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チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝  作者: 那田野狐
菜緒虎、(強制的に)侍になるの章
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悪夢の骸骨(スケルトンオブナイトメア)考えなしに爆誕

魔の荒野。

遥か昔、国と国が争った際に大陸南部で栄えていた都市群が魔法の暴走で消滅。

瘴気が濃く滞留し、強力な魔物を産み出すようになった荒れ地。

強力な魔物がいて長期的な滞在は瘴気に身体が蝕まれる不毛の地。


天城『牛銅たち速報:順調に北上中』


野営の撤収…といっても岩場の窪みから這い出し寝袋を畳むだけだが…をしていた所に天城からの定時連絡が入る。

リアカーは空のまま荷物持ち(ポーター)犬人(ワードック)が交代で引いているという小ネタもあった。


牛銅たちは、日の出前2時間にキャンプを設営し昼は休息。

日の入り2時間後に野営を撤収し、星座の位置を測量して夜通し迷わず北を目指しているようだ。

これは、アルテミスが菜緒虎に教えてくれた方法と合致するので報告すると、より一層の警戒をするようにという指示か返ってくる。


さて、菜緒虎が魔の荒野に踏み込んで3日。菜緒虎は追跡してきているものに気が付いていた。

南に1東に1。

つかず離れず…仮眠をしている時はどちらも動かず。

こちらが衰弱するのを待っているのか、南のヤツは魔の荒野に踏み込む前に付けてきた奴だろうと推測する。

さて、どちらを先に始末するべきか。


少し考えて、東の奴は魔の荒野に生息している魔物だと推測し東の奴から倒すことにする。


まず背負い袋に差していた長弓を袋から出して弦をかけ背負い袋の下に引っ掛ける。

矢筒は腰のベルトに装着だ。


風よわが身に集え(エアコン)


菜緒虎が呪文を唱えると風が菜緒虎の前から後ろへ駆け抜けていることを実感する。

これは、レベル1の風魔法のひとつで一方向に風を送る魔法『風よ(エア)』を悪韋のアイデアを元にアルテミスが改良を施している最中の魔法だ。

最終的には空気の膜を全身に纏って温度を調節したり、匂いの遮断や軽い物理的な攻撃を防ぐ手段へと昇華させる予定だ。


菜緒虎は東に向かって走り出す。

本来あるべき風の抵抗は風よわが身に集え(エアコン)で身体に当たる少し前で後ろに流されていく。

数百メートルほど走って奈緒虎は東の追跡者の正体を知る。


大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーか」


追跡者が体長5メートル近い巨大な蛇であると知って菜緒虎は胸を撫でおろす。

大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーは、体温で獲物を察知し、毒を分泌する牙で噛み付いて倒すタイプの蛇だ。つまり…

風よわが身に集え(エアコン)の呪文効果を解除し真夜中の指輪リングオブミッドナイトに念じてスケルトンソルジャーを2体召喚。


大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーは獲物の急激な温度変化を探知しピクリと反応する。

じゃらじゃらじゃらじゃら

砂をぶつけたような威嚇音が尻尾の先から鳴る。

菜緒虎は慌てることなく背負い袋を降ろしながら吊ってあった長弓を取り構え、バックステップで距離をとる。

大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーがジグザグに移動しながら迷わず菜緒虎との距離を詰める。

赤外線を温度を見るピット器官をもつ蛇ならではの能力だが、今回はそれが裏目に出る。


ざしゅ


召喚されていたスケルトンソルジャーがソードを垂直に構えて背後からラージ・サイドワインダーの腹に至近距離からの刺突を敢行する。

あまりの激痛に大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーは振り返りスケルトンソルジャー目掛けて毒液を吐き出す。

もっとも目測が当てになる訳でもアンデットに毒が効くことはないのだが。


菜緒虎は矢筒から矢を取り出すと、大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーの顔目掛けて立て続けに2射、矢を放つ。

1本は乾いた音を鳴らして弾かれるが1本は目に深く刺さる。

ラージ・サイドワインダーは菜緒虎に襲い掛かろうと鎌首をもたげるが、再び2体のスケルトンソルジャーからのバックアタックを喰らう。


シャー


もう大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーには、威嚇音を発し闇雲に毒を撒き散らしながらのたうつしか手は残っていなかった。


どしゅ


スケルトンソルジャーの振り下ろしたソードがついにラージ・サイドワインダの頭を貫いた。


ぼうっ


止めをさしたスケルトンソルジャーの身体が淡く光る。

菜緒虎がウィンドウオープンを唱えるとパーティメンバーのなかのスケルトンソルジャーの文字が点滅しているのが解る。


「これが真夜中の指輪リングオブミッドナイトを使った進化の儀式か」

取りあえずスケルトンソルジャー選択すると『合成させますか』とういう質問が聞こえてくるので、何も考えず『はい』と答える。


ぶおん


スケルトンソルジャーの足元に魔法陣が現れる。と、倒したラージ・サイドワインダの足元にも魔法陣が…

「え?合成?」

菜緒虎は響いてくる声に目を点にする。合成ってナニ?聞いてないよ!である。


『スケルトンソルジャーと大ガラガラヘビラージ・サイドワインダーを合成します。成功しました。スケルトンソルジャーと大ガラガラヘビラージ・サイドワインダー悪夢の蓋骨スケルトンオブナイトメアに進化しました』

スケルトンソルジャーが闇に包まれ、次の瞬間、上半身が人間の下半身が蛇の骸骨のモンスターが出現する。

判りやすく言えばスケルトンゴーゴンもしくはスケルトンメデューサ。

スケルトンソルジャーが、地面におちていたスケルトンオブナイトメアになったスケルトンソルジャーのソードと盾そして皮の鎧を拾い上げる。


「ああ、すまない」

菜緒虎はスケルトンソルジャーから皮の鎧を受け取ると分解し悪夢の蓋骨スケルトンオブナイトメアに装着する。

普通なら悪夢の蓋骨スケルトンオブナイトメアが自ら装着するかスケルトンソルジャーに装着させるのだが、彼らに任せたのでは時間が掛かる。

かといって装備させないまま真夜中の指輪リングオブミッドナイトに収納するという訳にもいかないのだ。

皮の鎧を装着した悪夢の蓋骨スケルトンオブナイトメアはかさかさと蛇部分の肋骨を蠢かせると同時に動き出し、手に持ったソードを振り盾をかざす。


「帰還」

菜緒虎が真夜中の指輪リングオブミッドナイトに念じるとスケルトンソルジャーと悪夢の蓋骨スケルトンオブナイトメアが姿を消した。


「ステータス画面オープン」

菜緒虎は少し考え、ステータス画面を開くと、経緯を簡単にまとめアルテミスにメッセージを送るのであった。


ありがとうございました。

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