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チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝  作者: 那田野狐
港町清皇での復興活動の章
66/81

出撃コンダラゴーレム


「これはひどい・・・な」

眼前に広がる光景に、菜緒虎は眉をひそめる。

沛郡内で建業郡に一番近い港町である清皇は、先日の地震で建物が倒壊するなどして、大きな被害が出ていた。


実際、いま菜緒虎の眼前に広がるのは、支柱のいくつかが倒れたのか、すべての桟橋が機能を失った港。

そして全壊、半壊した建物の数々。


「港の桟橋がほとんど破壊されていて、接舷ができないというのは想定外ですな」

見事な白髪を後頭部のところで縛った人族の男、公蓋(こうがい)が菜緒虎の隣りに立つ張僚(ちょうりょう)を眺めながらつぶやく。


「小舟で接舷すれば問題はないでしょう」

「ふむ。問題はありませんが・・・」

張僚の言葉に菜緒虎は少し考え、皇帝イカエンペラースクウィッドに海底調査を命じる


『入江ノ左端ガ水深浅ク、掘削シテ岸壁ニ変エラレマス』

皇帝イカエンペラースクウィッドが海面まで上がってきて進言する。


「コンダラゴーレム、召喚」

菜緒虎が真夜中の指輪リングオブミッドナイトに念を送ると、魔法陣が展開する。

現れたのはやたらと整った岩で形成された三メ-トル近い岩人形(ゴーレム)


生きた鉄像(リビングスタチュー)、召喚」

続いて6体の生きた鉄像(リビングスタチュー)が現れる。


「お前たち、皇帝イカエンペラースクウィッドの指示する場所に石壁を築け。行け」

菜緒虎が命令すると、コンダラゴーレムと生きた鉄像(リビングスタチュー)は次々と海中へと飛び込む。


「何を?」

「港の桟橋が使えないのなら、作るまでですよ」

菜緒虎の言葉に張僚は目を丸くする。


「できる、のですか?」

「そのための特異な魔物(コンダラゴーレム)です。任せましょう」

そう言って菜緒虎は、船倉へと引き上げる。

五分ほどコンダラゴーレムの飛び込んだところを眺めていた張僚も、船倉に引き上げていった。


ズシシ。ズシシ。

海中を歩くコンダラゴーレムを、先行していた皇帝イカエンペラースクウィッドが目標地点に招く。


『岩石創成レベル1』

コンダラゴーレムが付与されたスキルを発動させる。


コンダラゴーレムの足元が僅かにへこみ、手が少し大きくなる。

すり足で岸のほうに向かって歩くごとに、海底に平らな道が生まれ、コンダラゴーレム自体も大きく育ってゆく。


そうして、身体が海面までの6メートルまで成長すると、コンダラゴーレムは大きくなった身体を分離。

1メートル四方の石の立方体を産み出していく。


岸までの海底の道が出来ると後は早かった。


コンダラゴーレムは、岩石創成(スキル)で石の立方体作りながら海底の道の横をキャラベル船が停泊できる深さまで掘削。

掘削で出来た石の立方体は、皇帝烏賊エンペラースクウィッドとオクトパス、生きた鉄像(リビングスタチュー)たちが海底の道の上へと積み上げていく。


翌朝、港の端に出来上がった高さ2メートル、幅2メートル、長さ20メートルの綺麗に切り出された石の岸壁が生まれていた。


「菜緒虎殿。この街の復興。よろしくお願いします」

石の岸壁を見た張僚は、菜緒虎に向かって華麗に土下座する。


「張僚殿。顔をお上げください。そのために私たちは来たのです」

張僚の手を取り顔を上げさせ、菜緒虎はにっこりと微笑んだ。

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