case3・こっくりさん
洒落にならんほど怖い話集めてみない? その14
870:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 17:22:05 ID:Y4dy6gip0i
こっくりさんなんて懐かしいモンを久々に聞いたわ
871:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 17:27:00 ID:P8s8lu1Q8l
どうした急に
872:兄 2019/10/17 17:30:24 ID:Y4dy6gip0i
妹が学校でこっくりさんをやったらしくてな
んで、テンプレ通りに呪われただのって言ってるんだわ
873:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 17:36:02 ID:OA5QQIAs2i
今時の子でもやるんだな
874:兄 2019/10/17 17:41:32 ID:Y4dy6gip0i
俺もびっくりした
でもまぁ、俺も中坊の時にやったから血筋かもな
875:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 17:47:04 ID:XtXyfVILyd
嫌な血筋だなぁ
妹はこっくりさんをやって兄貴はオカ板の住人で……
876:兄 2019/10/17 17:51:39 ID:Y4dy6gip0i
いやいや、妹は元々オカルトには興味ないんだわ
今回も霊感少女(笑)に巻き込まれたらしくてな。
こっくりさんをはじめたら十円玉が動きだしたんだよ。
んで、霊感少女(笑)がビビッて十円玉から指を離してもうパニックになってしっちゃかめっちゃかになったらしい。
877:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 17:54:56 ID:6lqU2PFlkH
よくある話だな
878:兄 2019/10/17 17:58:53 ID:Y4dy6gip0i
それが先週の話な
んで、それから妹の様子がおかしかったんだが今朝泣きながら起きてきて、足を噛まれたって言いだしたんだ
足首にはくっきり獣の歯形が残っててな
こりゃ本物だってなって「Erlosung」の事を教えたんだ
今度の土曜に行くらしい
879:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 18:04:41 ID:BMryEDxnpa
無事に祓ってもらえるといいな
880:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 18:07:43 ID:QBKpYEmRQS
また「Erlosug」か
みんな好きだな
881:兄 2019/10/17 18:11:15 ID:Y4dy6gip0i
ま、本当にあるかは眉唾ではあるけどな
でも、こっちは藁にも縋る思いなんだわ
882:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/17 18:15:34 ID:I927Mc5BsW
なんだかんだでいい兄ちゃんだな
土曜日の午後三時過ぎ、私は新宿歌舞伎町にやってきていた。新宿自体は来ることはあるけど、駅の近くばっかりでこっちまで来ないから未知の領域でドキドキする。それに、パパやママにも中学生が行くところじゃないからって言われてるし。悪いことをしているみたいで……少しだけ心が痛むけど。
「来ちゃったよ……」
遠目で見たことある歌舞伎町と書かれたネオンのアーチ型看板を見上げた。一歩、その看板をくぐると空気が一変した……ような感じがする。気のせいかもしれないけど……。
でも、獣のようなにおいが空気に交じってるのは、気のせいじゃない、よね?
ぞわり、と背中が粟立つ。背後に感じる気配と、首筋にかかる湿った生臭い息に喉の奥から悲鳴が漏れそうになる。唇を強く噛みしめて何とか悲鳴を噛み殺した。
早く、早く早く早く……!!!お兄ちゃんが教えてくれた占い師さんのところへ行かないと。
がくがくと情けなく震える足を無理矢理動かして、人混みをぬって駆けだす。時折、通行人にぶつかって何か言われるけど、足を止めるなんてできない。
お兄ちゃんに言われたのは、どこの路地だっけ?わかんない。わかんないよ!
気持ちだけが焦って、身体がついて行けてなかったみたいで思い切り足が縺れて転んでしまう。派手にアスファルトに倒れこむ私なんて見えていないみたい。まるで私をいないものと通り過ぎる人達に涙が出そうになる。あーあ、あの日からこんな事ばっかり。
「よう嬢ちゃん大丈夫か?」
「え?」
ふと、目の前に手を差し出された。男の人らしいゴツゴツした手。ぱちぱちと瞬きをして顔を上げると、顎髭を生やしたおじさんがいた。地面に寝ころんだままの私におじさんは心配そうに眉を寄せる。
「足でも捻った?」
「え、だ、大丈夫。捻ってないです。ありがとうございます」
差し出された手を掴むと、ひょいっと身体を起こされた。近づいたおじさんからはほんのりとタバコの匂いがする。そしておじさんは一言断ってから私の服についた汚れを払ってくれた。一通り汚れを落として、怪我も無いことを確認したおじさんは、ニッと人好きする顔で笑う。
「怪我してなくてよかった。急にすっころんだからびっくりしたぞ」
「あ、はは……急ぎすぎちゃって……」
あれ、そういえば歌舞伎町に来てから感じていた気配を感じなくなった……?
