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第6話

「ヤクス城。確かに廃城になってからは人も寄り付かない。大掛かりな魔法を行使するにはいい場所ね」


リンはうんうんと頷いている。


「行ってみよう。何か手がかりがあるかもしれない」


タツローさんは迷いなく言った。

が、危険すぎる。

そんな魔法を使うほどのメイジとなると、おそらく実力は相当のものだ。

タツローさんを召喚した理由も分からない。


何を考えているか分からない強者。

狙いがなんであれ、警戒するべき相手だろう。


「心配してくれてありがとう。世話になったね。今は何もお礼にできそうなものはないが、何か考えておく」


また心を読まれている。

この人、実は読心魔法みたいなの使えるんじゃないの?


「あら、意外とドライに別れるのね。一夜を共にした相手じゃなったの?」


ふと、昨夜の事を思い出して顔が赤らむ。

なんという事を言うのだ。


「べべべ別になにも無かったし!!!」


「そうだね。寝ただけだ」


「一緒のベッドで?」


「別々に!!」


「あらつまらない」


リンはゆっくりとタツローさんに近付くと、腕をとって擦り寄った。

ちょっと待て。あれ胸が当たってない?


「じゃあ、私が頂いちゃおっかな」


「僕には妻がいる」


「多分、遠く離れた土地でしょ。問題ないわよ」


大ありである。


「迷惑でしょ。タツローさんから離れなさいよ」


出来る限り平静を保って言葉を選んでみた。

若干の殺意が乗ったのは否定できない。


「あらその反応。ネムはやっぱりそうなのね」


ニヤニヤしてる。

シンプルに蹴飛ばしたい。


「すまない。まずは僕が呼ばれた理由を知りたいんだ」


タツローさんはあくまで冷静だ。

さすがタツローさん!


「それなら私もお供しますわ。そんな高度な魔法陣なら見てみたいもの。それに、魔法に詳しい私なら何か分かるかも」


「確かにそうだね。助かるよリンさん」


「呼び捨てでいいわ。ネムみたいに」


こちらをニヤニヤしながら見てやがる。

この女狐め。


「分かった。行こうリン」


「はい。じゃあね、ネム」


「じゃあねじゃないわよ。私も行きます!道案内がいるでしょ!」


「私が案内するわよ」


「引きこもりメイジに道案内が務まるわけないでしょ!ね、タツローさん!」


勇気を出してタツローさんの空いた手を握ってみる。

手のひらは固く、思ったよりゴツゴツしていた。


「ありがとうネム。リン。お願いするよ」


タツローさんが爽やかに微笑んだ。

自分の頬が緩むのが分かる。


リンがこっちを見てクスクス笑ってるのは気にしない事にした。


「誰か!誰かいるか!?」


その時、突然扉が開いた。

タツローさんの顔が即座に引き締まる。

真剣な顔も素敵だ。


入ってきたのは、確か村の警備隊のおじさんだった。


「あら、他のメイジはまだ来てないわよ」


「リンだけか……!とにかく門に来てくれ!」


「何事なの?今から出掛けるところなのよ」


「それどころじゃない!敵襲なんだ!」


敵?こんな田舎町に敵らしい敵なんて居るはず……。


「ゴブリンの大群だ!」


タツローさんとリンが同時にこっちを見た。

視線は私のポケットに向けられている。


「あー、これか……」


私はポケットの中の『元凶』を取り出した。

宝石は赤色に怪しく輝いていた。

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