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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
セシュイン学園
19/244

参戦。ガネンとクラカ

「クソっ!」


 試合を終えたキシュウがイラついている様子で戻ってきた。


「負けちゃったもんはしょうがないよ。俺とクラカが勝てばいいだけだし」

「お前等が負けるなんてあるのか? ここの生徒相手に」

「さぁ? あるんじゃない?」

「勝てば良いんだよ! 勝てば!」


 クラカは元気よく言った後、鍛錬場に向かった。


「元気ですねー」

「ホントだね」

「クラカは無駄に元気だからな。父さんに似て」


――――――――――――――――――――


「勝った」

「うん。お疲れ」


 戻ってきたマーチャは欠伸をした。


「これで一勝一敗一引き分け。あとはあの二人ね」

「どうするの? あの二人に勝つなんて今の実力じゃあとっても無理よ」

「だから、あの二人がドジって線から出る、そんな運に賭けるしかないだろ。それじゃあ私は行ってくるぞ」


 そう言ってリーカは鍛錬場に向かった。

 そんな中、最終試合に出るシフールはずっと不安な顔になっていた。


――――――――――――――――――――


 始まる第四試合。

 一組のリーカと、三組のクラカが出てきた。


「おっ、うちの娘の登場か」


 となると最終試合はガネンか。

 さて、どんな試合を見せてくれるんだ?


『それでは、第四試合、始め』


 試合開始のベルが鳴る。


「さて、やるか」


 リーカは右手に剣、左手に魔法で火を生み出した。


「よっしゃあ、行くぞぉ!」


 クラカは地面を蹴ると、一瞬でリーカの目の前に来た。


「えっ?」


 リーカが驚くと、その隙にクラカが剣の腹で叩いてリーカを吹き飛ばした。


「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 リーカはあっという間に線の外に出て鍛錬場の壁際まで転がった。


『試合終了。勝者、三組』

「よっしゃー!」


 クラカは元気いっぱいに腕を上げた。


――――――――――――――――――――


「やはりアンタの娘の勝ちか」


 第四試合を見ていたシャーズはガクラに言う。


「だな。最終試合はうちのガネンとアンタの娘だな」

「……ああ」


 シャーズは何やら不安そうな顔をしている。


「どうした?」

「いや、あの子が上手く戦えるのかどうか心配でな。なんせ相手は同級生とは言えあの子が憧れていた光族だからな」

「憧れ……か」


 俺は数日前の教員室での会話を思い出す。


――――――――――――――――――――


 数日前の教員室。


「お父様。作成したレポートです」

「ああ。……よし、問題なし。きちんと出来ている」

「ありがとうございます」


 シフールが笑うと、そこにガクラがやってきた。


「おーい、教頭」

「うわっ!」


 現れたガクラに、シフールは驚く。


「ん? ほれ、頼まれた資料だ」

「ああ。ありがとう」


 シャーズが受け取ると、シフールは速足で教員室のドアに向かった。


「そ、それでは失礼します」


 シフールはササッと教員室を出た。


「なぁ。お前の娘さぁ、俺達とまともに会話どころか顔を合わせないんだが」

「恐らく緊張しているのだろう。念願の光族に会えたのだから」

「念願?」

「そうだな、貴方達光族は知らないよな」


 シャーズは資料を机に置いて話した。


「この島……いや、この世界では小さい頃に必ずと言えるほど一度は光闇戦争の話を耳にする。だが五千年も前の話だ。その話が本当かどうか誰にも分らなかった」


 確かにこの世界では、長生きする種族でも長くてせいぜい二千年だ。あの戦争に参加してる奴なんて皆死んでるな。


「だから光族が本当にいるのかどうかも分からなかったんだ」

「……」

「だがあの子はずっと信じていたんだ、光族はいるって。そして数年前、貴方方光の兄弟が現れたという新聞が出た。あの子は凄く喜んでいたんだ」

「なるほど。絶対に会えないと思っていた俺達光族にいきなり会えたから、それで緊張していると」

「ああ。会えるのは早くて卒業してからだと思っていたからなあの子は」


――――――――――――――――――――


 さてさて。そんな奴に、ガネンはどう戦う?


『それでは、最終試合を始めます』


 すでに鍛錬場の円の中には、最終試合に出るガネン、シフールが待機している。


「最終試合……教頭はどう見る?」

「分からない。ただ、私はあの子がいつも通り戦ってくれればそれで十分だ」


 相手が憧れの光族。確かにいつも通りって言うのが難しいかもな。


『それでは最終試合、開始』


 そして、試合開始のベルが鳴った。


「よし。じゃあやりますか」


 ガネンは剣を持って構えた。

 シフールもゆっくりと剣を構え深呼吸をするが。


「ん?」


 ガネンは目を細めると、シフールが小さくだが、震えていることに気付く。


(なんで震えてんだろう?)