う~ん?と唸る私をおじさんはちょいちょいと手招きする。何だろうと小首を傾げると、おじさんは路地の入口に置かれた小さな机を指さした。テーブルの上には『易』と書かれた立て札が置いてある。
「おじさんって占い師さんなんですか?」
「正確には易者だけどな。周りからはなんでか『師匠』って呼ばれてるんだわ」
「……そういえばお兄ちゃんが歌舞伎町には師匠って呼ばれてる凄腕の易者がいるって言ってた」
「はは、そんな噂があんのか?おっちゃんネットとかには、とんと疎いから知らんかったわ」
からからと笑う師匠さんは机のそばに置かれた椅子に座る。そしてトントンと机の向かいを指で叩いて、私に座るように促す。
本当はすぐにでもお礼を言って、お兄ちゃんに言われた店に行きたいんだけど……。
でも、他の人達が私を無視したり迷惑そうにするだけだった中で、師匠さんだけは私に手を差し出してくれたのは嬉しかった。それに、もしお兄ちゃんが言ってた『師匠』がこのおじさんなら……私を助けてくれるかもしれない。
私は促されるままに師匠さんの向かいに座った。
「嬢ちゃん、『Erlosung』に行くつもりならやめときな。今、向こうは立て込んでるみてぇだからよ」
「え?」
さらりと言われた事に理解が追い付かない。なんで師匠さんは私が『Erlosung』に行こうとしてたのを知ってるの?なんでさっきから師匠さんは私の後ろを見てるの?
……何が見えてるの?
優し気に目を細めて笑う師匠さんが、怖い。
助けてくれたことはわかってるんだけど、こんなにも全部見透かされてるのは、怖いよ。
身震いする私に師匠さんはあちゃ~といった顔をした。
「悪い悪い。怖がらすつもりはなかったんだよ……ほら、俺も占い師の端くれだから視えるんだわ」
「……見える?」
「そう、視える。つっても人よりよく視えるってだけだけどな。だから、嬢ちゃんが困ってるのも、『Erlosung』に行こうとしてるのも分かったってわけよ」
「霊感的な奴ですか?」
「わかりやすく言えばそうだな」
霊感という言葉に、あの日の事がフラッシュバッシュしそうになる。いつも霊感があるから、霊が見えるって言ってるみぃちゃん。そんなみぃちゃんが急にこっくりさんをやろうって言いだしてそれで……。
「嬢ちゃん大丈夫か?顔色、悪いぞ……?」
「大丈夫です……」
でも、師匠さんはみぃちゃんと違う。信じられるし、信じたい。
机に注いでいた視線を上げて、私は真っ直ぐ師匠さんの目を見つめる。師匠さんは驚いたような表情を浮かべた後、優しく微笑んだ。
「覚悟が決まったいい目だ。やっぱり女の子ってもんは肝が据わってるなぁ」
「師匠さんの事は信じたいって思ったんです」
「自分で言うのもおかしな話だけど、おじさん胡散臭いだろ?なんで信じようと思った?」
「師匠さんだけが私に手を差し伸べてくれたから」
「なるほどな……。でも、直接嬢ちゃんを助けるのは俺じゃない」
「え?」
「俺より適任者がこの歌舞伎町にいるんでな。なぁに心配いらねぇよ。あいつはいい奴だし……信用できる」
騙されたと思って会いに行ってみろよ。
そういって笑う師匠さんの顔は少年の様だった。
「師匠さんの言ってたお店は、ここ?」
師匠さんは知り合いがやってるお店までの地図を渡してくれた。そして今、そのお店に来てるんだけど……。
ビルとビルの隙間に立つ3階建てくらいの煉瓦造りの建物を見上げる。赤い煉瓦をツタが覆う見た目は、昔ファンタジー系のアニメで見た魔女の館そのものだった。おしゃれな看板には「Fate」と書かれていて、師匠さんに伝えられた店名とも一致する。
恐る恐る、少し高い位置にある窓を背伸びして覗く。ショーウィンドウにはキラキラかがやく天然石がたくさん飾られていて、すごい綺麗。
窓越しに煌めく宝石に見惚れていると、店の奥から出てきた人と思い切り目があった。
その人は驚いたような表情をした後、優しく微笑んで手招きをする。
おずおずとドアを開けると、ふわりとハーブのいい香りが鼻をくすぐった。一歩店内に入って、ぐるりと辺りを見回す。梁からドライハーブが吊るされていて、これが香りの元みたい。コツコツとヒールの足音を響かせて、窓越しに目があった人が私に近づいてくる。歩くたびに真っ黒なカーディガンとドレープたっぷりのゆったりとしたズボンの裾が揺れてとても優雅。
「いらっしゃい。何をお探し?パワーストーン?それともハーブ?」
「あ、えっと……師匠さんがここに来るようにって」
「あら、先生が?……ああ、なるほどそういうことね」
