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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
訪問、光の兄弟の屋敷
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生徒と依頼

 嵐で皆が一泊することになった翌朝。

 泊まった生徒達は皆起きて、朝食を取っていた。


「なんかすみません。泊めていただいただけでなく朝食まで」

「大丈夫だよ気にしなくて。食事は大勢の方が良いし」


 遠慮しがちなセーユに、クカナは笑顔で答えた。


「そういえば、あの三人はまだ起きてないのかしら?」

「昨夜遅くまで特訓をしていたのでそうじゃないですか?」


 セーユとシフールがそう言うと、アスレルが立ち上がった。


「それじゃあ、そろそろあのバカ三人起こしてこようかな」


 アスレルは指を鳴らしながらダイニングを出た。


「なんで起こしに行くだけなのに指を鳴らしてるのかしら?」

「すぐに分かるぜ」


 エスティーの言葉に、セーユ達は首傾げる。

 そしてアスレルが出てしばらくすると。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 大きな悲鳴と共に屋敷が少し揺れた。

 その後アスレルが戻ってきて、手に持っている鞭には顔がボロボロのガクラとガネン。そして頭に大きなタンコブが出来て泣き目のクラカが縛られていた。


「いつも朝こんなんなんですか?」

「そうだなぁ、大体週に五日ぐらいだな」

「もうほぼ毎日ですね」

「まぁ元々僕達光族には寝るなんて習慣がなかったからね。僕も最初は苦手だったよ」


 メイトの言葉にエスティー達光族は頷く。


「光族って寝ないんですか!?」

「寝ないっつーか、本来の姿だと眠気とかないし、ライテストも常に昼間以上に明るいからな」

「そうなんですか」


 光族の事を少し知った生徒達は関心した。


――――――――――――――――――――


「暇だな~」


 朝食を終えた後、俺はソファで横になりながら、違う世界で買った漫画雑誌を読みながら思ったことを言った。


「あの、ガクラさん。まだ一日始まったばかりですよ。それでいきなり暇って」

「だってよー、殆どの奴等は王の護衛依頼に行っちまったんだぞ。俺だってもしかしたら受けられたかもしれねぇのに」


 不機嫌なガクラにセーユは目を逸らすと、床に一枚の写真が落ちているのに気づく。


「何かしらこれ?」


 セーユはその写真を拾って見ると、それは光の兄弟の集合写真だった。


「メイトさん。この写真は?」

「ああ、それは魔王を倒した後に記念に取った写真だよ」

「そうなんですか。道理で皆さんの服が今と違ったり、ガネン君とクラカさん、クカナさんが写ってないんですね」


 写真を見ていると、セーユはある事に気付く。


「あの、この真ん中に写っているのは?」


 セーユは写真の真ん中に写っている顔の良い茶髪の男を指さした。


「え? それガクラだけど」

「え?」


 セーユは写真に写っているガクラと、今ソファで横になりながら漫画雑誌を読んでいる死んだ魚のような目をしたガクラを交互に見比べた。


「ん? 何だ、人の顔をチラチラ見てよぉ」

「いえ、何でもないです」

(なんでこんな風に変わっちゃったんだろう。……でもこの顔最近見たような気が)

