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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
偽りの英雄
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植物生物

 月末テストが終わって、俺はガネンとクラカと一緒に下校していた。


「どうだったよお前等、テスト」


 二人に今日のテストの出来を聞いてみた。


「案外出来たんじゃないかなぁと思う」

「勉強会やった甲斐があったよー」


 どうやら大丈夫そうだ。

 やっぱ入学させて正解だな。いちいち教える手間が省けた。


「あれ? 旦那じゃないですか」


 声を掛けてきたのは、腰に剣をぶら下げ、白い鉄製の胸当てを身につけた銀髪の豹の獣人族の青年だ。


「お前は確か、オールブ島警備団の……」

「第一部隊隊長のソウシです」


 この島に来て半月頃に、港の方で海から魔物が現れたが遭って、その時にこいつ等、オールブ島警備団と知り合った。

 魔王騒動の時でも、この島にはあまり魔物が出なかったみてぇだから戦い慣れて無かったな。まぁ、相手二級だったし。


「旦那達は学園からの帰りですか?」

「まぁな。お前は見回りか?」

「いえ……アレを探しているんです」


 ソウシは壁に張られている張り紙を指さした。

 それには三つの顔がある植物型の生き物の写真が貼られている。


「何だコイツは?」

「中央町に住んでいる植物学者が生み出した植物生物です。昨夜コイツが逃げ出したって話を聞いたので今俺達で探してるんです。一応大人しい性格みたいなんですが、水を吸ってある程度まで大きくなると凶暴になっちまうらしいんですよ」


 そんなのが逃げ出したのか。ちゃんと管理しろよ。


「人を襲ったら遠慮なく討伐してくれって頼まれたんで、旦那も出来れば協力してください」

「まっ、被害を出したらな」


――――――――――――――――――――


 その日の夜、『ソレ』は足の代わりに根でテクテクと進み柵の間を抜けると、池に飛び込んで根を底に刺した。


――――――――――――――――――――


「ふ~んふ~んふ~~ん」


 ある日の休日、クラカはオールブ島の中央町を一人で歩いていた。


「クラカさん。何してるの?」


 セーユ、シフール、イセナの三人がクラカに声を掛けた。


「暇だから一人で散歩してた」

「そうなの。私達は買い物に行く所なんだけどクラカさんはどう?」

「んーあんまり買い物とか興味ないしー」


 そう言うクラカを三人はじーっと見る。


「クラカさん、もうちょっと女の子らしくしたら?」

「え?」

「そうだな。この間泊めてもらった時も、椅子の上で平気で胡坐座りするしな」

「スパッツを履いて下着が見えなくても、あまりああいうのは良くありませんからね」


 これまであんまり気にしたことがないクラカは、三人の話を聞いて難しい顔になる。


「折角の機会だし、私達でクラカさんをコーディネートして女の子らしくしてみましょう」

「えぇ?」

「良いな」

「私も良いですよ」

「え~!?」


 驚くクラカの手を引っ張り、三人は服屋に連れて行った。

 それからクラカは難しい顔をして色んな服を着せられた。


「クラカは背が高いですから似合う服が限られてしまいますね」

「そうだなー。セーユはどういうのが良いと思う?」

「そうねー、体の色と同じ青が良いかも。それであまり模様のないシンプルな服が良いかも」


 セーユは一着の模様の少ない青い服を取った。


「次これなんてどう?」

「え~~~」


 クラカは口を尖らせるが、仕方なく服を受け取って試着室に入った。


「光族ってオシャレ興味ないのかしら。アスレルさん達もあんまり服変えないし」

「冒険者ってあまり服変えないからそれもあるんじゃないか?」

「そうかも知れませんね」

「髪もちょっとボサボサだし整えた方が良いかも」


 すると試着室のカーテンからクラカが顔だけ出してきた。


「ねぇ~。これ胸の所がキツいんだけど」

「セーユ、あれのサイズは?」

「……私基準」


 セーユは自分の胸を見て暗い顔になる。


――――――――――――――――――――


「あ~やっと解放された~」


 服屋を後にした四人はカフェで昼食を取っていた。


「あそこまで服とかに興味がないとこっちも大変だな」


 髪を整えるために美容院に連れていこうとしたが、クラカが全力で拒否したため結局行かなかった。


「クラカさんってそんなんでこれまで服とかどうしてたの?」

「服? ちゃんとしたの着たのはアスタラードに来て初めてかな」

「「「え?」」」


 クラカの言葉に、三人は同時に声を出す。


「ちゃんとって……これまでどんなの着てたの?」

「なんか、安そうな布で出来た簡単な服」

「ずっとそんなの着てたのか?」

「殆ど本来の姿で生活してたからあんまり気にしてなかった」

「いや、本来の姿だからって服ぐらい……」

「だって本来の姿、何も着てないよ?」


 クラカがそう言うと、三人は黙り込む。


「じゃあ、前に界獣と戦ってた時、裸で戦ってたってこと?」


 クラカはコクっと頷いた。


――――――――――――――――――――


 四人はカフェを後にして、大きな池がある公園にやってきた。


「なんか光族の事、ちょっと分かった気がする」

「確かに。ちゃんとした服を着る光族っているのか?」

「いるよ。ライテストにも服を作る技術はあるから。個人で作ってもらっている人も結構いるよ」

「オシャレの感覚はあるみたいですね」


 クラカは池の柵に寄り掛かる。


「オシャレって難しー。私はこのままでいいや」

「確かに、そのままがクラカっぽくて良いかもな」


 四人が笑っていると、イセナが池を見て何かに気付く。


「何だアレ?」


 イセナに続いてクラカ達が池を見ると、水面の一ヶ所に大量に泡が出ていて、徐々に大きくなっていく。

 そして次の瞬間、池から巨大な水しぶきが上がった。


「な、何っ!?」


 水しぶきが止むと、そこから大量の首が生えた植物型の生物が姿を現した。


「あれって、前に島の警備団が探してた植物生物!?」

「私も張り紙を見ましたけど、あんな姿してませんよ!?」


 現れた生物は張り紙と違い、首は三つ以上確実に生えており、体からも大量の蔦が生えている。

 すると、首の一つがクラカ達の方に向かってきた。

 その首をクラカは自分の剣を即座に取り出して斬り落とした。


「流石クラカさん!」


 セーユは喜ぶが、斬られた首の断面がグニャグニャと蠢き、新しい顔が生えてきた。


「えー!?」

「再生した!?」


 クラカは眉間にしわを寄せ剣を構える。

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