モデルさんみたいに細くすらっとその人は、身を屈めて私に微笑みかける。窓越しに見た時は、綺麗な女の人かと思ったけど……。目の前で微笑む店主さんは女の人か、男の人かわからない。容姿が整いすぎてるのもあるんだけど、ヴィジュアル系みたいなメイクをしてるのもあって、本当に性別が不明なんだよね。ざっくりと三つ編みにして前に垂らしてる髪は真っ赤で、ますますアニメで見た魔女さんみたい。前髪から覗く目の色も深い緑で日本人じゃないのかもしれない。
ファンタジー世界から飛び出してきたみたいな店主さんに見惚れていると、とても不思議そうな顔をされてしまう。
「私の顔に何かついてる?」
「な、なにも!」
「そお?ああ、自己紹介がまだだったね。私はここの店主のキョウっていうのだけれど」
「私は陽菜です、よろしくお願いしますキョウさん」
「ええ、よろしくね。とりあえず、お茶でも飲みながら話を聞かせてくれる?」
そう言って、キョウさんは私の手を引いて店の奥に案内してくれた。細くて大きな手に私の手はすっぽりと包まれてしまう。その真っ白な掌から指先に掛けて繊細なタトゥーが走っているのが見えた。そういえばさっきチラリと見えた胸元にもタトゥーが彫られてたけど……そういうファッションなのかな?
なんてぼんやり考えていると、店の奥の一角にあるカフェスペースに着いた。キョウさんが椅子を引いて紳士的にエスコートしてくれる。遠慮がちに椅子に座ると、キョウさんも私の向かいに腰を下ろす。
「それでお困り事は何かな?」
「学校でこっくりさんをやってから、おかしな事が起こるんです」
「……こっくりさん……なんでまたそんなことを?」
「私、美術部に入ってるんですけど……部員の一人がこっくりさんをやろうって言いだして……」
それから私はキョウさんにあの日起こったことと、それから続く怪奇現象の事をできるだけ詳しく伝えた。
霊感少女のみぃちゃんがこっくりさんをやろうって言いだしたこと。みんな付き合う気は全くなかったけど、あまりにもやりたいと騒ぐから部長が一回だけねと許可をしたんだよね。
それで、こっくりさんが始まって十円玉が動き出した途端に言い出しっぺのみぃちゃんが指を離してしまった。その途端、美術室の空気がおかしくなったこと。みぃちゃんがずっと狐みたいな声を上げたり、笑い始めて……先生が来たけどどうにも出来なかった。
みぃちゃん以外のみんなは指が十円玉から離せなかったから、そのままなんとかこっくりさんに帰ってもらって一段落したと思ったこと。
でも、その日から獣臭い息づかいを感じるようになって、一昨日とうとう寝ているときに足を咬まれた様に感じたこと。噛まれたと感じたところには獣の歯形みたいなのが痣になってて、まだ消えないこと。
淹れて貰ったハーブティを飲みながら少しずつ話した。その間、キョウさんは私の手を握って、大丈夫だよというように緑の瞳で優しく見つめ続けていた。
一通り私の話を聞いたキョウさんは、ふぅっと小さく溜息をつく。
「なるほどねぇ……話はわかった。解決はとっても簡単。でもその前に一ついい?」
「なんでしょう?」
「狐の窓って知っている?」
「いえ……初めて聞きました」
狐の窓という語感だけ聞くとなんか、アニメ調の狐が指で窓枠を作ってる図が浮かんでしまう。うん、絶対これじゃない。
ぽかんとする私にキョウさんはくすくすと笑った後、両手を狐の形にする。
「こう狐を作って……耳をクロスさせるようにして組んでいくの」
キョウさんは長い指を器用に組んでいく。動き自体は全然複雑じゃないけど……どうなってるんだろうそれ。
「こう……ですか?」
見よう見まねでキョウさんに倣って指を組んでいく。これ結構キツイ……。
「そうそう、上手だね。真ん中に空間ができるでしょう?そこから覗くと妖の正体が見破れるの。日本で昔から伝わる方法だよ」
「そうなんですね。初めて聞きました」
「一般にはあまり知られていないからね。それで、店の窓の外を見てごらん。あ……結構ショッキングかもしれないから心してね」
ショッキング?心して?妙な注意に首を傾げつつ、言われた通りに狐の窓越しに外を見る。キョウさんはああ言ったけど、霊的なものが見えるなんてイマイチ信じられない。
それはキョウさんを疑ってるわけじゃなくて、霊感とか全くない私が狐の窓を使ったとしても妖が見えるようになるとは思えないんだよね。
首を傾げながら指の間を覗いた私の視界に、信じられないものが映った。窓の外から大きな狐と犬が溶けあって混ざったような黒い化け物が覗き込んでいる。
化け物は中に入ろうと窓をがりがりと引っ掻いたり、体当たりをしていて……思わず声が漏れてしまった。その声が聞こえたらしい化け物はにぃっと笑って窓越しに私を見る。ぎょろっとした目と思い切り視線が絡んで鳥肌が立つ。
恐怖でひゅっと息が詰まって、体がガタガタと震える。これが私に憑いていたの?
