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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
新たな日常
13/244

光族の力

「光族の力……ですか?」


 セーユが困惑しながら聞く。


「ああ。あの生物……界獣は生物兵器に利用されることが多くてな。それで色んな世界に現れることもよくあるから、倒すのも俺達光族の仕事だ」


 最近そういったことはあまりなかったから久しぶりだな。


「さて……ガネン、クラカ。お前等はこの世界で初の戦闘だな。問題ないか?」

「平気だ」

「バッチリ」


 ガネンは大丈夫の笑みを見せ、クラカは親指を立てる。


「よし。行くぞ!」

「「おお!!」」


 俺達の体が光ると、姿が変わり、そのまま界獣と同じぐらいの大きさにまで巨大化した。


「この姿に戻るのも久々だな」


 俺は久々に戻った光族本来の自分の姿を改めて見た。

 仮面のような顔。頭には二本の角。青く光る眼に上半身は赤、下半身は青が主体の体。


「ほんの数ヶ月ならなかっただけで、こんなに懐かしく感じるとは」

「その数ヶ月ダラダラ過ごしてたからだろ」

「うるせー」


 ガネンとクラカも俺と同じように姿が戻り、巨大化もしている。

 双子だけあって、体の模様や見た目は似ている。

 違うのは、二人の頭に俺と同じように二本の角が生えてるが、二人にはその間にトサカが生えていて、ガネンのは角ばっていて、クラカのは丸みがある。

 体の色も、ガネンは上半身が赤で下半身が白、クラカは上半身が青で下半身が白だ。


「さてお前等。町中で戦う時に大切な三つ、忘れてねぇよな?」


 町中で戦う時に大事な事。それは異世界調査団に入団した時に必ず教えられることだ。


「まぁ、確かに町中で戦うのは初めてだけど覚えてる」


 ガネンが言うと、クラカは頷いた。


「一つ。人がいたら救出優先」

「二つ。建物は壊さない様に」

「「三つ。大事なのは倒す事じゃなく守る事」」

「よし。正解!」


 間違いなく言えていたから、俺は頷いた。


「んじゃあ、行くぞ!!」

「「おう!!」」


 俺達は構えると、界獣に向かった。


――――――――――――――――――――


「す……凄い」


 姿が変わり、更に巨大化もしたガクラ達を見てセーユは驚いている。


「あの姿。新聞で見ただけだけど、実際に見ると凄いわね」

「あれが光族本来の姿らしいですからね」


 セーユとシフールは驚きと感激を交えながら三人の戦いを見ていた。


「そう言えば前に新聞で、本来の姿はこの世界では長く保てないって聞いた気がするんだけど」

「はい。どうやら光族は光素という世界に漂う私達には見えない光の元になるエネルギーを使って本来の姿に戻ることができるそうです。私達ぐらいの大きさだと30分ぐらいですが、巨大化してると10分ぐらいと聞きます」

「流石ファンね。詳しいじゃない」

「からかわないで下さい」


 シフールは恥ずかしげに言う。


――――――――――――――――――――


「おっと!」


 ガネンは界獣が振り回した尻尾をしゃがんで躱す。

 ガネンと戦ってる界獣は、鼻先の角と頭の二本の角の、計三本の角が特徴の姿をしている。

 界獣がガネンに向かって突進して来ると、ガネンは頭の角を掴んで止めると横に投げ倒す。

 界獣は起き上がると爪をガネンに向かって振り下ろし、ガネンは飛び退いて躱すが爪が腕に掠ってしまった。

 引っ掻かれた所からは血ではなく光の粒子が出ていた。


「いっ! やっぱ掠っただけでも痛いな」


 ガネンは引っ掻かれた箇所にエネルギーを集中させると、傷が塞がっていった。


「この姿なら傷が直ぐに治るから助かるな」


 するとまた界獣が尻尾を振り回してくると、今度は避けずにガシッと両手で受け止めた。


「うおぉぉぉぉ!!」


 尻尾を掴むと、ジャイアントスイングのように大きく振り回し、建物がない広場に向かって界獣を投げ飛ばして界獣は倒れる。

 界獣は起き上がると、頭の二本の角に熱を溜め、それを鼻先の角に流した。


「そろそろ決めた方が良いかもな」


 ガネンは両手にエネルギーを集めると、流し終えた界獣は鼻先の角から熱線を放った。

 それに続いて、ガネンは両手を合わせて光の光線を放った。

 熱線と光線がぶつかると、ガネンは力を入れて押し勝ち、光線が当たった界獣は爆散した。


「よしっ」


 ガネンは拳を握る。


――――――――――――――――――――


「ほっ。よいしょ」


 何度も殴りかかって来る界獣を、クラカは側転や宙返りなどで躱していく。

 ゴツゴツした見た目の界獣は殴るというシンプルな攻撃しかしてこないため、クラカは避けやすかった。

 何度も避けられて界獣は苛立ったのか、頭を低くして突進してくる。

 界獣が突進してくると、クラカはジャンプして、界獣の背に手を当てると足を開いて跳び箱の様に飛び越え、界獣はバランスを崩して倒れる。


「へへーん、どう?」


 界獣は立ち上がると、近くの民家を持ち上げてクラカに向かって投げつける。


「うわわわ!?」


 クラカは飛んできた家を受け止め近くに置くと、界獣がまた突進してきてすぐ近くにまで来ていた。

 

