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超人種族の異世界英雄記  作者: 至田真一
新たな日常
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光の兄弟、初めての授業

 鍛錬の授業の準備運動として、今生徒達は学園の敷地内を走っていた。


「ほらどうした? まだ半分も走ってないぞ」


 まだ四分の一ぐらいの所でもうバテてる生徒がいるから俺は声を掛けた。


「ハァハァ……そう言いますけどガクラさん。敷地内ってだけでどれだけ広いと思ってるんですか?」


 息を切らしながらセーユが言う。

 今コイツ等が走ってる敷地内って言うのは高等部だけじゃなく、初等部と中等部を含めた学園全部の敷地だからな、馬鹿みたいに広い。


「これは体力作りも兼ねてるんだ。ほら頑張れお前等ー」


 俺は手をパンパンと叩いた。


――――――――――――――――――――


 10分以上した後、生徒達は走り終え、皆(ガネンとクラカ以外)は息を切らして座り込んでいた。


「五分休憩なー」


 俺は声を掛けた後、光の兄弟の皆の所に集まった。


「メイト。やる内容は前に決めた通りか?」

「うん。武器ごとにグループ分けをして、そのグループごとに僕等が見る」


 武器ごとか……。となると俺は。


「でもガクラは別。ガネンとクラカを見といて」

「は? 何で俺だけ?」

「まだあの二人を他の生徒達と一緒に訓練させるには早いと思うから、それまではガクラが見てほしいんだ。それにそっちの方がガクラは良いでしょ?」

「……ああ。流石、分かってんじゃ――」

「というのを名目で、面倒事をお前に擦り付けようとお前以外の皆で決めた」


 エスティーの言葉に俺は眉がピクッと動いた。


「おい。どういうことだお前等?」


 俺は聞くが、皆そっぽを向いた。


「つーかうちの子を面倒事ってどういうことだ?」

「オメーのガキなんだから面倒事そのものだろうが」

「んだとこの野郎!?」

「ああん!?」


 エスティーと睨んでいると、横から拳が飛んできて俺とエスティーは吹き飛ばされた。


「はいはいアンタ達喧嘩しない。もう五分経つわよ」


 拳を飛ばしたアスレルは恐怖を感じる笑みで俺達を見ていた。


――――――――――――――――――――


「クソっ、アイツ等め」


 五分の休憩が終わって、生徒達がグループに分かれたが、結局ガネンとクラカは俺が見ることになった。


「まだ機嫌が悪いのか父さん」


 授業用の武器を取りに行ったガネンとクラカが戻ってきた。


「そりゃあうちの子を面倒扱いされたら機嫌も悪くなるわ」

「でもそれ、実際父さんのせいで私達そう思われてない?」

「うっ!」


 棘のある言葉で心にダメージを受けた。


「ん?」


 ふと視線を感じて振り向くが、誰もいない。


「気のせいか……?」

(いや、違うな)


