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君のためにできること 前編

お待たせしました! 今回のメインはずばり、竜駕です!

学生時、この時期になるとやって来るものといえば? 誰でも憂鬱になる、あれですね。

竜駕を主軸にしつつも、内容は面白いものになっていくつもりなのでよろしくお願いします!


「や……やってしまった……」


低い点数の数々に、私は思わず机に突っ伏す。

何度見てもその点数は変わることなく、現実という形で私に襲い掛かる。

私―湊彩月は現在崖っぷちに立たされている。

相座高校に転入してきてはや二か月。

希君の騒動もあったからか、私はすっかり忘れていた。

それが、期末テストだ。


ただでさえ授業についていけていない私が、テストでいい点が取れるわけがない。

誰にも頼るあてがなく、結果この微妙な点数の数々だ。

こんなことなら、先生にでも聞いとくんだったなぁ……


「彩月ちゃん、どうしたの? なんか浮かない顔してるけど」


とそこに、聞きなれた声がする。

あまりに突然だったためか、びっくりして声が裏返る。

私のすぐ隣には、夜刀さんがいた。

いつもと同じような、やさしい笑みを私に向ける。


「ごめんね、驚かせちゃったかな?」


「い、いえっ、そんなことは!」


「テスト、どうだった? 前のとこと比べて、少しレベルが高かったんじゃない?」


それはもう、少しどころではないので……

日ごろの行いが悪いとは、まさにこのこと。

もうちょっと勉強してればよかったなぁ。


「今日って、生徒総会の反省会をするんでしたよね?」


「うん。テスト週間に当たっちゃって、長く出来なかったからね。彩月ちゃんも来る?」


「はい」


悪い点数のテスト用紙をファイルに入れ、足早に教室を出る。

生徒会室に行く間、なるべく私は夜刀さんと距離を取った。

彼の人気は相変わらずと言っていいほどすごく、色々な女子達がさっそうとばかり現れる。

私がうかつに仲良くしていれば、きっと希君と同じことが起きる。

女子同士って、難しいなあ。


とかなんとか考えているうちに、生徒会室へとたどり着く。

夜刀さんが女子に手を振り、中のドアを開けたそのときー


「たるみすぎです!」


凛とした声が、生徒会室に響き渡る。

ドアを開けたすぐ向こうに、手を腰に当てて仁王立ちしている剣城ちゃんがいた。

彼女が叱っている先には、カルテットスターの残りの三人の姿がある。


「お疲れ様~、どうしたの、みんな」


「それがさ! 聞いてよ! つるちゃんってばひっどいんだよ!」


一番最初に口を開いたのは、やはり四宮さんだった。


「期末テストの点数どうだったか聞かれたから教えたんだけどさ、ぜ~んぶありえないとか言って怒りだしてたんだよ!? ひどくない!?」


「えーっと、それは……その点数にも問題はあると思うんだけど……」


「だからって説教することはねぇだろ。保護者じゃあるまいし」


「……足がしびれました……」


どうやら剣城ちゃんの説教は、私達が来る前からあったらしい。

みんなひどく疲れている様子で、勘弁してほしいというような表情を浮かべている。


「怒られて当然です! 期末テストは一学期分の締めくくりでもある大事なテストなんですよ!? それを生徒会でありながらこの点数の悪さは何事ですか!?」


「しょうがないじゃん! だって分かんないんだもん!」


「テストなんて適当でいいんだよ」


「すみません、暗記教科はできたんですけど……」


三人がそれぞれ言い訳のような口を開く。

夜刀さんはどれどれと言いながら四宮さんの答案から見てみる。

つられて私ものぞきこんでみると、そこにはまさかのピンの嵐だった。

どこをどう見ても間違いだらけで、点数を書く欄には0と大きく書かれている。


「牙狼……なにこれ」


「ん? 答案用紙」


「あんなに注意したのにまた0点取ったの? しかも全教科だし……」


「ロンまでひっどい! オレ頑張ったんだよ!? ほら、ここ見てよ! 女の子の気持ちになって考えましょうって問題だったんだけど、これで合っててもおかしくないよね!?」


四宮さんが指さすところに、彼の字で書かれた答えがある。

どんな問題だったのかはよくはわからないが、そこにはこう書いてあった。


『主人公は今、絶望の淵に立っているのでオレが慰めにいってあげたい♪』


さらには……


『かっこいい、かっこいいオレに告白しようと思ってる☆』


「お前、馬鹿だろ」


「馬鹿ですね」


「手の施しようもありませんね」


「三人とも、それはなくない!? オレこれでもまじめに考えたほうなんだけど!?」


「だからって答案用紙にかけるってある意味すごいよ。さすが牙狼だね」


呆れているのか感心しているのか、分からないような口で話す夜刀さん。

四宮さんの答案を見ながら、それで? と雪風君達のほうを向いた。


「ユキたちはどうなの? テスト、よかった?」


「できるわけねーだろ。こんな問題、解く気にもならねぇ」


「ノンちゃんは?」


「頑張ったんですけど、途中で眠くなってしまって……ごめんなさい」


二人の答案を、そうっと私は覗いてみる。

いい教科はとびぬけて点数がよかったが、悪いやつはとことん悪い。

希君は数学の公式を書くとこ以外は真っ白だし、雪風君も国語の答案用紙はほぼ真っ白だ。


「まったくあなた達は! 生徒会としての自覚はあるのですか!」


「ない!」


「ねぇよ」


「ありません」


「そんなカルテットスターが中心だなんてどういうことですか! 再試までには何とかしてもらいますからね!」


そういえば、先生が三十点以下は再試って言ってたような気がする。

当然、私もそれに含まれているのは言うまでもなく。

再試でいい点を取らなければ、標準点が低くなるといわれてる以上何とかしないとなぁ……


「沖田さん、生徒会の集まりって明日からはなかったよね」


「え? ええ、まあ。今日の反省会が定時内に終わればですが……」


「ノンちゃん、ユキ、牙狼。勉強、教えてあげよっか。再試で、いい点とれるように。彩月ちゃんも一緒にね」


彼の突拍子な提案に、私はすっとんきょうな声を上げる。

かくして、私とカルテットスターによる勉強会が企画されたのです!


(つづく!!)

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