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白いカラス  作者: かるちぇ
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珊瑚のイヤリング

アパートの隣人である彼は、私にとって初めての友達だ。


そんな彼が私をデートに誘ってくれたのが先週のこと。今日までずっとそわそわしていた。



アルビノの私は義務教育は普通の学校に通っていたけど、他の子たちと同じようにカーテンを開いた教室で長時間の授業を受けることはできなかったので、結局は特別支援学級でいつも一人で授業を受けていた。


勉強は好きだったから高校は通信制を選び、卒業後は主治医の紹介で夜中の病院でパートの医療事務をしている。


健常者の両親や弟には今までたくさん迷惑をかけてきて、たくさん我慢させてきたから、もうこれ以上負担をかけたくなくて一人暮らしを始めた。


障害者年金とパートの収入があれば、とりあえず暮らしていける。


誰にも迷惑をかけずに、ひっそりと一人で生きていこうとそう思っていた。



……でも、本当は寂しかった。一人になって家族のありがたみをつくづく思い知った。


そんな私に親切に手を差し伸べてくれたのが、隣の部屋の住人である彼だった。彼は私がアルビノと知り、私のことを気遣って色々と親切にしてくれた。


そんな優しい彼に私はどんどん惹かれていった。


私は異性を好きになったという経験はないが、この感情がただの友情じゃないことぐらい分かる。


私は、彼のことを好きになりかけてる。


彼と話したり一緒にコンビニに行ったりする時に感じる鼓動の高鳴り、彼におやすみと言って別れて自分の部屋で一人になった時の胸がきゅっと締め付けられるような感覚。


きっとこれが恋というものなんだ。


でも、彼が好きだと気づいても、彼の負担になりたくない、この大切な友達を失いたくないというもどかしさに苛まれていて、彼からデートに誘われたのはそんな時だった。




今日は私にとって初めてのデート。


水族館のナイター営業に合わせて遅めの午後に出掛ける予定だったのに、不慣れなお化粧に手間取っているうちに約束の時間になってしまった。


お母さんから貰った小さな珊瑚のイヤリングを耳に付けたところで玄関のチャイムが鳴る。


「はーい。今出ますー」


今日の私を彼はどう思うかな? 変じゃないかな?


最後にもう一度、姿見で全身をチェックしてから、私はドキドキしながら玄関のドアを開けた。





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