久々の依頼
初めての投稿です。
活動報告でも書きましたが、特撮をイメージした作品です。
お気軽にご覧ください。
様々な種族が暮らしている世界『アスタラード』。
その世界の種族達は、手を取り合って平和に暮らしていた。
……しかし、大昔封印された魔王の復活により、その世界の平和は脅かされた。
魔王の力で魔物達は凶暴化し、人々は不安な日々を過ごしていた。
そんなある日、アスタラードとは違う世界からある者達がやって来た。
その者達はアスタラード中で起きている事件や魔物被害を解決していき、ついに、元凶である魔王を打ち倒し平和を取り戻した。
そして彼等は、『大英雄』と呼ばれるようになった。
――――――――――――――――――――
(……暇だ)
俺、ガクラはリビングのソファに寝転んで、家の天井を見ながらそんなことを思っていた。
いや、ここ二、三ヶ月毎日必ず一回はそんなことを思っていた。恐らくこの家に住んでいる皆、必ず一回はそう思ってるな。
理由は明白。『あの事件』以降、俺達に来る依頼が減っていったからだ。
そのせいで今皆は依頼じゃなくて暇をどう過ごすのかで忙しい。そんな忙しさは求めてねぇ。
「なぁ父さん」
「何?」
「暇なんだけど」
「そうだねぇ~」
隣に座っている息子からの質問に俺はテキトーに返した。
「父さーん、私も暇でーす」
「うんうんそうだねぇ~、暇だねぇ~」
最近故郷から来て、一緒に住み始めた息子のガネンと娘のクラカにとっては、こんなに何もやることがないのは初めてだから退屈なんだろうな。
二人は双子だから退屈そうな顔もホントにそっくりだ。
「ぐえっ」
急に頭の上から何かが乗っかってきた。
「グホォ!」
乗っかってきたのは、前に傷を手当してやったら懐いてついてきたホーンコングのディークだ。
頭に二本の角が生えている(コイツは左の角が折れている)ゴリラ型の魔物のホーンコングは、魔物の中でトップクラスのパワーと凶暴性を持っているから俺も懐かれるとは思ってなかった。
「お前も暇か?」
俺は頭を軽く撫でるとディークは「グホッ」と返した。
魔物でも暇を感じるとはヤバいな。そんなことを思ってると、突然ディークが家の外の方を振り向いて、牙をむき出しに唸りだした。
「どうしたディーク?」
「誰か来たんじゃない?」
ガネンがそう言うとその予想は当たり、来客を知らせるベルが鳴った。
他の皆も一瞬反応したが、すぐに興味をなくした。
「ガクラ、出なくていいの?」
そう言って声を掛けたのは、俺の妻のクカナだ。
俺は顔を上げてクカナを見る。大きい胸であまり顔が見えないが。
「どうせ新聞記者とかだろ。適当に相手してきてよ」
「うん、分かった」
クカナはそう言って玄関へ向かった。
もうあんま話すことはねぇのに、新聞記者も暇なのか?
……でもディークが唸ってたから本当に新聞記者か? 顔見知りなら唸らないはずだ。
するとクカナが不思議そうな顔で戻ってきた。
「どうしたんだ?」
「なんかね、新聞記者じゃなくて依頼をお願いしたいって子が来たの」
依頼という言葉を聞いて俺は素早く体を起こした。
「それなら大事な客だ。呼んでくれ」
「うん。ちょっと待ってて」
クカナは再び玄関に向かい、俺はソファに深く座った。
「なぁ父さん。依頼が来たからってそんなシャキッとしなくても良くない?」
「バカヤロー、三日ぶりの依頼だぞ。自然と気合いが入っちまうもんなんだよ」
そうゆうものなのかと言いたそうな顔で、ガネンとクラカはお互いを見て首を傾げる。
「ガクラ、連れてきたよ」
「おう!」
クカナと一緒に入って来たのは、長い銀髪をした人間の少女だ。
少女は俺達を見ると頭を下げた。
「はじめまして。本日、皆さんに依頼をお願いしに参りました、ジュリエ・キーランと申します」
「そんな畏まらなくて良いから座りな」
俺がそう言うと、ジュリエは「失礼します」と言い、テーブルを挟んだ向かいのソファに座った。
「全員いないようですが、良いでしょう」
今の言葉に俺は引っ掛かる。全員いないと困るのか?
