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期待を裏切られて絶望する人へ
期待。
それは、なんと身勝手な言葉なのだろうか。
望みが叶う期間を請い待ち続ける。
待ち続けるまでに至るまでの過程は、何らかの努力をしたのかもしれない。
けれどその先は、相手がどういった判断を下すのか待機するしかない。
その下される判断というのは、気持ちに応えてくれる内容なのかもしれない。はたまた、気持ちにそぐわない内容なのかもしれない。
ならば、期待外れの結果こそが最悪なのだろうか。
いや、結果はあまり重要ではない。
期待を裏切られたという感じとり方をする心が悪なのだ。
例えば、新人賞に応募して落選した時。例えば、自信作をネットに投稿しても何の反応も貰えなかった時。例えば、尊敬するあの人から批評を貰えると思い込んでいた時。
それら全て、自分が勝手に夢を膨らませていただけなのに落胆するほうが悪い。
新人賞なんて簡単に受賞するものではない。自分の自信が読み手の好みと一致するとは限らない。尊敬するあの人はこちらのことなんて気にもかけていない。
自分には大きな価値があると思い込んでいるからこそ陥る、驕りだ。
期待を裏切られただなどと、自分の価値を過大評価するな。
私には、期待をできるほどの価値すら無いのだ。
だからまずは、相手から期待をかけてもらえるだけの成長をしなければならない。
そうやってきちんと自身を見つめ直せると、私は私を期待しています。