぞ」

「ああ」

「……うん!」


 ガネンとクラカはガクラの元に走った。

 その時のクラカの顔は、満面の笑みだった。


――――――――――――――――――――


「あれほどの怪物を簡単に倒すか。流石は光族、流石は英雄」


 男は手に持っているカプセルを窓から見える月と重ねるように眺める。


「だがこれがあればなれるのだ。私も……英雄に」

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