「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」


 クラカは飛び上がって何度も蹴りを浴びせると界獣は後退してふらつく。


「よーし、これで終わり」


 クラカは両手にエネルギーを溜めて放った光の光線は界獣に命中し、界獣は爆散した。


「よっしゃー!」


 クラカは拳を上げる。


――――――――――――――――――――


 ガクラが戦っている界獣の顔には目や口が無く、黄色い発光体が光っていた。

 その発光体から撃つ火の玉をガクラは手や足で弾いて行く。

 弾き終えると、ガクラは足にエネルギーを溜めて界獣に向かって放つが、界獣はバリアを張って防いだ。


「チッ。バリア張れんのか」


 界獣は連続で火の玉を撃つと、ガクラは腕を交差して防ぐ。


「う~あっちぃ。やっぱこの姿じゃ防ぐのは難しいな」


 ガクラは赤く光ると、体の色が赤く変わった。


「これなら防げる!」


 ガクラは拳同士をぶつけると、ボンっと火が出た。


――――――――――――――――――――


「ガクラさんの色が変わった?」


 セーユはガクラが変わったのを見て驚く。


「確かガクラさんは、色んな属性の力を身に纏うと新聞で見たことがあります。それに合わせて、体の色も変わると」

「じゃあ、赤は火の力ってこと?」


 セーユが聞くと、シフールは頷いた。


――――――――――――――――――――


 界獣が再び火の玉を撃つと、ガクラは火のバリアを張り、火の玉はバリアに吸い込まれるように防いだ。


「よし。そろそろ終わらせるか」


 ガクラは界獣に向かって走ると、界獣は連続で火の玉を撃つが、ガクラは前に伸ばした右手で防いでいく。

 そして懐に潜り込むと、火を纏った拳で界獣を空へ殴り飛ばし、ガクラは全身に火を纏わせ界獣に向かって突っ込んだ。

 火の玉が効かないことを学んだのか、界獣は手から波状の光線を放つが、ガクラの纏っている火で弾かれて行く。


「フレイムエクスプロージョン!」


 燃えるガクラは界獣に体当たりすると大爆発が起き、爆発の中からガクラが飛び出した。


「討伐完了! ……さてと」


 ガクラは界獣達が暴れたせいで複数の建物にに火が上がっているのを見ると、体を青色に変えた。


――――――――――――――――――――


「あれ? また変わった」


 ガクラが再び体の色を変えたことに、セーユは目を丸くする。


「なるほどな」


 そこにエスティーとアスレルがやって来た。

 エスティーはボロボロの犯罪者の顔を掴んでいた。


「おい。校舎の外にいる生徒を中に入れろ」

「え、どうしてですか?」

「青は水の力だぞ」


――――――――――――――――――――


 ガクラは両腕を広げて手が青く光ると、その場で回転した。

 すると、ガクラの手から水があふれ出て、町に雨のように降り注ぐ。

 降り注ぐ水で、火はみるみると消えていき、やがて鎮火した。


「鎮火完了」


 ガクラは地面に降りると、体の色が元に戻った。


「お疲れ父さん」

「お疲れー」


 ガクラの元にガネンとクラカが寄ってきた。


「お前等も初戦にしちゃあ上出来だ。流石俺の子だ」


 仮面のような顔で表情は変わらないが、三人は笑っていた。


――――――――――――――――――――


 その後、犯罪者共は島の警備兵に連行され解決した。

 授業も二限目から始まり、今は三限目の鍛錬の授業の真っ最中。


「お疲れ様ですガクラさん」


 ガネンとクラカと一緒にいる俺の元にジュリエ学園長がやってきた。


「どうした? なんか疲れてる顔だが」

「新聞記者の方々が押し寄せてきたので、その相手を」

「そりゃあご苦労さん」


 多分目的は俺等だろうな。


「とにかく、今日も無事に授業が出来るのはガクラさん達のおかげです」

「俺等はやるべきことをやっただけだ。さて……」


 俺は立ち上がってガネンとクラカを見た。


「お前等。今日も軽く特訓やるぞ」

「「おぉ!」」

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