「まぁいい。それで依頼内容はなんだ?」
俺は改めて依頼内容を聞いた。
「はい。教師です」
「……は?」
今なんて言ったコイツ。
「悪ぃ、もう一回言って」
「はい。教師です」
聞き間違いとかじゃなかった。
コイツはマジで俺達に教師の依頼を頼みに来ている。
他の皆も呆気に取られて驚いている。
「……お前、何者だ?」
「はい?」
「普通のガキが教師の依頼なんか頼んでくるとは思えねぇ。もう一度聞く、お前は何者だ?」
「……」
少しの無言の後、答える気になったのかジュリエは息を吐くと微笑んだ。
「改めて自己紹介を。私はオールブ島中央町セシュイン学園学園長、ジュリエ・キーランです」
『はあぁぁぁぁぁぁぁ!?』
ちょっと意外な答えに俺を含めた殆どの皆が驚く。
でも流石に冗談言っているようには見えない。
まぁよく見るとコイツが着てる服、何か学生服っぽいもんな。……学園長が学生服っておかしくないか?
「分かった。お前が学園長というのは信じてやる。でも何で俺等なんだ? 教師に向いている奴なんて他にも沢山いるだろ? それこそ高ランクの冒険者とか」
俺がそう言うと、何故かコイツは首を傾げている。
「ご謙遜を。貴方方程適任の方々はいないと私は思います。なんせ貴方方は、最高ランクの冒険者でもあり、魔王を倒してこのアスタラードに平和を取り戻してくださった『大英雄』なんですから」
そう言われて俺は頭をポリポリと掻いた。
俺達はこの世界の住人ではなく『ライテスト』という世界からやって来た。そして俺達はそのライテストに住む『光族』という種族だ。
光族は別世界や異世界などと呼ばれている違う世界に移動出来る力を持っている。
その力で光族は色んな世界のバランスを保つために事態の調査や解決などをしている。
ただし、その世界の住人では解決は困難と判断した時だけだ。
俺達がこの世界に来たのもこの世界のバランスが大きく乱れてしまったからだ。
この世界を見て回り、数ヶ月前に元凶である魔王を倒してなんとか解決した。その後、俺達はアスタラード中から大英雄と呼ばれるようになった。
ちなみにライテストに帰らずにアスタラードに残ってるのは、この世界が気に入ったからここを中心に活動していくと決めたからだ。
「分かった。その依頼受けてやる」
「そうですか。ありがとうございます」
ジュリエがお礼を言うと、後ろから一緒に住んでる奴が声を掛けた。
「おいガクラ良いのか? 勝手に決めちまって? 俺は別に構わないが、今いない奴の中には文句言う奴だっているだろ。特にエスティー辺りが言いそうじゃねぇか」
「大丈夫だろ。アイツだって暇だなぁってぼやいてただろ」
「そうだが……俺は知らねぇぞ、何言われても」
そう言って引き下がった。
「それでは明日の正午に港町で待っていますので、今いない皆さんにもお伝えください」
「ああ、任せろ」
ジュリエは立ち上がると頭を下げ、屋敷を後にした。
「なぁ父さん。依頼受けたのは良いとして、これって俺とクラカもやるの?」
「ったりめーだろ。それがどうした?」
「だって私達この世界の事全然知らないよ。それで教師やれって言われても」
確かにコイツ等と一緒に住み始めたのも三日前だし、何も知らないも同然だが……。
「まぁ何とかなるだろ」
そう言うと二人はジト目で俺を見る。
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