020 農作業講習1
午後は特大スープ用寸胴作ってやったけど、水を入れたらうんともすんとも動かないので、下の方に排水口とコックをつけて、昼前に使って外した1cmサイズの結晶を中心とそれを囲む六角形に配置して、制御系を60度から120度で5度刻みで設定して、ついでに寸胴の蓋を圧力釜と同じ様に密閉型にして、買ってきた温度計を差す穴を残して、ナナの狩ってきた鶏ガラと色々野菜を入れて水で満たして、沸騰させない様にキープさせる。温度計は買ってきたやつだけど、圧力計も欲しいな。とはいえ、よくわからないから、圧力を抜く所に音がなる笛の構造を真似てコックをつけて、今の所は開放しておく。
ヒーターは80度設定で偶に小さくピーと鳴る程度で上の温度計は98度。まあシリコンカーバイトで透明な寸胴だから中身が対流しているのが良くわかる。
炊飯器作る時に温度センサーの場所とかも考えないとダメなんだろうな。
その後、二重反転竹とんぼドローンで滝の上を覗いてみるが、曲がりくねった川が森林に消えて、大体真北に巨大な山があった。人が住んでるというか火を使わなければ煙も出ないか。住居や畑が拓けている感じは見当たらないけど、狩猟採集でずっと動いているなら、わからんか。
東西をみても山で囲まれていて唯一開いているのが南だから、南に行くしかないなと結論。肉が足りなくなったら狩猟チームを北の森に派遣するのもありかも知れないけど。
ウサギさん達がレンガの棚が二つ目埋まりましたので、今日は帰りますと挨拶して、牛の人も道具を置いて帰っていった。鶏ガラスープがまだ出来てないから、上げる事も出来なかったか。
しばらくしてナナが帰ってきて、飯にして、一緒に風呂に入って、明日帰ってからの農作業に備える。それにしても鶏モツ食って走り回っているからか、ナナの身体がやたらとゴツくなってきた気がする。
俺も里の人達と飯を食うと釣られて食い過ぎるけど、何だか筋肉質になってきてる。これが若々しかった爺さんの秘密なんだろうか。ま、まだメガネがないと見えないのは同じだから、それ程変わっている訳ではあるまい。
翌朝、遠くから道路を突き固めている音が響く。飯と汁ぐらいは作っておいてやるか。あ、特大寸胴の水量が少し減ってるから、水を足しておく。
自分の飯と並行して、牛の兄弟分の朝飯にするか昼飯にするか知らんけど、作っておく。ただ帰ってしまうので、縁側に置いておくだけだが。
自分とナナの飯が終わってから、マウンテンバイクで元竹林跡の道を駆け降りる。殆ど石畳と変わらないし振動無い。スゴいわ。
二人に昼飯が縁側に用意してあるから、よかったら食べてね。ちょっと冷めてるけど。と伝えて、今度はマウンテンバイクで駆け上る。こちらにいる時のアシストは原付バイクやカブと比較にならない馬力だ。
さて、爺さんの事をよく知る方から農作業講習受けに帰りますか。
蔵に転移して4:40ぐらい。自転車のプロテクタから、農作業をやるようなジャージにジャンパーを羽織り鶏小屋とかを回って餌を確認したりメールチェックしてたら、5:20。あーゆー爺様の6:00は夜明けと同義の可能性があるので、早めに爺さんの田んぼ前に到着して、5:30。直後にあの爺様がトラクタの音を立ててやってきた。
「ふん、間に合ったか。里見の爺の曾孫だけあるな」
愛想笑いだけ浮かべて「まだ時間前だ、ボケ老人。というかいい加減名乗れ。誰だよお前は」と心の中で思っておく。
「爺さんの田んぼだから、既に肥料は秋口に鋤き込んであると思うが、今から確認する。坊主はこれでも読んどけ」
トラクタでドンドン田んぼを耕して何かやってるけど、よくわからん。が、手元の資料には一年間のタイムスケジュールとそれぞれの作業の注意点が書いてある。というか、稲だけじゃなくて、爺さんの畑にある野菜全部まとまっているのかな、これ。一日でこれを作らされたJAの方が可哀そうになってきた。あ、行者ニンニクとかある。種を購入したリストが残っているから、それからピックアップしているのか。日記と照らし合わせながら、確認しよう。どちらにせよF1品種とか向こうの世界に持っていく気はないから、買う種持ち込む種も考えないと……。と考えていると
「田んぼは何時代掻きしても大丈夫だが、苗がちょっと遅い。昨日塩水分別した奴があるから、ウチのハウスで苗は準備してやる。ついてこい」
