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チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝  作者: 那田野狐
ニーダ半島沖での小競り合いの章
62/81

ニーダ半島沖で所属不明艦を鎮圧する


「バリスタ・・・放て」

合図と共に艦首にある左右4基のバリスタから矢が放たれる。

実に豪快な風切り音が響き渡る。

ギリギリとバリスタ横のハンドルがスケルトンによって回され、バリスタの弦が巻き上がる。


「着弾。1番右8度。4番左2度。修正のち調整」

「あいあい」

着弾観測兵の報告を受け、菜緒虎が叫ぶ。

方向修正はスケルトンを支配下におさめている菜緒虎の仕事だ。


菜緒虎からの思念を受けスケルトンがバリスタの台座を動かすハンドルを回し始める。


「放て」

合図と共に艦首にある左右4基のバリスタから再び矢が放たれる。

矢は、蒲鉾船に命中し、船体が削られる。


「着弾。修正の要なし」

再び着弾観測兵の報告。菜緒虎は再攻撃を命じる。


「甲板上の弓士はともかく船が相手では、あまり効果がないようですな」

命中はしたが、船腹を削る程度の成果しか出ていないのを見て、公蓋(こうがい)が飄々と笑う。


「バリスタは対海洋生物用だからな。精度が測れただけでも御の字か」

「ですな」

「船速を上げろ。一度距離をとる。とぉぉりかぁじ」

「あいあい」

菜緒虎の命令に公蓋(こうがい)が返事をする。

キャラベル船と板屋船の距離がひらく。


「コンダラゴーレム、召喚」

菜緒虎が真夜中の指輪リングオブミッドナイトに念を送ると魔法陣が展開する。

現れたのはやたらと整った岩で形成された三メ-トル近い岩人形(ゴーレム)

かなりの重量に見えるが船の喫水線が下がった形跡はない。

よく見ると少し甲板から浮いているのが判る。


これは最近ジャイアントへと進化を遂げた悪韋が能力を付与したオリジナルゴーレム。

穴掘りなどで出た瓦礫を体内に取り込んで大きくなり、必要に応じて切り出した石にして吐き出す土建特化型。

今回のような地震復興の支援に最適なモンスターともいえる。


「30×20」

「ま」

菜緒虎のリクエストに応じるかのように、コンダラゴーレムの身体が凹み30センチ×20センチの石が次々と吐き出される。


「ロック鳥」

菜緒虎の呼びかけに応じ、空を舞っていた3羽のロック鳥が甲板に舞い降りる。

そしてむんずと、コンダラゴーレムから吐き出された石を掴むと再び空に舞い上がる。


『攻撃ヲ開始シマス』

ロック鳥たちは一旦200メートルほど上空まで上がると、そこから板屋船目掛けてダイブを開始する。

迎撃のため矢が打ち上げられるが、真上から降下してくるモノに対してはあまり有効とはいえない。

板屋船まで10メートルのところで石が放たれる。


どぼん、どごん、どごん


2発命中1発外れ。

被害は、板屋船の後部甲板に大きな穴がふたつ。


皇帝イカエンペラースクウィッド隊が板屋船を止める。いまより板屋船に接舷し制圧戦に移る」

菜緒虎から新たなる命令が下る。


「あいあい」

公蓋(こうがい)の返事とともに、キャラベル船の船速が再び上がる。

「全員衝突時の衝撃に備えろ」


がすん


板屋船の船腹にキャラベル船の船首の衝角が突き刺さる。

コンダラゴーレムが板屋船に手を伸ばして掴むと、背中を階段状に変化させる。


「突撃」

環寧が青龍刀を掲げて、コンダラゴーレムの背中を駆けあがる。

そして環寧に追随するように2分隊・・・8体のスケルトンと12体の骨ゴーレム、2体のウッドゴーレムも板屋船に乗り込んでいく。

武器は両手に3本の鉤爪のついた手甲。

板屋船の甲板上はたちまちのうちに阿鼻叫喚の地獄絵図となる。


1時間後。板屋船は鎮圧された。

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