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チュウカナ大陸史書 偽典 菜緒虎伝  作者: 那田野狐
菜緒虎、(強制的に)侍になるの章
22/81

魏府国の冒険者の追跡を開始する

「追いますか?」

米六俵。大豆二俵を乗せたリアカーを押してソウキ領を出立する牛銅たちの背中を眺めながら、菜緒虎はアルテミスに問いかける。

ちなみにリアカーは、悪韋の特異能力である鉱物生成と知識提供により、ボールベアリングの生産が可能になったのでおまけとしてプレゼントしたものだ。


「魔の荒野をリアカー引いて行きますとか、どう考えても不自然ですよ」

理由を付けるのも忘れない。


「いいでしょう。天城とミスト。スケルトンソルジャーを連れて彼らの追跡を」

「人材として欲しいのは、狼人のイヌガミでしょうか」

アルテミスの目が光った…多分だが。


「見立ては悪くない。追加は好きにしていい」

アルテミスの許可に、菜緒虎は小さく頭を下げた。


この世界には、物理的に国を大きく分断するものがある。


寒さで生物の侵入を阻む北の氷河。

標高の高さで西方を遮断するアタラカ山脈。

航海術がもたらされた数百年前までは踏破するのに命を賭けた東のワ国海。

そして生息する生物と気候と瘴気で北の文明国の南進を阻む大陸の南に広がる魔の荒野。


ソウキ領は、魔の荒野を挟み、大陸の最南端に存在する辺境の地である。

いまはソウキ領とアタラカ山脈の中腹にある鉱山都市ソロモンとの間にアタラカ山脈の麓にある森の外苑に沿う形で少しずつ輸送路が整備されていた。


「召喚」

菜緒虎は、リュウイチから下賜された真夜中の指輪リングオブミッドナイトに召喚と念を送る。

真夜中の指輪リングオブミッドナイトは、アルテミスが悪韋のアドバイスを受けて作り出した、生物10体を異次元空間へと送迎できる空間魔法を付与された魔道具である。(悪韋は当初魔法のランプ(アラジンのランプ)と呼んでいた。)


ボウっと指輪が輝きナオの周りに二体のミスト。二体のスケルトンソルジャーが現れる。

ちなみにゴーストの天城は菜緒虎の一歩後ろに立っていた。伝令ではなく菜緒虎の副官としての立ち位置だ。


「ふむ…ステ-タスオープン」

声と共に菜緒虎の目の前に四角い板が現れる。

これは、悪韋がいた世界のRPGという遊戯にある、ステータス画面というものを空間魔法で再現したものだ。

同時に菜緒虎の視界の右端に菜緒虎、天城、ミスト、ミスト、スケルトンソルジャー、スケルトンソルジャーの名前とHP・MPが表示される。

真夜中の指輪リングオブミッドナイトの管理下にある部下の情報がリアルタイムに判る。


まず、菜緒虎と書かれたところをタッチする。

自分の情報が文字と数値で目の前で表示される。


名前 菜緒虎 

種族 ウッドエルフ

総合レベル 11

職  戦士

HP 70/70

MP 40/40


スキル

剣術Lv.10

短剣術Lv.4

弓術Lv.5

隠匿Lv.3(気配を絶つ)

調合Lv.2(ポーション生成)

魔法Lv.3

大陸共通語


職2

村人Lv.10

戦士Lv.10 魔法使いLv.3 弓士Lv.5


種 エルフLv.10 ウッドエルフLv.1


装備 皮鎧、籠手、サンダル、剣、長弓、短剣


称号

ソウキ辺境騎士伯領軍三百人長


アルテミスの解説によると

総合レベルは種としての合計。職は取得した職2のうち一番レベルの高いもの。


肉体的なダメージを受けHPが0になると死亡。魔法を使ったり精神的なダメージを受けMPが0になると気絶。

スキルは修得した技術が熟練度とともに表示される。


魔法を押すと修得した魔法が表示される。水魔法Lv.1と雷魔法Lv.1は水属性と雷属性の礫を飛ばす。風魔法Lv.3は風属性の礫が3個か風属性の矢が2本か風属性の刃が一つ飛んでいく。

光属性Lv.1は礫ではなく明かりだ。レベルが上がったときに攻撃性を持つかは不明。


装備を押すと人型が表示され菜緒虎が装備している武器、防具が青色で表示される。この青色は黄色、赤色と変化し破壊されると黒…装備していないとなる。


次に天城、ミスト、スケルトンソルジャーと情報を確認していく。

ミストとスケルトンソルジャーの種としてのレベルが結構高い。

これは、真夜中の指輪リングオブミッドナイトに部下を進化させることが出来る機能を付けたので、本当に進化させることができるのかの実験をするという目的があるらしい。


とりあえずスケルトンソルジャーを真夜中の指輪リングオブミッドナイトに戻し、天城とミストは牛銅たちを至近距離で追跡させるため先行させる。


やがて…


ピローン


ステータス画面の右端にある天城の文字の下に『牛銅たちを捕捉した追跡を開始する』という文字が流れる。

天城の思念が文字となって表示されているのだ。

思念による会話が複数人になるからと組み込まれた機能で、念じるだけで会話ができる。


「『了解。こちらも適当に距離を保って追跡する以上』と、さて…」

菜緒虎は天城たちがいる方向とは別の方向へと歩き始めた。


ありがとうございます。

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