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チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝  作者: 那田野狐
ニーダ半島沖での小競り合いの章
60/81

ニーダ半島沖で所属不明艦と遭遇する


※この物語は地図以外はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。ありませんってば。


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3本のマストを持つキャラベル船と呼ばれる帆船が海上を颯爽と走っている。

今回菜緒虎たちが、港湾都市ジャンまで乗船してきた船だ。


全長25メートル船幅7メートル。外見は日本史の教科書で紹介される南蛮船。

世界史的にいうと、コロンブスのアメリカ大陸発見のときの航海に随伴したピンタ号とニーニャ号がこのキャラベル船である。


クレとジャンの間で交易のために組んでいるガレー船よりは一回り小さいが、菜緒虎が初めて購入した小型帆船(カッター)の4倍の大きさ。

動力のメインは風魔法で、悪韋の知識によるオーパーツのひとつでもある。


ちなみに、この船の先端には衝角が装着され、船腹にはオクトパスが牽引するための取っ手がついている。

そして、現在キャラベル船のまわりにはオクトパスの進化系である皇帝イカエンペラースクウィッド1体とオクトパス2体が警護についていた。


「来ますかね」

「来るなら来てくれ・・・かな」

環寧の問いに菜緒虎は素っ気なく答える。


今回、キャラベル船の実戦データ収集も大事な任務のひとつだ。

いま菜緒虎たちは、港湾都市ジャンから北東に海を横断し、ニーダ半島の西の沖合を北上している。


このニーダ半島には、ニーダ族と呼ばれる沿岸は海の、内陸は淡水の、九割がた魚類(手足の生えた魚)の容姿をした亜人が住んでいる。

古くからチュウカナ大陸で興った大国に従属することで権勢を振るっていた。


かなり好戦的な種族で、チュウカナ大陸や弓状列島の沿岸で暴れまわっているのだが、よほどのことが無い限り滅ぼされることはない。

これは、古くからチュウカナ大陸で興った国と弓状列島で興った国の間の緩衝国として存在しているためだ。


そしてこの地を支配しているのがニーダ帝国。

ニーダ帝国と呼ばれるが、厳密にいうとニーダ帝の国。歴代のニーダ帝という紛らわしい名前をもつ独裁者が統治している全体主義っぽい国である。


『右舷前方400。船3隻接近中』


帆先で、警戒していたロック鳥から報告が入る。


菜緒虎が報告のあった方向を見ると、大きなボートの上に箱、箱の上に家を置いたいわゆる板屋船と呼ばれる巨船が1隻。

曳航されるように船頭にワニガメのような頭をつけた蒲鉾のような船が2隻、こちらに向かって南下しているのが見える。

蒲鉾のような船は、事前の情報からするとニーダ帝国が誇るという海亀甲舟というやつだろう。

いずれの船も船腹から漕ぐための櫂が飛び出してリズムよく動いている所をみると、ガレー船程度の能力はあることが判る。


「バリスタ準備」

菜緒虎の命令の下、キャラベル船の前方に不自然に配置されている木箱がスケルトンによって分解される。

現れたのは据え置き式の大型弩砲。


ギリギリと装填される矢が、どう見てもランスっぽいというのが色々とおかしいが・・・


「環寧。海戦の作法とかあるの?」

「所属を明らかにしてない船同士なら海賊同士、問答無用です」

環寧の言葉に菜緒虎はふむと考える。

こちらはマストに骸骨の龍を意匠化したソウキ国の紋章旗を掲げている。海賊旗に見えなくもないが・・・

一方、相手の船団は何も掲げてはいない。

いずれにせよ、向こうは海賊行為をする気満々ということだ。


「では初手は相手にやらせるか」

「よろしいので?」

「構わない。こいつの耐久に関する情報の収集も大事な任務のひとつだ」

菜緒虎の言葉に環寧は黙って頭を下げた。

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