 俺は小石を拾って壁に向かって投げた。


「痛っ!」


 小石がぶつかった壁から声が出ると、壁の一部がペロンと捲れた。


「痛てててて。あちゃ~バレちゃってましたか」


 捲れた壁から出てきたのは一つ結びした緑色の髪に首には白いマフラー、頭の角が特徴の竜人族の女子生徒だ。


「何だお前?」

「いや~失礼しました。私はフウケ・リーフナって言います。一応そこの二人とクラスメイトです」

「ふーん。そうなのか?」

「んー、そう言えばいたな、前の席に」

「うん。確かに」


 クラスメイトってのはホントの様だな。


「で、俺達になんか用か?」

「いえ、どんな事をするのか気になったので隠れて見ていました。でもバレちゃったのでこの辺で失礼します」


 そう言ってフウケはグループの所に戻った。


「んじゃ、俺等も何かやるか」

「「おー」」


 俺達は、生徒達に特訓を開始した。

 流石に全員は無理だから、グループに分けて見ている。

 グループは剣、槍、魔法などと言った感じに分かれていて、それぞれ得意な奴が見ている。

 ちなみに俺は、アイツ等の目論見で自分の子であるガネンとクラカを見ている。まぁいつも見ているから楽っちゃあ楽だけど。

 いつもは格闘戦だが、今回は剣術を教えている。

 他の生徒が大勢いるからいつもより軽くやらないと危ない。


「よし。大分上達してきてるな」


 正直、剣は一番の剣術の使い手のメイトが教えてやってほしいが、アイツは今生徒の方を見ているから無理だな。


「でも、この剣ライテストのより軽いからちょっと扱いずらい」

「うん。全然重くない」

「我慢しろ。初心者用の武器なんだからよぉ」


 俺もこの世界で初めて買った剣、軽くて使いずらかったけなぁ。

 正確に言えば大剣だが。


「今メイトがお前等専用の武器を作ってる途中だからそれまで我慢しろ」

「「は~い」」


 二人が返事した後、休憩時間に入った。


「調子はどうだバカ親子」


 剣を教えているエスティーが俺達の元に来た。

 ちなみに剣を使う生徒は結構多いからエスティーとメイトとアールの三人係で教えている。


「今の所いいぜー……って誰がバカだ!?」


 エスティーの言葉に俺は怒った。


「あのーガクラさん」

「あ?」


 声を掛けてきたのは授業用の剣を持ったセーユだ。

 その後ろには同じく剣を持ったシフールがいた。


「ん、なんか用か?」

「はい。実はシフールに雷の属性力を教えてあげてほしいんです」


 セーユがそう言うと、シフールは少し恥ずかしそうに頷いた。


「雷の属性力か。まぁいいぜ」


 俺は何か的になるような物を探しに物置に行くと、ちょうど良さそうな鎧を見つけた。


「よし。これでいいか」


 俺は鎧を運んで地面に置くと、ガネンが声を掛けてきた。


「なぁ父さん。属性力って何?」

「そう言えば私も知らなーい」

「あ~お前等知らないか」


 この世界特有の言葉だし、知らないのも無理ないな。


「いい機会だし教えてやる。……コイツが」


 俺はセーユの肩をポンと叩くとセーユは「え?」と驚く。


「いや、今の話でなんで私が説明するんですか?」

「そりゃあめんど……ちゃんと勉強してるか確かめるためだ」

「今めんどくさいって言おうとしませんでした?」

「してないよ。ほら、早く説明してやれ」


 セーユはガネンとクラカがジッと見ていることに気付くと、諦めてため息を吐いた。


「属性力は魔法とは別で、魔力は必要なくて精神力と集中力が必要なの。そして、武器に火とか水と言った属性を纏わせるのが属性力……でどう?」


 セーユは心配そうに聞く。


「うん。なんとなく分かった」

「父さんより分かり易いね」


 セーユはホッと安堵の息を吐く。


「おい。俺より分かり易いってどういうことだ?」

「だって父さんの説明、擬音ばっかで全然分かんない」

「そんなわけねぇだろ。なんなら見てろ」


 俺は剣を持って鎧の前に立った。


「じゃあいくぞー」


 見せるだけだし軽めでいいか。

 俺は剣に電気を纏わせると剣に黄色い稲妻が走る。

 そして剣を鎧に当てた。


「おらよっ!」


 すると、空気中に電気が走り、鎧は爆発……というか爆散した。

 それを見たセーユとシフールは顔を引きつっている。

 しかも風圧のせいか二人の髪は乱れている。


「あのーガクラさん。威力強すぎませんか?」

「そうか? これでも結構押さえたんだが」


 俺は剣を肩に乗せると、剣の刀身がボロボロと崩れた。


「あれ? まぁこの程度の剣じゃ簡単に壊れるか」


 俺は刀身が無くなった剣をポイっと捨てた。


「で、どうだった?」

「えっとー……どうだったシフール?」

「え? あ、そうですね……凄すぎて分からなかったです」


 えーそりゃあないよ~。


「まぁコツは武器にビリリッて溜めて攻撃するときにバチンッてやるのが良いんだ」

「……すいません。余計分からないです」


 シフールが申し訳なさそうに言う。


「ほら。父さんの説明分かりづらいんだって」

「ほとんど擬音だもんね。ビリッとかバチッとか」


 ガネンとクラカの言葉に俺はグサッと来た。

 気のせいかなんか二人の俺に対する対応が酷くなってる気がする。


――――――――――――――――――――


 その後も特に問題もなく授業が進み、終業の鐘が鳴った。


「お~終わったか」


 初日は特に問題もなく終わったようだ。


「無事何事もなく終わったな」

「うん。最初の父さんとエスティーの喧嘩ぐらいだね」

「確かに」


 え、アレ含まれんの? まだあの時授業始まってなかったじゃん。


「お疲れーアンタ達」


 俺達の元にアスレルがやって来た。


「なんか大丈夫そうね、アンタ達三人で」

「ああ。お前の方も大丈夫そうじゃないか」

「まぁねぇ」


 アスレルは確か少数だが鞭のグループを見ていたはずだ。


「父さん。お昼だから早く行こ」


 この学園の授業は午前と午後に二限ずつ行うらしい。

 午前の二限目が終わった今、昼休みだ。

 昼食ということでクラカがノリノリで行こうとすると、アスレルがクラカの腕をつかんだ。


「クラカ。その前にシャワー室行きなさい、ちょっと汚れてるんだから。アンタも女なんだから、そうゆうところぐらいしっかりしなさい」

「ふえ~ん」


 クラカはアスレルに引っ張られて行った。


「しゃあねぇ。先に行ってるか」

「おお」


 俺とガネンは先に食堂に行こうとしたが、後ろから襟をガシッと掴まれた。

 振り向くと、そこにいたのは光の兄弟次男のクレンだ。


「なんだよクレン」

「なんだよじゃねぇよ。お前等昨日風呂入ってないだろ」

「「うっ」」


 きれい好きのクレンにとっては一日だけでも許されない。

 なんせ最低でも二日に一回は必ず入れって言うほどだからな。


「ほら行くぞアホ親子」

「くそぉ、この清潔野郎」


 俺とガネンはクレンにズルズルと引きずられて行った。

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