「ガクラー。一枚依頼が来たよ」

「何!?」


 俺は漫画雑誌を投げると駆け寄って依頼を手に取った。


「……この内容なら今日は暇しなくて済みそうだな。よし、ガネン、クラカ。行くぞ!」

「えぇぇ?」

「私達も行くの?」

「たりめぇだ! 依頼に行かないとFランクのままだぞ」


 二人はため息を吐いて俺の元に来た。


「しょうがないから行くよ」

「私も暇嫌だからいいよ」


 二人は昨日出来たばかりの剣を持って準備が完了したみたいだから行こうとすると。


「ガクラさん! 私達も一緒に行っていいですか!?」


 元気よく言ったのは、前にガネンとクラカから聞いた光族ファンクラブの副会長のモリンだ。


「ちょっとモリンさん。流石のガクラさんでもそれは――」

「別にいいぞ」

「えぇぇぇ!?」


 セーユが驚く一方、モリンは目を輝かせる。


「生徒長はいいんですか? 折角の機会ですよ」

「まぁそうだけど……皆は?」

「私も……行きたいです」

「貴重な経験だし、俺も」

「私も凄い興味があるぞ」

「俺もだ」


 コイツ等、結構勇気あるな。

 依頼場所はオールブ島じゃない。つまり、魔物にも遭遇するかも知れねぇのに。


「よしお前等ついてこい。俺がいる限り怪我はさせねぇ」

『はい!』 


 俺とガネン、クラカは生徒達を連れて転移魔方陣を使って小人族領のある町にやってきた。


「よぉ。待たせたな」


 俺は依頼主の町長から話を聞き終え、外で待たせた生徒達と合流した。


「はい。それで、受けた依頼ってどんなのなんですか?」


 俺は歩きながら説明した。

 今回受けた依頼は森の中にある屋敷の調査だ。

 その屋敷は町長の父親の別荘で、使わなくなって屋敷の物を回収に行こうとした矢先に魔王騒動が起きて、魔物が凶暴化したせいで調べられずにいた。

 去年俺達が魔王を倒して、魔物が大人しくなってきて警備団に調査を任せたが、何故か帰ってこなくて、冒険者にも依頼を頼んだが、そいつ等も帰ってこなかったらしい。

 それで俺達の元に屋敷の調査の依頼が来た。


「あの~なんか話を聞く限り危険な感じしかしないんですけど」

「なーに、俺がいんだ。大船に乗ったつもりでいろ」


 話しているうちに、町の出入り口にやってきた。


「お前等、町を出る前にこれを渡しておく」


 俺は生徒達に小さな袋を一人一つずつ渡した。


「それは臭い袋だ。魔物に襲われたらいざって時にそれを投げて当てろ。ちゃんと顔にだぞ。大抵の魔物は嫌がるからよ」


 場所的に危険度の高い魔物はそんなに現れないと思うが念のためにな。

 こいつ等はあまり戦う力を持ってない。初心者冒険者以下だからな。


「じゃ、いくぞお前等」


 ガネンとクラカは普通に頷き、生徒達は緊張した顔で頷く。


――――――――――――――――――――


 町を出て、草原を進むと俺達は屋敷のある森に入った。


「夜程じゃないけど、結構暗いな」

「この世界はこんな森多いからな」


 確か屋敷は意外と奥の方にあるんだよな。

 こいつ等もいるからなるべく強い魔物には遭遇せずに着きたい。


「あの、ガクラさん」

「あ? どうした」


 カーシュが不安気な顔で指さした。

 その先には、二メートル程あるトカゲの魔物が三匹、俺達の方を見ている。


「あの魔物達、ずっとこっちを見てるんですけど」

「ああ。見れば分かる」


 魔物は人がどれだけ強かろうと襲ってくるが、なんで襲ってこない。


(魔物が襲ってこないのは大体自分より強い魔物ぐらいだ。つまり……)


 俺は周囲に警戒して、あの魔物達が警戒している奴を探した。


「……お前等。俺が合図したら大きく後ろに下がれ」

「え? どうしてですか」


 セーユ達は何でかよく分からないようだが、ガネンとクラカはどうやら察しているっぽいな。

 そして『ソイツ』はガサッと動いた。


「今だ!!」


 俺が叫ぶと、生徒達は言われた通りに下がった。

 それとほぼ同時にソイツは襲い掛かって、俺と生徒達の間に現れた。


「うわぁぁぁ!?」


 現れたのは前脚に刃のような物が生えている黒い豹の魔物、アサシンパンサーだ。

 コイツの名前の由来は、夜行性でその黒い体を利用して前脚の刃で獲物をしとめることから名前にアサシン……暗殺者の意味がつけられた。

 しかも面倒なことに、コイツは危険度が二級に指定されていることだ。

 コイツ等を守りながら二級相手は面倒だな。


「しょうがねぇ。ちゃちゃっと倒し……」


 背中の大剣を抜こうとすると、空から火の玉が降ってきた。


「おわぁぁ!?」


 俺は飛び退いて躱し、飛んできた方に振り向く。

 そこにいたのは赤色のワイバーンだった。

 ソイツはワイバーンの王、キングワイバーンだ。


「クソ、マジかよ」


 キングワイバーンもアサシンパンサーと同じ二級。

 二級二体相手は面倒だ。

 するとキングワイバーンは急降下し、俺……ではなくアサシンパンサーに襲い掛かった。


「おっ、これはチャンスだ。お前等、今の内にに早くこっちに来い!!」

「え、ちょっ……うわぁぁ!!」


 生徒達は二体が戦っている隙に何とか通りぬいて、俺達は目的地の屋敷まで走った。

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