何このツンデレ爺様。ま、うちの爺さんはハウスはあってもボイラーや薪で加温する様な事はなかったからありがたい。でも、トラクタで走るのを追い掛けるの辛いんですが。
「ほれ、入れ」
と、むわっとする熱気の所に薄くて黒い……あ、苗床だ。
「苗床ですよね、これ」
「時間がなくて吸わせた水分量は少ないけど、無事温水で発芽仕掛けているから何とかなるだろ。ほれ、植えてけ」
と手作業でやり始める。
腰が痛い……と背伸びしたら、爺様が何か機械で作業してた。
「何してるんですか?」
「播種機っていってな、こう苗床に均等に種を播く機械があるんじゃ。便利な時代じゃのう。あ、でも、お主のやってるその一枚は田んぼの端の機械で植えれない場所の苗だから手で最後までやるんだぞ」
殺すぞとか思うが、播種機という機械の動きが気になって思わず仕組みがどうなっているのか観察してしまう。
「まあ、気負わずゆっくりやんな。全部の品種を同じ量作るとかやんなくていいからよ。野菜は自分で食う分と割り切ってやりな」
それよりも苗床残り半面キツかった……。
「あとは荒起こしや水入れ、代掻きと田植えだ。今は全部機械だけど、坊主、小型特殊免許持ってないだろ。それだと公道を走らせるわけにはいかないんだわ。一応支部部長だからよ、そこは目を瞑る訳にはいかないから、免許取ってこいよ。一日でとれるからGW明けにはとっとくんだぞ」
「はぁ……」
「あと、爺さんの後継いで作物売るつもりなら、JAの手続きも早めにな」
押しが強過ぎてちょっと苦手や、この人。まあ、こんな資料を一日で用意してくれるんだから、悪い人じゃなさそうなんだけど、窓口変えて欲しい。
一枚苗床に籾をうえて
「ありがとうございました」と速攻頭を下げて退出した。
帰宅したら10:00ぐらいだけど、やたら疲れた。メールチェックだけして、寝るのは向こうで。
深夜だったけど、寝る分には関係ないので、爆睡して目覚めて戻る。
10:30ぐらいだから6時間寝てたのか。ちょっと長過ぎる昼寝だな。
結局のところ、JAの偉いさんという事しかわからんかったけど、窓口で問い合わせずにメールでやりとりしよう。あーゆーパワフルな爺様はうちの爺さんだけで十分だ。
さて、毎回同じ所だと変に思われるかも知れないので、少し遠いホームセンターに行こう。途中で久々のラーメン食ってから、温度計や圧力計、あと測量計と色んなサイズのメジャーを複数個。全部アナログで揃えないとダメな所がもどかしい。というか、測量計って高いんだな。よく街中でやってるのをみるが、こんなの揃えて開発とかアホや。ナノマシン結晶で何とかしよう。あ、双眼鏡とか望遠鏡も一応買っとこう。イースト菌もあるし、手作り味噌作成キットも買うか。
結構な出費になってるけど、不労所得が山ほどあって金銭感覚が崩壊してる気がする。ま、無駄金ではないと思いたい。
帰宅途中にタイヤ屋を見付けたので、向こうで作りたかったEVっぽい小さい四輪の為に小さなタイヤを四つ買って軽トラの荷台に積む。
帰宅したら16:00か。自動車のハンドル仕組みやサスペンションを調べてプリントアウト。あと炊飯器の仕組みとか探していたけど、土鍋の再現てばかりだから、土鍋炊飯の温度調べて何とかしよう。それにしてもこのプリントアウトをどうにか出来ないかと思うのだが……。
あ、自分と同じ経験を蓄積する結晶とかインターネット回線に繋がって世界中の山ほどのデータを蓄積する結晶とか作れないかな、先生。
《個人の経験と知識を蓄積する事はすぐにでも可能。インターネット回線でデータを収集するには、その仕組みを理解していないので、回答不能》
んー、IPアドレスとMACアドレスを偽装して、このノートPCと同じ設定にして、サーバーに繋がれば延々とデータを蓄積しまくる事か出来るのか?いや、TCP/IPとかHTTPとか色々と言葉でしかわかってないから、イメージを焼き込む事が出来ないのか。こりゃ残念。
ん?逆に向こうで困っているメモ書きや写真が記憶とリンクする結晶で不要になるゲームは出来ないけど、スマホ要らずか。以前、先生がやったように目の前に表示させる機能をつければ、今、一番気を使っている日本の時間とあちらの時間を同時表示とかも夢じゃない。
向こうに戻ったら真っ先に作ろう。あ、爺さんの日記と今日もらった農作業の資料も持っていかないと。
さて、18:00か。色々と蔵に運び込み転移を繰り返した。