見たくないのに身が竦んでしまって見ることを止めることができない。そんな私の鼻をふわりとハーブの香りが擽った。温かい手で目元を覆われ、後ろからぎゅっと抱きしめられる。
「大丈夫。アレは店の中には入ってこれないから」
女性とも男性ともつかない落ち着いた声が耳元で囁かれた。安心させるように大丈夫と繰り返され、強張っていた体の力が抜けていく。
私が落ち着いたのを確認した後、目元を覆っていた手が退かされる。もう視界にはあの化け物はいない。
「ごめんなさい、刺激が強すぎたかな」
「……アレがこっくりさんの正体ですか?」
「正確には、『今回のこっくりさんで呼び出されたモノ』。下級の動物霊で普段は害がないのだけれど……。儀式が失敗して凶霊になってしまったみたいね」
「そんな……」
「もしかしたら、そのみぃちゃんとやらはこっくりさんを失敗させるのが目的だったのかもしれない」
「え?」
キョウさんの言葉があまりにも思いがけない内容だったから思わず聞き返してしまった。見上げたキョウさんはあっといった顔で口元を白い手で隠す。その顔にはありありとしまったと書かれていた。
「私、口に出してた?」
「はい、思いっきり」
「あらまぁ……あくまでこれは私の予想でしかないのだけ念頭に入れてちょうだい」
「わかりました。誰にも言いません」
「うん、いい子。多分ね、みぃちゃんは自分の霊感が本物だって証明したかったんだと思う」
「証明ですか?」
「本物の鬼見の才……いわゆる霊感を持っている者はべらべら言わないの。だって、視えることによって困ることの方が多いから」
「じゃあみぃちゃんは本当は霊感がないってこと?」
「もしくは自分は霊感持ちだって思い込んでいるのかもしれないけれど……。まあとにかく、自分が霊感持ちだと認めさせたくて、こっくりさんをやろうって言いだしたんだと思う。そして、途中で十円玉から手を離してこっくさんが視えると言って祓うパフォーマンスをするつもりだったのかもね」
「でも、本当に憑りつかれちゃったんですね」
「そういう事。そして、なんでかヒナちゃんを気に入ってしまって今に至るわけだ」
「……みぃちゃんはどうなるんでしょうか?あれ以来学校にも来てなくて……」
私の質問にキョウさんは頬に指を当てて首を傾げた。
「さぁ?私は千里眼を持ってるわけじゃないからここに来てもらわないと視えないかな。でも、死んだり、廃人になってるわけではないと思うから安心していいと思う」
「そうですか……」
「もしまだ何かあったら連れてくるといいよ。ヒナちゃんのお友達ってことでサービスしてあげる」
「ありがとうございます!」
喜ぶ私をキョウさんは目を細めて見つめていた。
「喜ぶのはまだ早いよ。そもそものアレをどうにかしないといけないからね」
アレ、と言いながらキョウさんは窓の外に目線を向ける。たったそれだけの動きで、あの化け物がまだ外にいるのだとわかってしまって体が強張ってしまう。そんな私の手を握ってキョウさんは大丈夫と微笑みかけてくれた。
なんだかキョウさんの笑顔と声ってすごく安心する……。
「その前に……ちょっとだけお説教させて。興味本位で降霊術を行うからこんな事になったんだ。ただでさえ、あなた位の年頃の子の魂は不安定で彼らにとっての極上の餌になるの。それなのにわざわざ自分たちで呼び出すのは、自分たちを喰ってくださいって言ってるようなものだよ」
「ごめんなさい……」
「これに懲りたらもうこんなことはしないように。約束できる?」
「もちろんです」
「よろしい。じゃあお説教はこれで終わり。本題に入りましょうか」
こくこくと頷く私の手を一度強く握ったキョウさんは席を立った。そして、ショーケースの中から紫色の水晶の欠片を持って戻ってくる。
「コレはアメジストと言ってね。別名紫水晶。魔除け、厄除けの効果があるパワーストーンだ。お守り代わりにコレを持ち歩くと良い。そうすれば、今あなたに憑いているモノは去って行くし、へんなものも近寄ってはこないから」
そっと掌に置かれたアメジストはほんのりと温かく、なんだか不思議。でも、体の奥から力が沸いてきて、体も軽くなった気がする。
キョウさんはアメジストを髪の色と同じ赤いサテンの小袋に入れて私に持たせてくれた。
「もし、それでも心配なら……」
もう一つ、呪い(まじない)を授けましょう。
そう言ってキョウさんは私の手を取ったかと思うと、そのまま手の甲にキスを落とした。手入れがされた柔らかくて暖かいものが押しつけられる感覚と、上から見える伏せられた瞼を飾る睫がとても長いことしか理解出来ない。
いや、睫を冷静に観察してる場合じゃないよね!?じんわりと熱が広がる手の甲と、それに呼応するみたいに熱を持ち出す頬。私はただただ、何も考えられなくて金魚みたいにぱくぱくと口を開け閉めするしか出来ない。
