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転生したのに軟禁生活が待っていた件(仮題)  作者: 百虎
溺れて始まる軟禁生活
9/23

来訪者

やっと物語に展開が生まれました。

「たのもー!」


甲高い元気な声が屋敷の玄関に響いた。


いや道場破りか。



マイヤが応対に出ようと客間から出て来る所だったので後ろからついて行く。


「あらあら、可愛らしいお客さんね。クラトもお久しぶり」


婆ちゃんが先に厨房から出て来て対応している。


あれ?探知魔法の反応だと客は一人のはずなんだけどな。赤髪の幼女と紫髪の男が婆ちゃんに挨拶していた。幼女の方は褐色の肌をしている。


「ご無沙汰しております、クレタ様。お変わりなくて安心しました。ガイ様もお元気ですか?それにユリアン様も」


婆ちゃんに向けていた深い紫色の瞳を、階段の途中で立ち止まったままの俺に向けてくる。


長身で引き締まった身体を旅装束に包み、長い紫髪を肩に垂らして整った顔立ちだ。

荷物をそっと受け取るマイヤ

に優しい微笑みを浮かべる。イケメン死すべし。


まあ俺だって今は金髪美少年ですけどね!てか誰。



「これは失礼しました。私が最後に会ったのはユリアン様がほんの赤子の頃でしたね。覚えておられるわけも無い。私の名前はクラト。見ての通り旅の商人です」


へー、そうなんだ?前に会った事あるんだ?全然覚えてねーわ。

そういや俺はっきりと記憶力あるの四歳くらいからかも?

よくわかんないけど子供の記憶なんでそんなもんか。


ところで隣で風船みたいに膨らんでるのが居るけど大丈夫?


俺の支線に気付いたのが、クラトと名乗る男が隣の赤い風船をそっと押し出すと紹介した。


「こちらの名前はシュアン様と…」

「わらわはシュアンじゃ!少しのあいだやっかいになるがよろしくたのむ!」



早く喋りたくてうずうずしてたのか、赤い風船改め赤髪幼女はクラトの紹介を遮って自ら名乗りを上げると、どうだと言わんばかりに胸を反らす。


出たよ!一人称が妾って。厄介事の匂いしかしねぇ!


クラトが慌ててフォローしようと口を開きかけた時、ガイ様こと、爺ちゃんが玄関から入って来た。


「おおクラト!来ておったのか。懐かしいのう!なんじゃ?子供が出来たのか?お前に似ず朗らかな良い子じゃ。まぁ立ち話もなんだしとりあえず中に入ろう」


「まあまあ、私うっかりしちゃって!続きは中でお茶でもしながら話しましょうか」


婆ちゃんが慌てて皆を居間へと誘う。マイヤは他の侍女と共に荷物を客間へと運んで、ベンは庭の手入れに裏庭へと向かった。


いつの間にか全員集合していた玄関から、客の二人と爺ちゃんと俺だけが居間へ移動し、婆ちゃんはお茶の準備だ。


「ファリアというくには、ゆたかなのじゃな!こんないなかのむらにもずいぶんとりっぱなやかたがたっておる」


辺りをキョロキョロ見回しながら幼女が仰せになられた。


歳は変わらなそうだが村のニーナと比べて随分しっかりしている様だ。教育の質の高さが窺える。てかどう見てもどこぞの王族かなんかだろ。


褐色の肌からすると、南東のイシュタニアだろうか?


婆ちゃんが皆にお茶と茶請けを配って爺ちゃんの隣に腰掛ける。


一口飲むと、紅茶の香しい匂いが鼻を抜ける。俺が口を付けたのを確認してクラトが同じ様に一口、口に含んだ。


「良い香りですね。やっぱり紅茶を飲むとファリアに帰ってきたなという気がします」


「わらわはコーヒーのほうがくちになじむが、こうちゃというのもわるくないのじゃ」


と言いつつ口いっぱいに頬張ってるのは茶菓子だろうが。育ちが良いのか悪いのか分からんガキだな。


よく見ると整った顔立ちだが、やはりあまりにも幼い。中身オッサンの俺から見たら親戚の子供程度の印象しか無い。


「ガイ様、先程はご配慮有難うございました。もうご想像頂いてるかと思いますが、こちらはイシュタニアの王女殿下にあらせられるシュアン様です。ある伝手より、当分の間国外にて保護して欲しいと頼まれまして、この通り行商の旅に同行頂いております。なるべく殿下のご身分など他に漏れないようお願い出来ますか」


いやそれはその子に言い聞かせなよ。


「先ずは殿下におかれましては、その口調を直す努力をして頂かねばなりませんな。私たちも、殿下をただの嬢子として扱います。よろしいですかな?」


にっこり微笑みながら爺ちゃんが最もな事をいう。


「うむ!よきにはからえ!」


シュアンも満面の笑みを浮かべながら応えた。

クラトが横で頭を抱えて居る。苦労してんだなあんた…。


「とにかく、ずっと旅の身の上という訳にも行きませんし、しばらくはこちらに滞在させて頂きます。マリオン様に相談したらそうする様お言葉を頂きました。ユリアン様の良いご友人にもなるだろうと」


同情の視線を感じたのか、クラトがしてやったりと言わんばかりの笑顔を俺に向けてきやがった。


マジかよ!面倒クセェェェェ!



「ところでガイ様、いつの間に結界魔法を覚えられたのですか?屋敷を囲む魔力を察知したのですが…」


おっふ


ばれてーら



読んで頂きありがとうございます。


続き読んでみてもいいかな、って方は是非ブクマ登録お願いします。


誤字脱字のご指摘や感想、評価もお待ちしてます。


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