「ガネンも気付いたか」


 遠いが俺にも見える。アイツが震えてるのが。

 事情を知らないガネンから見たら分からねぇよな。

 少し戸惑っていたガネンだが、すぐに落ち着くと、地面を蹴りシフールとの距離を縮める。


「えっ!?」


 ガネンは剣を振り下ろすと、シフールは慌てて横に避ける。

 剣が地面に当たると、巨大な土煙が上がる。


「まっ、これぐらい分かり易い攻撃なら避けられるよね」


 するとガネンの持っている剣にヒビが入った。


「やべっ。剣にヒビが」


 その様子を見たシフールはさらに緊張を募らせる。


(授業用の剣でも丈夫だと思ったんですが、やっぱり……凄い)


 ガネンは剣の風圧で攻撃していくと、シフールは何とか避け続けていく。


「ハァ……ハァ……」


 ガネンの攻撃でシフールは体力を消耗し、息が荒れている。


「なあ」

「ハァ……な、なんですか?」

「シフールってさ、授業で見た感じだと結構実力ありそうだったけど、どうしてその時の実力を出さないんだ?」

「それは、その……」


 言いづらそうなシフールにガネンはあっという間に目の前まで近づくと、シフールに向かって剣を振った。

 剣を当たる直前で止めると、風圧が起きてシフールの髪が乱れる。

 シフールは震えながら数歩後退すると、尻餅をついた。


「こ、降参……です」


 シフールが震えながら言うと、ガネンの剣のヒビが広がり、剣の半分が砕けた。


『試合終了。勝者、三組。よって、今回のクラス対抗戦、優勝は三組です』


 ジュリエが結果を言うと、一気に歓声が上がった。


「ダメだったか」

「まぁ、奮闘した方だと思うぜ。あんたの娘は」

「そう言ってくれるだけでありがたい」


 やっぱ皆、成長のし甲斐があるな。


――――――――――――――――――――


 鍛錬場にある男子トイレのドアが開いて、ガネンが出てきた。


「さて、そろそろ教室に戻るか」


 対抗戦が終わり、皆も戻っている教室に向かう為ガネンは鍛錬場を出ると、外のベンチにシフールが座っているの見つける。


「何してるんだ? あんなところで」


 気になったガネンはシフールに近づく。


「やっぱりダメでした。ガクラさん達と一緒に魔王を倒していないとはいえ、光族の相手は……」

「何やってんの?」

「え? うわぁぁぁぁ!?」


 ガネンに気付いたシフールは驚いて叫ぶ。


「あ、ごめん。見かけたから声かけたんだけど」

「そ、そうでしたか」


 シフールは落ち着くためにハァーッと息を吐く。


「そう言えばさっきの試合、どうしていつも通り戦わなかったんだ?」

「それは……」


 俯いたシフールは意を決して話した。


「私、実は光族に憧れているんです。だからその……緊張してしまって」

「憧れてるって、父さん達はともかく、俺とクラカは特に大したことしてないけど」

「い、いえ。お二人も十分凄いですよ。強いですし」

「強い……か。なぁ、強いって何なの?」

「え?」


 聞かれたことの意味が分からず、シフールは戸惑う。


「俺さ、まだ訓練生だった頃。教官に当時の父さんに負けない実力だって言われたんだけど、周囲は何て言ったと思う?」

「さぁ、分かりません」

「ガクラの息子だから当然だよな、って」


 そう言ったガネンの表情は、これまで見たことないぐらい暗かった。


「そう言われた後、俺の実力って努力で身に付いたものなのか、ガクラの息子だからなのか分からなくなったんだ」

「そうだったん……ですか」

「父さんは気にするなって言ってたんだけど、俺は今でもまだ分からない」


 暗い表情になっているガネンを、シフールは優しく抱いた。


「え、むぐっ」

「実際に戦った私には分かります。貴方の実力は、遺伝なんかで身に付いたものじゃありません。間違いなく、努力で身に付いたものです」

「……そう言ってくれるのは良いんだけど、あの、ちょっと苦しい」

「え?」


 シフールは、ガネンの顔を自分の胸に押し付けていることに気付くと、顔がみるみる赤くなっていった。


「わぁぁぁぁぁぁぁ!! ご、ごめんなさい!!」


 シフールは慌ててガネンを放す。


「いや、平気」

「そ、そうですか。そろそろ教室に戻りましょう。帰りのホームルームが始まりますし」


 シフールは歩き出すが、慌てていたせいか、足を引っかけて転びそうになる。


「危ない!」


 ガネンはシフールを受け止めて、そのまま地面に倒れる。


「大丈夫か?」

「はい。大丈夫で……」


 シフールは胸がガネンの胸に押し潰れてることに気付くと、再び顔を赤くする。


「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 シフールは素早く立ち上がり、走り去ってしまう。


「どうしたんだ? 急に」


 急に走り出したシフールを見て、ガネンは首を傾げる。

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