ちゅっとリップ音を響かせて、キョウさんは私の手の甲から顔を上げた。
「うん、これで良し」
ぽんぽんとキョウさんは私の頭を撫でる。私を見下ろすキョウさんは優しい微笑みを浮かべているけど、すみません、今私それどころじゃないです!!!
顔が熱くて、首の裏に変な汗をかいてるのを自覚するけど、目の前の美人さんは今の行為に深い意味なんて持たせていないのだろう。
「あっありがとうございます!!!」
「またいつでもおいで」
とっておきのハーブティーを準備して待っているから。
そんなキョウさんの言葉を背中で聞きながら、私は逃げるように不思議なお店を後にした。右手にはしっかりと小袋を握りしめたまま……。
洒落にならんほど怖い話集めてみない? その15
7:14の兄 2019/10/20 11:02:48 ID:TLYnnXCifO
前スレの870だけど
8:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:06:43 ID:Eeelikn1dc
あの妹がこっくりさんやった奴だっけ?
9:14の兄 2019/10/20 11:10:44 ID:TLYnnXCifO
そうそれ
昨日、妹は歌舞伎町に行ってきたらしい
10:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:16:35 ID:BHjVBY18A8
おお、どうだった?
11:14の兄 2019/10/20 11:20:36 ID:TLYnnXCifO
「Erlosug」には行けなかったらしいけど、「Fate」っていうパワーストーンの店を案内されたんだと
12:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:26:31 ID:1yZ6P9OifS
どうしてそうなった
13:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:32:29 ID:TLYnnXCifO
路上占いのおっさんに紹介されたとか
んで、無事に祓ってもらったって喜んでたぞ
アメジストをお守りにもらって帰って来てた
14:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:36:59 ID:Y6UjYfmM9X
あー「Fate」って魔女がやってるって言われてる店か
んじゃあ路上占いも妙に競馬予想が当たるおっちゃんかな
15:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:41:49 ID:wzgcEQEzkr
歌舞伎町の住人濃すぎんよ……
16:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:45:23 ID:96vgLntzwR
まぁ歌舞伎町だしな
17:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:49:39 ID:ARhGyaRS59
でも、無事に祓ってもらってよかったな
18:14の兄 2019/10/20 11:54:21 ID:TLYnnXCifO
本人ももう懲りたらしいしな
そういや、その魔女とやらすっげぇ美人だったらしい
19:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 11:57:39 ID:vBhanITHpx
「Erlosug」に引き続いてまた美形かよ!!
20:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 12:02:03 ID:9XASsahtrx
ちくしょう世の中偏りすぎてる!
21:14の兄 2019/10/20 12:06:54 ID:TLYnnXCifO
妹がずっと魔女の話をしてるし妙に懐いてる感じなんだよなあ
22:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 12:10:43 ID:YDqgTg3GYm
もしかして:初恋
23:14の兄 2019/10/20 12:14:07 ID:TLYnnXCifO
止めろおおおおおおおお!お兄ちゃんはそんな妖しい仕事の奴認めないぞ!!!
24:ほんまにあった怖い名無し 2019/10/20 12:18:00 ID:1T63vAbpmv
お兄ちゃん必死乙www